男女ともにおひとりさまは増えていく
世の中はさまざまに変化しています。「一定年齢になれば結婚するもの」という社会的因習によるプレッシャーはずいぶん薄まりました。
1980年代から1990年代のテレビドラマの多くが「結婚しなくちゃ」というプレッシャーをベースに男女の恋物語を描いていましたが、2010年代のドラマは偽装結婚(契約結婚)や、おひとりさまライフそのものを楽しむ男女を描くようになりました。
生涯未婚率は上昇が続いており、1980年代には男女とも5%より低かったものが2020年の国勢調査では男性が25.7%、女性が16.4%となっています。将来の予測では男性3割、女性2割という数字もあるようです。
筆者の世代ではまだ多く存在した、結婚を急かす親や職場の先輩は、ハラスメントの部類だと感じていたので、「結婚するか、しないかは自由」という風潮になったのはいいことだと思っています。
心の底では結婚したいと思っている人はぜひ本音で婚活をし、結婚をしてほしいと思います(結婚は結婚で面倒もありますが、楽しいこともたくさんあります)。しかし、結婚しなくてもいい、と思う人がその自由を行使することは当然の権利であり、生涯未婚率が低下することはないでしょう。
さて、おひとりさまが増えていくのはよいとして、「おひとりさまには、おひとりさまのマネープラン」が重要であることの理解が必要です。またそのためにおひとりさまこそ資産運用に積極的に取り組んでいく必要があります。
おひとりさまは「全部、自分で決断する」必要がある
おひとりさまが資産運用について積極的になる理由にはいくつかあります。大きく三つあげるとすれば下記の通りです。
資産運用を行うかどうか以前の問題として、まずはお金の基本、金融リテラシーを有しておくことが、おひとりさまの重要な課題だと思います。
親が存命のうちは親にお金の判断を任せることもできますが、いつか親が要介護になったり、いきなり亡くなったりすれば、お金の問題について困ることになります。
未婚だとはいっても、40歳代を過ぎて親に財布を全て任せるというのもおかしな話ですから、どこかで「お金の自立」が必要で、それは知識とセットであるべきです。
結婚すれば配偶者に任せることができるかもしれませんが、おひとりさまはそうはいきません(しかし、配偶者が問題ない選択をしているのか判断できるくらいの知識は必要ですし、配偶者が先立てばやはり自分で判断する必要があります)。
心配なのは、おひとりさまがあやしい金融詐欺に巻き込まれることです。現金をそこそこに貯め込んでいて、それなりの心配は持っているため、おひとりさまは金融詐欺のターゲットとなりがちです。
金融リテラシーを持っておくことは、資産運用をするかどうかを問わず、重要な「おひとりさまの課題」なのです。
まず長期積立分散投資を覚えよう!
さて、おひとりさまが学びたい資産運用方法といってもそれほど難しいことではありません。まずは以下の4点を学び、実行してみましょう。
ここまでのことが分かれば十分で、そのために必要なのは数冊の書籍でしょう。トウシルやネットのコラムをいくつか読むことでも基本は身につきますが、セールスとセットの広告記事には注意をしてください。
短期的な売買、安値・高値を分析するような投資の本を読むのはもう少し先で大丈夫です(面倒なら読まなくても問題ない)。個別株の投資や外貨のトレードなど、興味がある投資手法についてチャレンジしてみるのは結構ですが、長期積立分散投資を感覚的に理解し、少なくとも投資元本が100万円を超えてきてからでも十分だと思います。
悩んだらつみたてNISAの口座をつくり、毎月数千円から数万円の積み立てを設定、投資信託を使って世界中の株式に投資をしてみましょう。
くれぐれも過剰なリスクテイクをしすぎないように注意してください。
老後に必要な額「2,000万円」を考え、やはり投資を
さて、先ほどおひとりさまが投資をするべき理由を述べた中にさりげなく「老後のための資産形成」を行うことを指摘しました。
いわゆる「老後に2,000万円」は夫婦の老後のゆとり予算を紹介したものでした。月5万円程度を想定し、100歳人生時代を勘案したものです。おひとりさまは「老後に1,000万円」で十分だと感じている人もいらっしゃるかもしれません。
実は「ひとりでも、ふたりでも老後に2,000万円」くらいのイメージを持っておくほうがいいと考えています。ふたり世帯(夫婦)とおひとりさま世帯(単身)とを比較したとき、家計は2分の1にならないからです。
例えばコロナ前の2019年家計調査年報で比較すると、
年金額など 日常生活費 高齢夫婦無職世帯 21万6,910円 22万376円 高齢単身世帯 11万5,558円 11万9,995円 ※日常生活費=(消費支出+非消費支出)-(教養・娯楽費+交際費)として計算
となっています。比率でいえば「収入が約53%」「生活費が約55%」と半分より多くなっている感じです。
まず、収入です。ひとり分の厚生年金+基礎年金ではモデルでも月15万円くらいであり、収入として余裕がありません。自助努力の備えを厚くしたいところです。
また、遺族年金をもらっている高齢単身世帯(夫に先立たれて非課税で遺族年金をもらえる)が多く存在することを考えれば、おひとりさまはもっと負担が大きいと考えておく必要があります(税・社会保険料負担が増える)。
支出については、ふたり世帯の3分の2くらいを考えるのがおひとりさまの感覚としてはいいでしょう。冷蔵庫の電気代もお風呂の水道代もふたり世帯と同じだけかかるため、半額にはならないからです。
また、介護でも通院でも、おひとりさまのラストは「お金でなんとか解決する」ことになる可能性があり、経済的余裕をもった準備が必要です。
退職金だけで「ひとりで、老後に2,000万円」はなかなか大変です。だとすれば、iDeCoやつみたてNISAを使った上乗せが欠かせません。しかし、両制度を満額使って40歳代から積み立てることができれば、相当の安心が確保されることになります。
おひとりさまも、資産運用の力を借りること(もちろん、節約を通じて積極的に積み立てをすることが前提)で、一生涯の安心を確保したいところです。
(山崎 俊輔)

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