<マザーズ指数(左軸)とマザーズ売買代金(右軸)>
夏枯れ相場関係なし?絶好調の中小型11銘柄

6月の中小型株ハイライト

出遅れマザーズの逆襲!主力級中心に覚醒

 5月相場は日経平均株価が絶好調でも、中小型株は蚊帳の外…。この形のブル相場というのは、個人投資家にとってストレスフルそのものでした(日経平均に乗り遅れている感が毎日強まるため)。


 それが、6月に入ると理想的な形にゲームチェンジ。

6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ見送り観測が強まったことや、日米とも生成AIへの関心でグロースのAI関連株人気が広がったことも追い風でした。


 また、5月のラリーを主導した半導体株などの上昇にブレーキがかかり始めると、鉄鋼、海運、自動車など出遅れ業種に触手が広がりました。その一環として「出遅れ」をキーワードに資金が巡り始めたのが中小型株。


 東証マザーズ指数の過去1年高値は昨年12月1日でしたので、半年経過するのが6月1日。信用の高値期日通過で需給が好転するとも解釈しますが、まさに期日通過とともに上向く展開でした。マザーズ指数の6月高値は21日の871.35ポイントで、この時点の月初来騰落率は+16.4%という驚異の上昇率に!


6月下旬の急失速で削るも、マザーズ指数は月間9%高!

 マザーズ指数が年初来高値を付けた21日の翌日(22日)、これといった理由も無い中で、個人投資家に超が付くほど人気化していた銘柄が相次いで急落しました。人気株の急落は、他の人気株に連鎖するドミノ倒しのような雰囲気をもたらします。衝撃だったのが、時価総額1兆円も目前としていたプライム上場の ソシオネクスト(6526) のストップ安でした。


 この日を境に、バブル化していた6月IPO(新規公開株)も地合いが急激に悪転。このとき一番人気だった ABEJA(5574) が急落すると、他の6月IPOも壊滅状態に。個人投資家の損益状況が一気に悪くなったことで、センチメントも同時多発的に冷え込みます。


 マザーズ指数は、21日の6月高値871.35ポイントから27日安値789.01ポイントまで、たった4営業日で10%も下落…。


 この27日といえば、プライム上場のバイオ企業 そーせい(4565) が、ファイザーとの開発中止を受けてストップ安した日でもありました。

6月下旬にかなり上げ幅を削った6月相場でしたが…東証マザーズ指数の月間騰落率は+9.1%と日経平均(同+7.5%)をアウトパフォーム。


売買代金急増、貢献役は「6月IPO」

 東証グロース市場の売買代金は、19日に3,491億円を記録。この売買代金は、東証グロース市場が創設された昨年4月以来でも最大でした。マザーズ指数の上昇(=地合い好転)に比例し、売買が盛り上がった面もあります。


 ただ、それ以上に大きな要因が6月IPOの売買大活況でした(ちなみに、IPOがいくら活況でも、翌月の月末まで指数に採用されないため、マザーズ指数には一切影響を与えません)。


 6月IPOは13日のABEJAから始まりましたが、そのトップバッターがいきなり先頭打者ホームラン! そんな幕開けに。ABEJAが人気テーマ「AI」に合致する企業だったこと、NVIDIA系のVC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けていることから、バリュエーション度外視で買いが殺到しました(公開価格1,550円→初値4,980円→6月高値1万300円)。


 ABEJA人気が次に上場した Globee(5575) にも波及。この成功事例により、取り損ねた投資家層の初値買い意欲は駆り立てられます。公開規模の小さいIPOが多かったこともあり、その後のIPOも初値高騰連発。6月東証上場15社中、10社の初値騰落率が2倍以上となりました。


 ただ、22日以降のIPOに関しては、初値高騰と全体地合いの悪転が重なり、セカンダリーが悲惨な展開となる銘柄が大半に…。


6月IPO(東証上場)の初値騰落率上位順 上場日 コード 銘柄名 初値騰落率 現値対初値
騰落率 6月22日 5577 アイデミー 430% -39% 6月13日 5574 ABEJA 221% 50% 6月26日 9225 ブリッジコンサル 216% 41% 6月23日 5578 ARアドバンスト 213% 0% 6月30日 5885 ジーデップ 137% 34% 6月29日 9159 WTOKYO 133% -17% 6月14日 5575 Globee 132% 21% 6月21日 9158 シーユーシー 131% -22% 6月22日 5532 リアルゲイト 113% -44% 6月28日 5580 プロディライト 109% -34% 6月21日 5576 OBシステム 76% -14% 6月30日 5884 クラダシ 54% -13% 6月27日 4894 クオリプス 8% 18% 6月30日 9160 ノバレーゼ -2% -15% 6月28日 4893 ノイルイミューン -6% -7% ※黄色の網掛けはスタンダード上場、それ以外はグロース上場。
株価は7月3日時点

