■日本はG7の中で平均賃金が最下位に
秋以降も止まらない「値上げ」。
これまでも値上げによる出費が家計を圧迫していましたが、帝国データバンクによれば今年の値上げピークは10月です。
社会保険料なども値上がりしており、しばらくこの値上げが続くと考えると、今後より家計が厳しくなるでしょう。
一方で、日本の平均年収は30年以上、年収400万円台を推移しているといわれています。
値上げが続く今こそ「お金」について確認し直したいもの。今回は「平均年収」に視点をあてて、過去と世界から見た日本を確認します。
■日本の平均年収は400万円台は本当か
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者数は5245万人であり、その平均給与は「433万円」です。
2010~2020年の平均給与の推移を確認しましょう。

出典:国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
■平均給与2010~2020年の推移
- 2010年:412万円
- 2011年:409万円
- 2012年:408万円
- 2013年:413万6000円
- 2014年:415万円
- 2015年:420万6000円
- 2016年:421万6000円
- 2017年:432万2000円
- 2018年:440万7000円
- 2019年:436万4000円
- 2020年:433万1000円
上記を見てわかる通り、過去10年間では2012年の408万円を底に、2018年には約440万円まで上がったものの、基本的に400万円台前半で推移していることがわかります。
ちなみに男女別でみると、給与所得者数は男性3077 万人、女性2168万人。平均給与は男性532万円、女性293万円と、男性の給与所得者数が多い一方で、女性の平均給与が200万円以上低いという特徴があります。
さらに正規の平均給与は496万円、非正規176万円となっており、このあたりも平均給与に影響してくるでしょう。
■1989~2018年の平均給与も400万円台で推移
では30年間の日本の平均給与の推移を見ましょう。
以下は厚生労働省による、国税庁「民間給与実態統計調査」のうち、1年勤続者の平均給与を2015年基準の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)で補正した平均給与(実質)の推移です。

出典:厚生労働省「図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」
グラフをみると、全体を通して年収400万円台で推移しているのがわかります。
年収400万円台といっても1989~2007年までは400万円台後半でしたが、リーマンショックが起きた翌年の2009年以降、400万円台前半で推移しています。
同じ400万円台といっても、30年以上で見ると平均年収は下がってしまっていますね。
■世界から見た日本の平均給与水準はどれくらいか。G7で最下位に
では、世界から見ると日本の賃金水準はどれくらいなのでしょうか。OECDの平均賃金から確認します。

出典:OECD「平均賃金 (Average wage)」
日本は2021年は4万849ドルであり、1ドル110円で換算すると約449万円です。
上記のグラフでみて分かる通り、OECDの平均は5万2436ドルとなっており、日本は1万ドル以上も低いことがわかります。
G7(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダ)の中で、日本は最下位となりました。ただOECDの平均以上のG7はアメリカとドイツ、カナダで、イギリス、フランス、イタリア、そして日本は平均以下となっています。
■まとめにかえて
過去と世界からみた日本の平均年収。想像していたより低いと感じた方も多いでしょう。
過去からの推移やその内訳をみると、日本の平均収入が急激に上がるとは考えにくいもの。とはいえ、世界情勢の影響を受けた物価高からも逃れられません。
節約だけでなく転職や働き方の変更、副業、ポイ活、資産運用といったさまざまな家計へのアプローチが今後さらに必要となるでしょう。
■参考資料
- 帝国データバンク「食品「値上げ」年内 2 万品目突破」( https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220901.pdf )
- 国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/000.pdf )
- 厚生労働省「図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」( https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-02.html )
- OECD「平均賃金 (Average wage)」( https://www.oecd.org/tokyo/statistics/average-wages-japanese-version.htm )