「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第27回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。


今日のクイズ:人気の小型成長株が急落、売りか買いどっち?

 成長株として人気のA社の株価が下のチャートで示したように急落しました。ここは売って損切りをするか、株価の回復を期待して買いを入れるか、どっちを選択したら良いでしょうか?



100%当たるチャートシグナルはない

 こういうクイズを出すと、「チャートだけでは今後の株価は分かりません」とお答えになる方もいます。その通りです。チャートに基づく投資判断は、100%当たるものではありません。


 ただし、チャートのパターンを見ることで、統計的に今後上がる可能性が高いか下がる可能性が高いか判断することは可能です。統計的に、7割の確率で上昇するチャートのパターンがあれば、それは立派な買いシグナルです。


 100%当たるものでなくても、チャートのシグナルを見て売買することは意味があります。7割の確率で上昇するパターンが出たら買いを実行、上昇すれば利益が得られます。

もし3割の確率で外れて下がったら、その時はさっさと損切りするだけです。7割で当たるパターンのチャートで勝負し続ければ、長期的には利益を稼ぐことができるはずです。


A社急落、考えられる三つの理由

【1】成長ストーリー崩壊なら、絶対、手出し厳禁!


 株価は、ここからさらに暴落します。


【2】高成長株が、安定成長株になったのなら、買うのは、時期尚早。


 高成長の期待が裏切られたならば、失望して売ってくる人がまだいると思います。株価は、ここからさらに大きく下がります。


【3】高成長ストーリーに変化なし


 上昇ピッチが速すぎたのでスピード調整しているだけなら、13週移動平均線を割れているので、リバウンド狙いの買いが入るかもしれません。

ただ、戻り売り圧力も強そうですから、上昇トレンドに戻るのに時間がかかるでしょう。


クイズの正解:テクニカルで判断すると「売り」

 テクニカルだけで判断するならば、「売り」


 5,200円の高値で500万株近い出来高があります。ここで買った人は、「しまった!戻ったら売りたい」と思っています。ところが、株価3,800円まで下がっところで出来高が激減しています。買い手が急減したことが分かります。これでは戻りを試すのは難しそうです。もし高値で買ってきた人の一部が、損切りの売りを出してくると、株価はさらに下がる可能性があります。


 従って、A社株を保有しているならば、いったん売るべきです。保有していないならば、買いは控えて様子見をした方が良いと思います。


 どういう理由で急落したのか、足元の業績はどうなっているのか分からないまま、ただ「下がったから買い」と判断するのは、成長株で大きな損をするリスクがあります。


 もちろん、A社のビジネスモデルや足元の業況を調査した上で、ここはいい買い場だと判断して買うならば、問題ありません。それにしても、すぐ買うのではなく、少し時間を置いてから買った方が良いと思います。


 チャートだけ見て判断するならば、「売り」です。


人気の成長株は値動きが荒い

 みんなが熱狂している成長株を、一緒に買ってそのまま長期投資をしても、必ずしももうかりません。株価チャートを見てください。ひょっとして株価は短期的に2倍に急騰した後ではありませんか? 株価チャートには、もう「赤信号」が出ています。たとえ、業績が安定的に伸びていても、人気が冷めれば、株価は急落することもあります。


<人気の成長株にありがちな株価・業績変動のイメージ>

 急落してきた成長株に安易に飛びつくのも危険です。


 Don’t catch falling knives.


 落ちてくるナイフをつかんではいけない(英語の相場格言)


 急落している株を買うと、さらにもっと下がることもあります。


(窪田 真之)