日本では二輪車の販売台数が低迷しているが、そんな日本国内市場にタイの二輪車メーカーが参入してきた。1月23日に秋葉原のUDXで発表されたのは、最新の欧州ハイエンドモデルのミニチュア版「DEMON150GR」と、カフェレーサー風の「Gentleman200」、そしてノスタルジーを感じさせるクラシックな「Legend150S」の3モデル。
製造・販売を手がけるのは2007年に設立されたGPXで、日本国内での販売は総代理店のGPX JAPANだ。GPXは四輪バギーやオフロードバイクをメインに製造し、二輪車メーカーとしては急成長を遂げ、2018年においてはタイ国内でホンダ、ヤマハに次ぐ販売台数を誇るメーカーでもある。
■日本から学んだ生産体制と品質管理
かつてアジア製のバイクと言えば「安かろう悪かろう」の象徴だった。実際に今でもヤフオクやECサイトで並行輸入したであろう激安バイクは売られている。GPXの3種のバイクはタイで生産されているのだが、生産体制の見直しを図り、新工場は某日本メーカーのOBが監修し、機能的で清潔で大陸らしい広さを活かした設備で生産している。また、販売する国に総代理店を置くなど、アフターサービスもしっかりとしている。
今では日本の二輪車メーカーがタイや中国、インドで軽量車を生産する時代で、GPXは日本の二輪車製造技術を学んでいるため、「安かろう悪かろう」から脱却しているのだ。
■150ccスポーツ、200ccネイキッド、150ccクラシックの3種を発売
今回、発売された3種は、いずれも空冷4サイクルエンジンで、FI(フューエルインジェクション)ではなくキャブレターを採用している。
まず、スポーツモデルの「DEMON150GR」の特徴だが、前後14インチのタイヤを履いているところだろう。またフロントの倒立式フォークはKYB製で、リアサスペンションはYSS製。ライト類はすべてLED化されている。
【DEMON150GR】
価格:34万3,440円(税込)
排気量:149cc
最高出力:18ps
最大トルク:1.18kgf・m
全長:1,835mm
車両重量:130kg
「DEMON150GR」のライト類はすべてLED化されている
リキモリカラーも展示されていた
「Gentleman200」のみ排気量が200ccのカフェレーサー風バイクで、シングルシート風のカバーや、LEDリングライトを装備したヘッドライト、それにこの排気量でフロントダブルディスクを採用しているところが特徴。前後17インチタイヤでシート高730mmと女性ライダーでも扱いやすい。ボディカラーはブラック、ブルーグレー。
【Gentleman200】
価格:361,800円(税込)
排気量:197cc
最高出力:11.5ps
最大トルク:1.34kgf・m
全長:2,020mm
車両重量:160kg
カフェレーサー風の「Gentleman200」
シンプルながらもデジタルメーターを採用
「Legend150S」は、クラシックスタイルが特徴で、フロントフォークにはフォークブーツを装着し、ハンドル、ホイール、スポークはブラックアウトされている。前後フェンダーやチェーンケースも金属製にこだわっている。ヘッドライトはハロゲンランプでテールはLEDを採用。前後17インチタイヤで、ボディカラーはマットブラック、マットグリーン、マットグレーと、どれも激シブだ。
【Legend150S】
価格:259,200円(税込)
排気量:149cc
最高出力:9.1ps
最大トルク:1.01kgf・m
全長:2,015mm
車両重量:130kg
「Legend150S」
■低価格だけにエントリーモデルとしての販路も期待
GPXのバイクは低価格なのも魅力のひとつ。スポーツモデル「DEMON150GR」が34万3,440円、「Legend150」が25万9,200円、ネイキッドモデル「Gentleman」が36万1,800円と手頃な価格だ。
同クラスの排気量で比較すると、スズキ「バンバン200」が43万7,400円。スクーターだがホンダ「PCX150」や、ヤマハ「NMAX155」「マジェスティS」が37万円台。
日本メーカーのバイクと比べると、125cc程度の価格で、タイメーカーの150cc、200ccのバイクが購入できるわけだが、日本の二輪車の免許区分としては微妙な150cc、200ccという排気量が受け入れられるかという課題もある。
ヤマハは、149ccのBLUE COREエンジン搭載スポーツモデル「FZ-FI」の2019年モデルを1月下旬にインドで発売するなど、免許制度の違いから東南アジアでは150ccはメジャーだ。ちなみにヤマハが掲げる中期経営計画において、インド市場を重要市場の1つと位置づけていて、2021年までに販売台数120万台を目指している(2018年実績見通し約78万台)。
■軽量だから中・大型車へのステップアップにも
バイク自体が高額だと若い世代のバイク人口は減る一方で、さらに日本独自の運転免許制度や取得費用、さらに都市部のバイク専用駐車場の少なさなどを考えると、明るい話は聞こえてこない。
GPXのバイクは「そこそこの性能・品質で若者にも手が届きやすい価格設定」だから、今までバイクに乗ったことがない人の、エントリーモデルとしての需要が期待できる。バイクを乗ることの楽しさを知った人が増えて、今度は日本や欧米の中・大型車にステップアップしてくれれば、国内市場の衰退に歯止めがかかるかもしれない。
日本国内での販売はGPX JAPANが行っているが、現在、全国に販売代理店が11店舗あり、ゆくゆくはすべての都道府県に1店舗以上まで増やしていきたいという。3月22日の「東京モーターサイクルショー2019」では、GPX JAPANのブースもあるから、クオリティを確かめてほしい。

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