2025年マーケットはどうなる?アナリスト大予想!
2024年のマーケットは良いことも悪いことも多く、波乱の年でした。
新NISAをきっかけに投資を始めた初心者の方に限らず、投資を長年続けてきた経験者の方も、昨年の波乱を過ごして2025年のマーケット事情が不安になっているのではないでしょうか。
そこで、トウシルで連載を持つアナリストや専門家に、2025年の見通しについてアンケート形式でお聞きしました。
注目点や警戒すべきサプライズを知り、少しでも2025年投資戦略の参考になれば幸いです。
※アンケートの回答は2024年12月時点のものとなります
2025年に注目のキーワードを三つ教えて下さい
株式コメンテーター 岡村友哉
トウシル連載: ラブ!中小型株 ハイライト&HOTトピック
- TOB
- 株主還元
- TOPIX(東証株価指数)改革
2024年はIPO(新規公開株)数より上場廃止数の方が多い形となり、前年比で初めて上場銘柄数が減少する年になりました。
TOBは大なり小なり多かったですが、セブン&アイ・ホールディングスにTOB提案が来ているのは驚きで、日本企業は米国株と比べて時価総額が小さく、「どんな会社でも買収対象に挙がる可能性がある」という発見を投資家にもたらしています。
TOBされる可能性が高まっていることに危機感を覚え、またTOPIX改革が行われることもあって、株主還元強化などで株価を上げようとする動きも続くはず。
金融文筆家 田代昌之
トウシル連載: 田代くん注目!気になる5銘柄
- 少数与党
フランス、ドイツ、韓国など少数与党の国は政治が混乱している。必ずしも株安につながらないが、政治の安定化は外国人投資家の買い意欲を誘うので注目している。まずは7月の東京都議会、参議院選挙に注目。
- 防衛
トランプ政権発足によって、日本の防衛が問われる時代となる。特に、石破政権は防衛大臣または防衛庁長官出身者が石破茂氏含めて4名もいることで、日米地位協定含め防衛に対する考えがより真剣になると考える。防衛関連銘柄に注目。
- 脱デフレ
政府もしくは経産省が正式に宣言するかは不明だが、来年のどこかでは「脱デフレ」の流れは明確になると考える。不動産や銀行、建設、地方創生銘柄など国内インフラ銘柄に注目。
パラソル総研 執行役員副社長 倉持靖彦
楽天証券トウシルYouTube
- ルネッサンス
技術革新の継続
(三つのルネッサンス:原子力ルネッサンス、データルネッサンス、製造業ルネッサンス)
- 金利のある世界の定着
名目・実質GDP(国内総生産)の成長
賃金の上昇
キャピタルゲイン・利子・配当所得の増加の好循環
- トランプ大統領の政策
偉大な大統領になれるか
マリン・ストラテジーズ シニアマーケットストラテジーズ 香川 睦
トウシル連載: 資産形成入門!グローバル投資のトビラ
- アメリカ・ファースト
- トランプ劇場
- 米中対立の激化
第2期トランプ新政権は、「米国第一主義」を貫くために想定よりも早い組閣(重要ポストの指名)が進んでいる。株式市場では減税政策や規制緩和が生み出すプロビジネスとアニマルスピリッツの向上を評価し始めている一方、関税引き上げを中心とする対外強硬策や不法移民強制退去がインフレ再燃要因ともなり得る。
2025年は「トランプ劇場の第2幕開演」で金融市場のボラが高くなりそうだ。
ハッサク
トウシル連載: ハッサクのなるほど為替超入門
- トランプ次期大統領の政策とイーロン・マスク氏の行政改革
トランプ次期大統領の政策がどのような時間軸で発動されるのか注目しています。イーロン・マスク氏の行政改革は人員削減など短期間で効果が出てくるものも予想されるため、インフレ懸念が後退し金利低下要因になるシナリオも想定しています。
- 日米金融政策
2025年は日米金融政策の変更ペースが1年を通して材料になると思われます。ウサギかカメかではなく、どちらのカメがより遅いかが材料になりそうです。
- 原油価格
トランプ政権下の石油増産と産油国の増産、中国の需要減が重なり、逆オイル・ショックが起こるシナリオを警戒しています。
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
トウシル連載: 週刊コモディティマーケット
- 過去の常識は材料の一部
過去の常識は、一部であり全てではない。例えば、金(ゴールド)市場ある過去の常識の一つに「株価と金(ゴールド)相場は逆相関」があるが、2024年8月初旬、米国の主要な株価指数が急落した際、金相場も下落した。
また、「有事の金買い」という過去の常識もあるが、ウクライナ戦争が勃発して有事ムードが強まった2022年の金相場の年間騰落はマイナスだった。(いずれも世界標準のドル建て金(ゴールド)の場合)。
- 複数の材料の同時注目
過去の常識を含む、複数の材料を同時に観察することが求められている。金(ゴールド)と原油に関わる。これらが同時に上昇圧力や下落圧力をもたらし、それらの影響度が相殺され、価格が決まっているのである。
「分かりやすいから」という理由で、見たい材料だけを見る、感じたい材料だけを感じる、信じたい材料だけを信じるなど、偏った注目の仕方は、近年の相場分析になじまない。材料が同時に複数、存在していること、それらが上下の圧力をもたらしていることに、留意しなければならない。
(具体的な複数の材料については、 コモディティ編 の回答で述べている。)
