■【就活企業研究シリーズ】企業業績、従業員数、給与と最近の株価
3月に入り、2020年卒業の大学生による就職活動についての話題を耳にするようになってきました。業界研究や企業研究に時間をかけているという学生も多いのではないでしょうか。
シリーズでお伝えしている「就活企業研究シリーズ」。今回はその中でも京都大学工学部の卒業生が就職する人数が上位の企業ランキング及びそのうち上場企業2社をピックアップし、有価証券報告書をもとに過去5年間の業績動向、従業員数、年間平均給与や最近1年間の株価動向について見ていきましょう。
■京都大学工学部の卒業生が就職する上位企業ランキング
京都大学が2018年9月に発表した2017年度における同大学工学部を卒業した学生の就職人数が二人以上の就職先は以下の通りです。
- 三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行):3人(1人)
- 鹿島建設:2人(0人)
- 関西電力:2人(1人)
- 住友商事:2人(0人)
- 西日本高速道路:2人(0人)
- ファナック:2人(0人)
- ベイカレント・コンサルティング:2人(0人)
- 本田技研工業:2人(0人)
※カッコ内は女子で内数
工学部では96名が就職し、そのうち2名以上の就職先が先に示したものです。
■就職先企業の業績、従業員数、給与と最近の株価
さて、上位就職先企業について、特徴的な企業の業績動向や従業員数、給与とともに最近の株価を見ていきましょう。
大学に入学する際には自分が勉強したいことがさらにできる大学、また自分の学力や偏差値にあった学校を選ぶという作業は誰もがしてきたかと思います。
一方で、高校生の段階で「大学卒業後にどの企業に就職しているのか」というところまでは気が回らないと思います。興味にしたがって、または入れた学校に入学したというのが実際ではないでしょうか。大学を卒業する前に、就職したい企業を事前に知っておくというのはよいのではないでしょうか。
鹿島建設
同社の過去5年の業績動向を見ていきましょう。
まず、経常利益ですが、2016年3月期から利益水準が大きく伸びています。2015年3月期までは200億円台であったのが、2016年3月期から1000億円台となっています。
また、投資家が注目する(親会社株主に帰属する)当期純利益も経常利益同様に2016年3月期から伸びています。2017年3月期には1000億円台に到達し、2018年3月期には1267億円を計上しています。
では、同社の従業員数や給料はどうなっているのでしょうか。
連結の従業員数は1万7730人。また単体の従業員数は7686人で、平均年間給与は1102万円。単体の平均年齢は44.1歳となっています。ちなみに、単体の経常利益を従業員数で割った一人当たり経常利益は1903万円となっています。
最後に同社の過去1年の株価動向について見てみましょう。
大きく言えば、右肩下がりですが、足元反発してきています。1年前は2000円を挟んで推移していましたが、現在は1600円台となっています。
ファナック
同社の過去5年の業績動向を見ていきましょう。
まず、経常利益ですが、年度によってブレがありますが、1000億から3000億円台で推移しています。2015年3月期には3119億円であったのが、2018年3月期には2495億円となっています。
また、投資家が注目する(親会社株主に帰属する)当期純利益は、1000億から2000億円台で推移しています。2015年3月期には2075億円を計上しましたが、2018年3月期には1819億円となっています。
では、同社の従業員数や給料はどうなっているのでしょうか。
連結の従業員数は7163人となっています。また、単体の従業員数は3495人で、平均年間給与は1347万円となっています。ちなみに、単体の経常利益を従業員数で割った一人当たり経常利益は5613万円となっています。
最後に同社の過去1年の株価動向について見てみましょう。
一言でいえば、右肩下がりですが、足元でやや反発しているといえます。1年前に2万5000円を超えていた株価が現在は1万8000円台となっています。
■まとめにかえて
ここでお示ししたランキングや企業が必ずしも学生の人気ランキング順というわけではありません。
積極的に採用する企業が結果として上位就職先企業となっている側面もあります。ただ、学生が就職を希望しないことには最終的には就職先にはなりません。その観点からも、採用側の企業と大学生の需要と供給が一致した結果といえるでしょう。
また、注意すべきは連結従業員数と単体従業員数の違いです。たとえば、連結子会社が多い企業は一見すると従業員数が多く見えます。自分がどの会社に応募をしようとしているのかは改めて注意するのが良いでしょう。連結での従業員数が多く見えても、自分が応募している企業の従業員数が少ないこともあります。
最後に、企業研究をする際には、今回参考したような有価証券報告書や決算説明会資料なども参考にするとよいでしょう。決算説明会資料はどの投資家にもわかるように説明がされていることも多く、学生にとっても有益な資料といえます。決算説明会資料はアニュアルレポートほど堅苦しくなく、事業ごとの業績が分かりやすい資料といえます。
【参考文献】
京都大学学生総合支援センター キャリアサポートルーム「就職のしおり 2019」