こんにちは、優待好きの主婦まる子です。毎月「 お宝優待株 」を読んでいただきありがとうございます。
今回のお題は、東京証券取引所再編、コロナ禍など、投資環境が変化したことによる「廃止優待・新設優待」の銘柄チェック&ポイントの整理です。新設優待の歓喜の声はあまり聞こえて来ませんでしたが、廃止に関してはあちらこちらから悲鳴が聞こえてきました…。
今年の前半は優待好きにとってはけっこう厳しい、悲しい時だったのではないでしょうか。お互いココロを慰め合いながら、そして前向きに気持ちを切り替えながらこの記事を読んでいただけたらうれしいです。
皆さんご存じの通り2022年4月に東証の市場再編が行われ、プライム、スタンダード、グロースの3市場となりました。以前1部での上場基準は「株主数2,200人以上」でしたが、プライムでは「800人以上」となり、株主数に関しては上場維持のハードルが下がりました。
そのため以前は株主数を増やす目的で、株主優待を新設する会社も多く、優待投資人気もあり、新設優待は増加傾向が続いていました。
しかし、コロナ禍での業績の不透明感や流通コストの増加、新市場での株主数の条件厳格化などで、優待廃止企業は3年連続増加し、全体の優待実施企業も減少していました。
ところが、東証プライム市場に残ったものの、流通株式時価総額が未達のままなので、流動性を上げるために優待を新設する企業もチラホラ出てきました。優待好きの皆さま、「もう株主優待はオワコン…」と悲観することなく、市場再編後の優待新設もあり得るということです。
そこで今年前半の新設された銘柄、廃止された銘柄のいくつかをチェックしてみましょう。
優待を新設した主な企業
*株価は8月3日終値、配当は8月4日時点
銘柄(コード) AB&Company(9251) 権利確定月 10月 優待取得最低株数 100株 *株価 880.0円 東証再編前→後 ジャスダック→東証グロース *配当 28.07円 優待内容 100株以上でシャンプーなどを扱う自社ECサイトで使える優待券8,000円分。500株以上で2万4,000円分
※買物1回につき1枚利用可 コメント 銘柄数が少ない10月権利で、投資額もあまり高くなく、配当利回りは高め。
今年の1~7月末まで、合計29銘柄が優待を新設しています。ちなみに廃止は39銘柄。気になる新規銘柄をいくつか見ていきましょう。9月の優待特集なので、9月以降権利がある銘柄を中心にしています。
AB&Company(9251) は、持ち株会社で美容院の運営や内装を手がける子会社を持っています。優待銘柄が少ない、10月の権利付き優待銘柄で予想配当利回りも高く、投資最低購入額もそれほど多くなく、投資額に対して優待額が多め。
パーフェクトな銘柄だと思いますが、良すぎる銘柄には落とし穴があるのでは…と疑う人も多いかも…。今回が初優待で、会社側がどう判断するか分かりませんが、この内容なら取得したい銘柄の筆頭です。
9月権利で注目の新規優待は ミアヘルサホールディングス(7129) 。みんな大好きQUOカードの優待で、100株保有で1,000円分。配当も年に2回あり、利回りは約3%弱。標準的な優待内容となっていますが、配当との総合利回りを考えると高水準となり魅力的。
優待がなかったとは!と驚きの 紀文食品(2933) も9月が初優待。こちらは300株保有で3,000円相当の自社製品となっているので、届くのが12月ということを考えると「おでんの種」では、と期待しています。新規優待は株数が100株以上や半年、1年以上の継続保有などの縛りが増えているのも特徴です。
もう一つ注目は、社名が面白い コラントッテ(7792) 。肩こりなどを緩和する家庭用磁気機器などを販売している会社で、社名は「コリを取る」からコラントッテ。優待は割引券なので、磁気ネックなどを試してみたい方には楽しみな優待かと思います。
9月銘柄、内容はまだ分からないのですが、気になるのは デジタルプラス(3691) 。
6月が最初の優待だった、ドン・キホーテなどを運営している パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532) 。こちらもデジタル優待です。
ドン・キホーテなどで使える2,000円分のポイントで、近くに店舗がある方は使い勝手が良い優待だと思います。初回は6月で、9月末ごろ届くとのことなので、初回に届いた方の報告を見て、2回目の12月の購入を決めるのも良いのではないでしょうか。
ちょっと先の銘柄も最後に。権利は来年の5月になりますが、 住江織物(3501) の優待も気になっています。100株で700円相当の自社製品ですが、200株以上の保有になるとオリジナルカタログ4,000円相当分。こちらも8月末に最初の優待到着報告があると思うので楽しみです。8月現在の配当利回りも良いので、11月の配当権利を狙っても良いかと思います。
優待を廃止・見直した主な企業
*株価は8月3日終値、配当は8月4日時点
銘柄(コード) オリックス(8591) 権利確定月 3月 優待取得最低株数 100株 *株価 2,342円 東証再編前→後 東証1部→東証プライム *配当 85.6円 旧優待内容 自社取引先取扱商品等カタログギフト
※3年以上継続保有の場合、カタログの内容は異なる