- ラーニング(学習)ゾーン
人間は、二つのゾーンどちらかに属しているといわれている。コンフォート(快適)ゾーンとラーニング(学習)ゾーンである。
コンフォートゾーンとは、安全・安心を重んじ、低リスク・リターンで少し退屈、安全と制御への誤解をはらむ安心・退屈な状態、そして、他人に気を取られ、言い訳・弁解をし、自尊心が低く、間違いを気にする依存・低信頼の状態である。物事を「点」でとらえる傾向がある。
一方、ラーニングゾーンとは、過ちを認めつつ、挑戦して問題を解決し、新しいスキルを獲得し、高い自尊心を持つ自立・高信頼の状態、さらには、夢を謳歌(おうか)して高揚感に浸り、目的と意義を発見し、新しいゴールの設定する誰・何にも制限されない状態である。
物事を「線」や「面」でとらえることができる。投資活動を行うためには、ラーニング(学習)ゾーンにいることが望まれる。
上記で述べた「過去の常識が材料の一部であること」を認識したり、「複数の材料を同時に注目すること」を実践したりするためには、ラーニングゾーンに到達している必要があるためだ。
楽天証券経済研究所チーフエコノミスト 愛宕伸康
トウシル連載: 3分でわかる!今日の投資戦略 (水曜日)
- インフレ
- 長期金利
- 参院選
米国など、インフレがこのまま沈静化するとは考えにくく、既往の財政赤字と相まって長期金利に波乱が訪れないとも限らない。日本では、7月の参院選に向けた、あるいはその後の政局が市場を大きく揺るがす可能性がある。
楽天証券経済研究所・客員研究員 加藤嘉一
トウシル連載: 軋む中国 共産党と民主化、強大経済を読む
- 台湾有事
- トランプリスク
- 日本政局
日本の市場を取り巻く状況を根本的に左右し得るから
株式コメンテーター 岡村友哉
トウシル連載: ラブ!中小型株 ハイライト&HOTトピック
・1980年6月生まれ。関西学院大学経済学部卒業後、大手証券会社に入社。株式や投資信託などの営業を経験後、金融情報会社・株式担当アナリストに。IPO企業の調査レポート作成、先物・オプションなどデリバティブ市場のリアルタイムコメントを機関投資家向けに配信。2010年11月、金融ジャーナリストとして独立。経済番組のコメンテーターとして出演するほか、マネー誌、各種セミナー講師として活動。投資情報会社・カブ知恵の客員アナリストも務める。
金融文筆家 田代昌之
トウシル連載: 田代くん注目!気になる5銘柄
・1979年生まれ、北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て、金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の経営に従事。IFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA®)を保有。酒と古地図と歴史をこよなく愛する。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
パラソル総研 執行役員副社長 倉持靖彦
楽天証券トウシルYouTube
・早稲田大学卒業後、1988年、和光証券(現みずほ証券)に入社。(財)郵貯資金研究協会投資分析部、新光総合研究所投資調査部出向を経て、エクイティ情報部に復帰。定量分析や日本経済エコノミスト、日本株、米国株ストラテジスト業務に従事、2009年、投資情報部長。2020年、商品企画部副部長現商品業務部、2024年4月より現職。
みずほ証券公式YouTube、楽天証券トウシルYouTubeにて毎月、日本株、米国株見通しを発信
マリン・ストラテジーズ シニアマーケットストラテジーズ 香川 睦
トウシル連載: 資産形成入門!グローバル投資のトビラ
・神奈川県出身。
ハッサク
トウシル連載: ハッサクのなるほど為替超入門
・大手金融機関でセールス業務、為替ディーリング(22年)に従事し、若手社員にも為替関連業務を教示してきた大ベテラン。「お金は戦後最大の成長産業」と言い切り、「新聞などの身近な情報で為替分析」がモットー。
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
トウシル連載: 週刊コモディティマーケット
・1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。
楽天証券経済研究所チーフエコノミスト 愛宕伸康
トウシル連載: 3分でわかる!今日の投資戦略 (水曜日)
・1991年神戸大大学院経済学研究科修了後、日本銀行。政策委員会審議委員スタッフ、物価統計課長、日本経済研究センター主任研究員(チーフフォーキャスター)などを歴任。岡三証券チーフエコノミスト、いちよし証券上席執行役員チーフエコノミストを経て、2023年10月より現職。東京財団政策研究所主席研究員なども兼任。著書に『日本経済 30の論点』日本経済新聞出版(2022年、共著)など。
楽天証券経済研究所・客員研究員 加藤嘉一
トウシル連載: 軋む中国 共産党と民主化、強大経済を読む
・1984年静岡県生まれ。北京大学国際関係学院大学院修士課程修了。米ニューヨークタイムズ中国語版コラムニスト、香港大学アジアグローバル研究所兼任准教授。日本語での書籍に『中国民主化研究:紅い皇帝・習近平が2021年に描く夢』(ダイヤモンド社)など。
(トウシル編集チーム)