今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは151.35円↓下値メドは149.65円円安:植田総裁「為替はインフレ見通しに影響与える」
FRB独立性危機:トランプ氏「大統領としてFRBの金利設定についてもっと発言権を持つべき」
豪ドル:RBA「豪経済は、依然として過熱状態」「長期間にわたる高金利を継続する」
金価格:個人マネーがゴールドETFに大量流入
ドル高:成長を維持するための利下げは「ドル高要因」になる
前日の市況
12月4日(水曜)のドル/円相場の終値は150.63円。前日終値比1.05円の「円安」だった。3日(火曜日)はドル/円の下限を確認しに行ったが、この日は上限を探りに行った。

2024年243営業日目は149.56円からスタート。韓国の戒厳令が解除されたことで、一時的にリスク回避のために買われていた円が売られた。東京時間明け方に朝につけた149.52円がこの日の安値。日本銀行が12月の利上げに消極的であるとの報道を受けて、円売りがさらに強まった。日銀の利上げに関しては、植田総裁が追加利上げの時期について「データがオントラックに推移しているという意味では近づいている」と述べたことで、12月19日金融政策決定会合での利上げ観測が高まっていた。
東京時間夜遅くには151円台にのせ、151.23円まで上値を伸ばした。日銀の利上げだけではなくFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待がやや後退したことが、ドル買い/円売りを強めた。パウエルFRB議長は、米国経済の現状や金融政策について、「極めて良好な状態にある」と指摘し、今後の利下げについて「慎重になるだろう」と述べた。ただ雇用関連のデータが弱かったため150円台に押し戻されて終了した。24時間のレンジ幅は1.05円。

ドル/円が11月15日の156.75円をピークにして円高に動いた背景は、FRBの利下げと日銀(日本銀行)の利上げで日米金利差が縮小するとの期待が強まったことだった。
FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録は「緩やかな利下げの継続」を示唆したことで、金利市場ではFRBの12月利下げ確率が60%以上に上昇した。
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング
今日の一言
人はひとりでいるときだけ自由になれる – ショーペンハウアー
Rapture
FRBはインフレに勝利したのか?FRBが金融政策の運営において課せられている法的使命は「物価の安定」と「最大限の雇用」の達成であり、これはFRBのデュアル・マンデートと呼ばれている。
デュアル・マンデートを具体的な数字で示すならば、「物価の安定」とは、コアPCE(個人消費支出)が2.0%の水準だ(現在2.8%)。PCEは、米国の家計が購入した財やサービスを集計した経済指標のことである。そのうち変動の激しい食品とエネルギーを除いた数字をコアPCEという。
「雇用の最大化」とは、失業率がNAIRU(非加速的失業率)の水準で、FRBはこれを4.0%前後と見積もっている(10月失業率4.0%)。
米国の失業率は、過去1年4.0%前後で安定していて、ほぼ完全雇用の状態になっている。「雇用の最大化」を達成できたFRBの、残る使命は「物価の安定」である。FRBの理想は、「失業者を出さずにインフレ目標を達成する」ことである。すなわち労働市場を動揺させることなくインフレ率を下げることだが、その実現は非常に困難だ。
10月のCPI(消費者物価指数)は前年比2.6%で、2022年6月のピーク時に比べて1/3以下になった。
FRBはインフレとの戦いに勝利したのだろうか?もしFRBがコアPCEに注目しているならば、決してそうとはいえない。CPIは予想に反して下げ止まっている。しかしこれ以上高金利を維持することは景気悪化のおそれがあるとして、FRBは利下げの道を選んだ。今後のインフレ抑制は、金利ではなく、労働市場の大幅調整が必要になるのだ。つまり「物価の安定」という使命を達成しようとするなら、今度は「雇用の最大化」を犠牲にしなくてはいけない。「失業者を出さずにインフレ目標を達成する」は非常に困難な作業である。


米雇用統計の事前レポートについてはこちらもご覧ください。
11月米雇用統計 詳細レポート:11月の雇用者数は、大幅増加20万人の予想。FRBの利下げ政策に影響はあるか
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(荒地 潤)