※2024年3月の株主への贈呈をもって廃止 コメント 人気優待の筆頭で、廃止の発表時は「まさか!」と思いました。
※優待品に代えて社会貢献活動(災害復興支援)への寄付選択可
※100株以上を1年以上継続保有した株主のみに贈呈
※2022年12月の株主への贈呈をもって廃止 コメント こちらの優待は保存が利き、非常食としても重宝していました。高配当銘柄なので、このまま継続保有予定。 銘柄(コード) ひろぎんホールディングス(7337) 権利確定月 3月 優待取得最低株数 100株 *株価 608円 東証再編前→後 東証1部→東証プライム *配当 27.0円 旧優待内容 2,500円相当の地元特産品カタログ→クオカード500円分に変更
※2022年3月の優待から変更 コメント カタログ優待が新設された際は、「こんなに豪華で大丈夫?」と思いましたが、やはり1年で変更となりました。あまり豪華な優待は注意が必要です。 銘柄(コード) フジ日本精糖(2114) 権利確定月 3月 優待取得最低株数 100株 *株価 470円 東証再編前→後 東証2部→東証スタンダード *配当 14.0円 旧優待内容 自社製品1,000円相当
※2022年3月実施分が最終。以降廃止 コメント お砂糖の詰め合わせで、とても便利な優待でした。重量があり、輸送コストがかかったのが廃止の理由でしょうか。 銘柄(コード) イフジ産業(2924) 権利確定月 3月・9月 優待取得最低株数 100株 *株価 930円 東証再編前→後 東証2部→東証スタンダード *配当 32.0円 旧優待内容 たまごギフト券300円分
※2022年3月実施分が最終。以降廃止 コメント たまごギフト券はこちらの優待で初めて知りました。年に2回で重宝していたのに残念。 銘柄(コード) マルハニチロ(1333) 権利確定月 3月 優待取得最低株数 100株 *株価 2,422円 東証再編前→後 東証1部→東証プライム *配当 55.0円 旧優待内容 以下から希望のものを選択
[1]水産缶詰詰合せ、[2]瓶詰詰合せ、[3]海苔詰合せ、[4]DHA入りリサーラソーセージ、[5]ラ・カンティーヌ詰合せ
※2022年3月実施分が最終。
※2021年6月実施分が最終。以降廃止 コメント 大好きな優待の一つで、優待廃止はかなりショックでした。もうbillsで食事をすることもないのかな…。
待廃止銘柄については、嘆いてもしかたがないので、簡単な廃止理由をまとめてみました。理由が分かれば今後の予防策にもなるかもしれません。
優待廃止銘柄のうち反響が大きかったのは、なんといっても、優待人気銘柄の一つ オリックス(8591) 。株主総会では社長さんから機関投資家や個人投資家への、より公平な利益還元を基本方針とするとの発言もありました。また廃止は2024年3月ということもあり、株価の大きな下落にはなりませんでした。
同じように、 日本たばこ産業(2914) も高配当銘柄かつ優待で、人気の高い銘柄でしたが、こちらも2022年12月をもって廃止となりました。
どちらも株主数がとても多く、個人株主を増やす従来の目的を果たしたため、今後は配当などによる利益還元に集約という理由で廃止となりましたが、その後の株価は堅調に推移しています。
株主数が激増し、優待見直しをした ひろぎんホールディングス(7337) も同じ理由だと思います。
一方「まさかこの株主優待が廃止になったとは」と驚いた銘柄もいくつか。「自社製品を優待にしている会社は廃止のリスクが少ない」といわれていましたが、どうもそうではなかったようです。
フジ日本精糖(2114) の1,000円相当の自社製品のお砂糖の詰め合わせ、 イフジ産業(2924) は自社製品ではありませんが、たまご商品券。商品券をスーパーで使用する際、レジの列を止めてしまったことは優待あるあるでしょうか。優待がなくなり、「たまご券」のマイナー度に拍車がかかってしまわないか心配です。
そしてこちらも人気の優待でした マルハニチロ(1333) 。IR発表では「株主の公平性を考え、配当などによる直接的な利益還元を充実」とし、同時に増配も発表しました。優待廃止と同時に増配の発表という流れは今後増えていくかもしれません。
廃止銘柄最後は私もお気に入りだった サニーサイドアップグループ(2180) 。この銘柄は株主優待で株価をキープしていたところもあるので、発表後、株価は暴落。決算が6月で優待廃止の発表が直前だったのも投げ売りの要因となりました。パンケーキの優待、残念です…。
ざっと見てきました、2022年1月から7月までの廃止優待・新設優待。確かに廃止銘柄は多くなっていますが、ファン株主を増やしたいと思っている会社も多く、自社製品やECクーポンなどの優待は、今後も増えるのではと思っています。
優待廃止の予想はなかなか難しいですが、あまりにも豪華な優待や、対象株主があまりにも多く、輸送コストがかかる優待などは、注意が必要かと思っています。
優待よりも配当、という流れにはなっていますが、やはり優待が届く喜びはうれしいもので、私はこれからも楽しさを追求しようと思っています。
2022年も残り3カ月余り、優待新設の良いニュースが増えることを期待して、優待投資を楽しみたいと思っています。
(優待主婦 まる子さん)