身の丈を超えた金額を投資した結果、残念な結果に
先日、とある個人投資家がこんなことを言っていました。
「ある株を買ったのですが、ちょっと下落したら怖くて損切りしてしまって、その後の上昇に乗ることができませんでした。」とのことでした。
その銘柄のチャートを見ると、確かに足元では順調に上昇しているものの、2023年の秋ごろは横ばいの動きで、ところどころ下がっている局面もありました。
そしてその個人投資家は、その銘柄(1単元300万円くらい)を3単元、つまり300株買ったようでした。合計でおよそ900万円をその銘柄に投じたということです。
筆者であっても、1銘柄で900万円を投下することには躊躇(ちゅうちょ)しますし、その個人投資家からしても、かなり無理をしていたようです。
大きな利益を狙いに行ったら逆に…
その個人投資家に、なぜそんな大勝負をしてしまったのか聞くと、「この銘柄の株価上昇に自信があったので、大きな利益を得たいと思って多額の資金を投入した」との答えでした。
実はこの行動こそが、個人投資家にとって十分注意しなければいけないことなのです。それは「大きな利益を狙いに行った結果、損失を被ってしまう」ということです。
皆さんも重々承知の通り、株価というものはきれいな右肩上がりに一直線に上昇するものではありません。上がったり下がったりしながら、気が付いたら結構上昇していた、という動きをすることが多いわけです。
ですから、「この株が上がる!!」と確信して投資しても、短期間に10%とか15%くらい下落することは日常茶飯事です。
ところが、多額の資金を投下して勝負に出ると、この下落局面で怖くなって売ってしまうケースが多々生じます。
もし無理のない金額に抑えていたならば
例えば投資可能資金が1,500万円の個人投資家が、1株3万円の株を300株(計900万円)買ったとして、この株が短期間に15%値下がりしたら、たちまち含み損が135万円生じてしまいます。株価上昇に自信があったとしても、実際に含み損が膨らんでくると、「さらに株価が下がったらどうしよう」と怖くなってしまいます。
もし、現物ではなく信用取引を用いてレバレッジをかけていたならなおさらです。
でも、その株を300株ではなく100株だけ買った場合はどうでしょうか。
実際、冒頭の例では、損切り価格に達する前に怖くなって損切りした後、株価が大きく上昇し、その個人投資家は非常に悔しい思いをしている、と話していました。
もし300株ではなく100株だけ買っていたら、下落局面を耐えることができ、その後の株価上昇の恩恵を受けることができたのに、と反省されています。
無理をした勝負をすると少しの株価下落でさえ怖くなる
冒頭の個人投資家の方も、損切りのルールを決めて、普段はそれを守っているようでしたが、無理をした勝負をしてしまうと、損切り価格に達する前に、含み損がかなり膨らんでしまうので、怖くなって売却してしまいます。
そしてその後、損切り価格を割ることなく株価が反転上昇し、悔しい思いをしてしまうのです。
筆者としては無理をした勝負はお勧めしませんが、改善の余地があるとすれば、損切り価格からあまり上に離れた株価で買わないということです。
例えば損切り価格が2,700円だとして、この株を3,000円で買った場合、10%下がったところで損切りです。でも多額の資金を投下して無理をした勝負に行くと、10%下がる前に含み損が大きくなるので、我慢できずに売ってしまうのです。
これがもし2,800円で買えたとしたなら、損切りまで3.5%ほどです。この程度であれば我慢できるのではないでしょうか。
株価上昇を確信しすぎるのも危険
このような話をすると、「そもそも株価が下がっても売らずに持ち続けていれば、大きな利益の恩恵を受けられたのに」と思う方も少なくないと思います。
確かに今回の個人投資家のケースも、株価が下がっても売らなければ、その後の上昇に乗ることができたわけですからごもっともな話です。
しかし、今回のケースでは株価が最終的に大きく上昇しましたが、そうならずに株価が大きく下落してしまうこともあります。
自分自身がどんなに株価上昇を確信していても、その自分自身の銘柄分析・判断が誤っていたなら、株価の大きな下落により多額の損失を被ってしまいます。
ですから、今後の株価上昇にどんなに自信があっても、「ここまで下がったら売却・撤退する」という損切りラインはしっかりと設けておく必要があります。
特に株価上昇局面に乗り遅れてしまったときは、短期間で追いつきたいという思いで無理をした勝負に行きがちですが、そんなときこそ深呼吸して、無理のない範囲で投資するようにしてください。結局はそちらの方が良い結果につながることになります。
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(足立 武志)