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著者の窪田真之が解説しています。
「 戻り速すぎ?日経平均テクニカル分析 米景気ソフトランディングの楽観続かない? 」
米景気ハードランディングの不安再燃
先週(8月15~19日)の日経平均株価は1週間で383円上昇して2万8,930円となりました。17日には一時2万9,222円をつけて、2万9,000円を超えました。米景気ソフトランディング期待を受けて、ナスダック総合指数を中心に米国株が上昇していたため、外国人と見られる買いが日本株にも入っていました。
ところが、先週は、米景気ソフトランディングに対する楽観が行き過ぎているのではないか、という警戒が出て米国株が反落したため、週末にかけて日経平均も反落して2万9,000円を割れました。
日経平均日足:2022年1月4日~8月19日
このコラムで毎週お伝えしている通り、世界の株式市場の最大の注目点は、急速に減速してきた米景気がソフトランディングするかハードランディングとなるか【注】にあります。
【注】米景気ソフトランディング・ハードランディング
◆ソフトランディング・シナリオ:米景気減速によってインフレが沈静化に向かい、米利上げの早期停止が視野に入る。米景気はリセッション(景気後退)入りすることなく持ち直し、緩やかな景気拡張が続く。
◆ハードランディング・シナリオ:米景気が減速しても高水準のインフレが続く。FRB(米連邦準備制度理事会)は景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を目指して急ピッチの引き締めを続ける。インフレと金利上昇を受けて、米景気がリセッション入りする。
ソフトランディングの期待が高まると、米ナスダックが上昇して、世界の株式市場が上昇し、日経平均も買われます。ハードランディングの不安が高まると、ナスダックが下落して、日経平均も売られます。
ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年8月19日
ナスダックは、昨年高値(11月19日の1万6,057円)から、今年の安値(6月16日の1万646円)まで▲33.7%下落しました。米景気ハードランディングの不安が高まったためです。日経平均はその間、相対的に堅調でしたが上値の重い状況が続きました。
今年の7月以降、米景気の減速が鮮明になる中、原油・穀物・貴金属市況が下落してくると、一転して米景気ソフトランディングへの期待が高まり、ナスダックは急反発しました。日経平均も先週一時2万9,000円を回復しました。
しかし、米景気ハードランディングへの不安も根強くあります。先週は、不安が再燃して、ナスダックが反落しました。それを受けて、今週の日経平均には戻り売りが増える可能性があります。
日経平均テクニカル分析
2020年10月以降の日経平均を、テクニカル分析の視点からざっくり俯瞰(ふかん)します。
日経平均週足:2020年10月2日~2022年8月19日
2020年の日経平均は、コロナショックで急落後、急騰しました。大荒れの1年でした。ところが、2021年の日経平均は一転して、膠着(こうちゃく)相場となりました。
2021年の日経平均はボックス相場でした。
2022年に入って、米国株が急落すると、日経平均もいったん2万7,000円を割れて下放れました。
ところが、7月以降、米ソフトランディング期待が高まって米国株が反発すると、日経平均も戻りを試す局面に入りました。2021年で節目となった2万7,000円・2万8,000円は、戻り局面ではレジスタンス(抵抗線)として意識されます。
そこまで戻ると、一時戻り売りに押し戻される時もありました。それでも、米国株の反発が続いたので、2万7,000円・2万8,000円は戻り売りをこなして上へ抜けました。
先週は、一時2万9,000円を超えたところでさらに戻り売りが増える局面で米国株が反落したため、日経平均も反落して2万9,000円を割れました。米国株の戻りが一服となると、日経平均も、2万9,000円の壁で打ち返された形となる可能性があります。2021年に長い時間滞在した2万8,000~2万9,000円のボックスを、一気に抜ける条件はまだ整っていないと考えられます。
日経平均は目先反落か
日本株は割安で、中長期で良い買い場と考えています。ただし、短期的には米景気ハードランディングの不安再燃で、米国株が反落し、つれて日経平均も売られる局面になると思います。2万8,000円前後に反落する可能性もあると思います。
私は、日経平均の上昇がこれで終わったとは思っていません。短期的な反落局面で少しずつ時間分散しながら日本株を買い増していくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
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(窪田 真之)

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