7月の中小型!今月のキーワードは…「夏枯れ」無関係の絶好調株

 東証プライム市場は、近年まれに見る外国人の日本株参戦に盛り上がりを見せています。その盛り上がりは「売買代金」が可視化してくれます。


 東証プライム市場の6月の1日当たり売買代金平均は3兆9,658億円…ほぼ連日4兆円クラスの商いをしていたわけで、すさまじい売買エネルギーを記録しました。昨年の6月が同2兆9,188億円でしたので、前年同月比でも36%増の大幅増。


 ただ、これは例年の傾向の話ですが、夏場は売買代金が減少傾向となります。これは、海外投資家は7・8月に長い休暇をとる傾向にあるため。7・8月は、1年の中でも売買代金が少ない時期になり、この状況を株式市場では「夏枯れ相場」なんて呼びます。


夏枯れ相場関係なし?絶好調の中小型11銘柄

 海外投資家の夏休み休暇は、海外投資家メインの東証プライム市場に影響が出るとして…個人投資家メインの東証グロース市場に「外国人の夏休みなんて関係無くない?」と思うところです。が、昨年の7月は東証グロース市場も、干上がりそうなほどの薄商いになりました。


 上表は東証グロース(2022年3月まで東証マザーズ)市場における月別の1日当たり売買代金の平均値です。昨年7月の1,084億円が2021年以降の最低で、これは先月(2023年6月は2,305億円)の半分以下の水準です。その前の年、2021年7月は前月比で増加していますが、この年は異様な盛り上がりになった6、7月上場の直近IPO分のげたを履いた数字でもあります。


 2021年7月は、海外で新型コロナウイルスのデルタ株の感染が拡大し、日本でも緊急事態宣言が再発令されました。そんな特殊要因もあり、地合い悪化に巻き込まれたマザーズ指数は月間10%安の惨事でした。


 一方、昨年7月は、リセッション懸念を最大の焦点としていました。その中で出てくる米経済指標がことごとく悪く、次第に「来年は利下げもある」といった論調に変化。


 米金利の低下に伴い、売買エネルギーこそ最小でしたが、マザーズ指数は月間9%も上昇。おととしと昨年、正反対な7月相場を演じたわけですが、いずれも薄商いがゆえに予想以上の振れ幅になったといえます。


 ということで、今年も夏場にかけた売買エネルギー減少により、薄商いの中で思った以上に動きの出る展開を想定しておいたほうが良さそうです。売買エネルギー減少の影響が株価にマイナスとなるのは、活発な売買で株価を形成してきた銘柄(=人気株)といえます。


 これは、売買が多く高値圏の銘柄の場合、上値を持ち上げるエネルギーに乏しくなるため。逆張り人気で売買の多い安値圏の銘柄も同様に注意。これは、強い戻り売りに抑えられる可能性が高まるためです。


 こうした売買エネルギー減少の影響を受けない銘柄は何か? …それは、そもそも売買が活発ではない銘柄となります。

「万年夏枯れ銘柄」といったところでしょうか。そうした平常時から薄商いのデイトレーダーなどに不人気な銘柄に、高値を更新している好需給銘柄などあるのでしょうか? 東証スタンダード、グロースに上場する中小型株からピックアップしてみました。


「万年夏枯れ」の株価絶好調銘柄            
【条件】(1)過去1カ月内に上場来高値(2)上場来高値と7月4日終値の乖離5%未満(3)信用買い残が発行済み株数の3%未満(4)売買代金25MAが2,000万円以上、5億円未満 コード 銘柄名 上場来
高値日付 売買代金
25MA(億円) 信用買い残
比率 4966 上村工業 7月3日 3.0 0.0% 7352 TWOSTONE 7月3日 1.1 1.9% 9272 ブティックス 7月4日 0.9 2.3% 3955 イムラ 6月12日 0.8 0.8% 3399 山岡家 7月3日 0.7 2.1% 7683 ダブルエー 7月4日 0.4 2.2% 5290 ベルテクス 7月3日 0.4 0.2% 1723 日本電技 6月15日 0.3 0.2% 9368 キムラユニティー 7月3日 0.3 0.1% 7126 グローバルスタイル 7月3日 0.3 2.2% 7814 日本創発 6月5日 0.2 0.2% ※青色の網掛けはグロース上場。株価は7月4日時点

 スクリーニング条件は、(1)過去1カ月内に上場来高値(=この時点では保有者全員が含み益)を付け、(2)上場来高値と今の株価(7月4日終値)の乖離(かいり)が5%未満(=再度の最高値突破も射程圏内)とし、株価が絶好調な銘柄を残しました。


 その中で、「万年夏枯れ銘柄」の基準として、(3)信用買い残が発行済み株数の3%未満(=短期売買をする個人投資家の持ち高が少ない)、(4)売買代金25日移動平均が2,000万円以上、5億円未満(=最低限の流動性はあるが、短期売買をする個人が好んで売買していない)という条件も加えました。


 海外投資家の資金流入とか、証券会社のアナリストの評価とか、個人投資家からの人気とか、縁が無さそうな小型株ばかり出てきました。夏枯れ相場など関係無し、知る人ぞ知る存在ながら、実は株価が激強! そんな中小型株は…東証スタンダード、グロースに上場する全銘柄中でも11銘柄だけでした。ぜひチェックしてみてください!


(岡村 友哉)

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