■70歳代の貯蓄の実態とは
国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としています。令和3年10月1日時点で、日本の65歳以上人口は、3,621万人。
単純に4人に1人以上が高齢者ということになりますが、厚生労働省の「令和4年版高齢社会白書」によると、「65歳~69歳」の年代は約半数の50.3%の人はまだ就業しているということがわかります。
出典:厚生労働省「令和4年版高齢社会白書」
70代以降になってくると、就業率は「70歳~74歳」で32.6%、「75歳~79歳」になると10.5%となり、「公的年金と貯蓄」で生活をすることになる実質的な老後生活は70代からと言えるのかもしれません。
今回は現在のシニア世代を参考に、70代世帯の貯蓄事情を紐解きながら、老後へのお金の備え方についてお話をしていきたいと思います。
■70歳代以上の貯蓄事情を知る
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」によると、70歳以上の貯蓄事情は次のとおりです。
■70歳以上世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)
平均:2209万円
中央値:1000万円
- 金融資産非保有:18.3%
- 100万円未満:4.5%
- 100~200万円未満:3.8%
- 200~300万円未満:3.1%
- 300~400万円未満:4.5%
- 400~500万円未満:2.0%
- 500~700万円未満:5.4%
- 700~1000万円未満:5.6%
- 1000~1500万円未満:10.3%
- 1500~2000万円未満:6.0%
- 2000~3000万円未満:11.9%
- 3000万円以上:22.1%
- 無回答:2.6%
平均値は一部の極端に大きい値に影響されて、数値が大きくなりやすい傾向があります。一方で、中央値は貯蓄額を少ない順、あるいは大きい順に並べたとき全体の真ん中にくる値で、平均よりも実態を反映しやすいと言われています。
よって、ここでは中央値の1000万円のほうが、身近に感じやすく、参考にしやすい値といえるかもしれません。
また気になる点として、3000万円以上の世帯が22.1%、金融資産非保有(=貯蓄ゼロ)世帯が18.3%と、ほぼ同じ割合で存在する「二極化」状態となっています。
老後の貯金格差を浮き彫りとする結果に、他人事とは思えないと感じる人もいるかもしれませんね。
■70歳代から先の「年金月額」平均いくら?
では次に、70代の年金支給額をみていきましょう。厚生労働省が2021年12月に公表した「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2020年度)」によると、70代以降の平均的な年金支給額は以下の通りです。
■厚生年金(第1号)の平均年金月額
- 70~74歳 14万5705円
- 75~79歳 15万569円
- 80~84歳 15万9529円
- 85~89歳 16万2705円
- 90歳以上 16万1506円
※国民年金(基礎年金)の月額を含みます。
■国民年金の平均年金月額
- 70~74歳 5万7010円
- 75~79歳 5万5880円
- 80~84歳 5万6916円
- 85~89歳 5万5633円
- 90歳以上 5万554円
仮に、サラリーマンの夫(厚生年金)と専業主婦の妻(国民年金)がそれぞれ平均的な年金額を受給できた場合、世帯の年金収入は毎月約20万円程度になると考えられます。
■【70歳代の貯蓄】「老後の生活費」って、どのくらい必要?
では、老後の生活費はいくらかかるのでしょうか。
生命保険文化センターが行った意識調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える「最低日常生活費」は月額で平均22万1000円。さらに「ゆとりある老後生活」を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考える金額は平均14万円です。
その結果、「最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」を合計した「ゆとりある老後生活費」は平均で36万1000万円となります。
前述の「サラリーマンの夫と専業主婦」の夫婦世帯が、平均的な年金額のみを老後の収入とする場合、ゆとりある生活を過ごすためには毎月16万円程度のマイナスとなり、貯蓄を取り崩す状況となりますね。
金融資産非保有世帯を含む「70歳代以上・二人以上世帯」の貯蓄額中央値で考えると、1000万円(貯蓄額の中央値)÷16万円(毎月の赤字額)=62.5カ月となり、約5年で貯蓄が枯渇する計算になります。
老後に必要となる生活費は、健康状態やライフスタイルなどによって人ひとそれぞれです。それをふまえたとしても不安を感じる結果ではないでしょうか。
■70歳代になる前に貯蓄をコツコツ増やす
ここまで現在のシニア世代を参考に70代の資産状況を紐解いてきました。
人生100年時代となり、老後生活も今まで以上に長くなることは皆さんも想像できるでしょう。
貯金するだけでは、資産を増やすことは難しい時代。お金にも「働いてもらう=資産運用」ができれば、資産が減るまでの期間を延ばせるかもしれません。ちなみに、資産運用のポイントの1つは「時間」です。運用期間が長いほど、リスクが軽減しリターンが安定してきます。
少額からの積立て投資を後押しする国の税制優遇制度、「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」の活用を検討してもよいかもしれませんね。充実したセカンドライフに向けたお金の準備を「いまから」考えてみるのはいかがでしょうか。
■参考資料
- 厚生労働省「令和4年版高齢社会白書」( https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/gaiyou/04pdf_indexg.html )
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別」( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/21bunruif001.html )

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