今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは131.50円↓下値メドは127.90円FRB:ウイリアムズ・NY連銀総裁「インフレが2%に低下するまでに数年必要」
英経済:英企業グループ、英国経済が「失われた10年」になることを警告
欧エネルギー:節約か暖冬か? 欧州家庭のガス消費量は過去5年平均の1/4に減る
米インフレ:賃金が新しいインフレ上昇の動力になることをFRBが警戒
流通:サプライチェーンの目詰まりほぼ解消、ほぼ新型コロナ前の状況に
ドル/円は129円台まで円高に動いた。特に強い材料があったわけではないが、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げサイクル終了に向かうのとは対照的にECB(欧州中央銀行)は利上げ積極姿勢を強めていることが、全般的なドル売りにつながった。そのなかで、日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)政策も近い将来終了するとの見方が徐々に強さを取り戻しドル/円の上値を重くした。
1月25日(水曜)のドル/円は「円高」。
1日のレンジは129.27円から130.59円。値幅は1.32円。
2023年18営業日目は130.15円からスタート。高値は東京時間昼過ぎにつけた130.59円まで。上値が重く欧州市場で130円を割ると未明には129.27円まで下落して安値をつけた。安値が前日比で円安になる記録は4営業日で途絶えた。そのまま130円台を回復することなく終値は129.57円(前日比▲0.60円)。
レジスタンス:
130.59円(01/25)
131.11円(01/24)
131.58円(01/18)
サポート:
129.27円(01/25)
129.20円(200時間移動平均)
129.04円(01/23)
128.34円(01/20)
FRBは、過去に利上げを急ぎ過ぎてしまったという苦い経験がり、利上げをためらっているうちにインフレが目標値の4倍まで暴騰することを許してしまった。
今のFRBは反対に、利上げ終了を急ぎすぎたせいでインフレの再暴走を許してしまった1970年代の失敗がトラウマになって、利下げに踏み切れないでいる。
FRBが利下げするかどうかはまだ不明だが、少なくとも利上げサイクルは終了が見えてきた。来月の会合で、FOMC(米連邦公開市場委員会)は利上げ幅を0.50%から0.25%に縮小する。
対照的に、ECB(欧州中央銀行)は利上げ継続に非常に積極的だ。ラガルドECB総裁は「インフレは極めて高い」と警告するなかで、ECBのクノット理事は「複数回の0.50%の利上げ」を計画していると述べている。9カ月前のFRBを彷彿させる。
日銀も今年が本番だ。日米金利差拡大が2022年の大円安相場を引き起こしたとするならば、2023年は日米金利差縮小の円高相場になるだろう。

主要指標 終値

今日の為替ウォーキング
今日の一言
人生はどちらかだ。勇気をもって挑むか、棒にふるか
Heartbreak Hotel
CPI(消費者物価指数)は、インフレ状況を測るための指数である。しかし、CPIと生活コストは別物だ。CPIが上昇したからといって、その分だけ生活が苦しくなるわけではない。
米国は昨年、インフレが大問題になったが、その大きな原因となったのは中古車価格の急騰だった。しかし、世界中の人々がみな車を欲しいと思っているわけではない。例えば公共交通手段が発達している日本や英国では、米国ほど必要性を感じない。中古車の値段が20%高くなったからといって生活が苦しくなったと実感する日本人はほとんどいないだろう。
インフレはグローバルな問題のようだが、実はローカルな問題である。先進国の何億人もの消費者はCPIが示すほどの物価高を感じていないし、CPIの上昇率が示すほどには、実際の消費力は悪化していない。
FRBは昨年、金融政策のフォワード・ガイダンスを放棄した。インフレ目標が、実勢とあまりにかけ離れてしまったため、金融政策の見通しを示すほど、中央銀行としての信頼性が低下したのだ。
現在は、見通し(フォワード・ルッキング)ではなく、経済データの結果を見て政策を決める、振り返り(バックワード・ルッキング)方式を用いている。
しかし日銀はフォワード・ルッキング方式を続けている。2023年1月の「展望レポート」で、日本のインフレは一過性で、2023年のインフレ率は再び1%台に鈍化すると日銀は予想する。従って、現行の緩和政策を変更する必要なしということである。
1年半前のFRBも同じ事を言っていたことを思い出す。米国のインフレは一時的だから、予防的利上げなどの対策をする必要はないと、パウエルFRB議長は議会で証言していた。昨年のECBは「2022年のインフレは上がっても3%程度で、利上げする可能性は非常に低い」と強調していた。
その結果どうなったか。

今週の 注目経済指標

重要ブレークアウトレベル(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円)


(荒地 潤)