米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。その理由の一つとして、常に企業の新陳代謝が起こり、時代ごとに革新的な企業を生み出していることが挙げられます。
米国株式の代表的な株式指数は、鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「NYダウ平均株価」、NASDAQ(ナスダック)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合株価指数」、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」があります。
これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。
そこで2025年3月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します。
▼参照データ
• 株価… 楽天証券 のHPにて、日本時間2025年2月6日10時時点を採用
• 時価総額… 楽天証券 のHPにて、日本時間2025年2月6日時点の記載情報を採用
• 配当情報、決算情報… Investing.com のHPにて、日本時間2025年2月6日時点の記載情報を採用
• 為替:1ドル=153.00円で計算
※上記日付のデータで数値を抽出・算出しております。記事公開後の市況変動で数値が異なる場合がございますので、ご了承いただきますようお願いいたします。
その前に、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な三つの違いについて、お伝えします。
(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。
ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。この場合は米国で10%の課税のみとなります。
※米国市場で上場していても、国籍が米国籍企業以外の場合、配当金にかかる源泉税率は日本との租税条約によって異なり10%ではありません。
(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。
(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積もれば大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。
2024年に制度改正された新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠に分かれていますが、米国株も投資できる成長投資枠では、年間240万円を運用期間無期限かつ最大1,200万円まで投資が可能となり、制度期間も恒久化されています。
とはいえ、米国株でNISAを必ず枠全部まで利用しなければいけないわけではありません。運用期間が無期限になったことにより、自分のペースで投資をすることができますので、無理のない範囲で長期投資の手段として有効活用していきましょう。
【2024年からの新NISA制度について、詳しい説明は こちら 】
米国高配当株1: キンバリークラーク(KMB)
1872年に設立され、主に、繊維、不織布、吸収体における高度な技術を駆使し、天然繊維や合成繊維、素材から作られる幅広い製品の製造・販売に従事しています。
キンバリークラークのブランドは175 カ国以上の人々の生活に欠かせない存在となっており、そのブランドは約70カ国でシェア第1位または第2位を占めています。
2024年にはフォーチュン誌の「米国で最も革新的な企業」の1社に選ばれ「より良い製品、より良い職場、より良い地球、より良い社会」の実現に取り組んでいます。
時価総額は429億100万ドルで、日本円で約6兆5,600億円となっています(1USD=153.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「パーソナル・ケア事業(Personal Care)」で、続いて「コンシューマー・ティッシュ事業(Consumer Tissue)」「KCプロフェッショナル事業(K-C Professional)」となります。
「パーソナル・ケア事業」では、紙おむつ、トレーニングパンツ、スイムパンツ、ベビーワイプ、失禁ケア製品、再利用可能な下着、その他の関連製品などを通じて、消費者に信頼を提供するとともに自分自身と家族のケアにおける信頼できるパートナーであり続けています。
また、「コンシューマー・ティッシュ事業」では世界中の家庭の日常生活を向上させる革新的なソリューションと信頼できるブランドを幅広く提供しており、フェイシャルティッシュ、バスティッシュ、ペーパータオル、ナプキンおよび関連製品を提供しています。

競合他社
競合他社として、世界中の消費者にブランドの消費者向けパッケージ商品を提供することに重点を置く プロクター・アンド・ギャンブル(PG) 、パーソナルケア製品の製造販売会社である エッジウェル・パーソナル・ケア(EPC) 、ペットケア、動物の健康・栄養、液体浄化、農業原料、スポーツ分野、工業および自動車市場向けの特殊吸着剤製品の製造・供給会社である オイル・ドリ・コーポレーション・オブ・アメリカ(ODC) などがあります。
株式の注目ポイント
株価は昨年近辺の水準で推移しており、配当は53年連続で増配しています。
直近の決算で会社側は、「2024年はキンバリークラークにとって画期的な年であり、変革的な複数年にわたるPowering Care戦略を開始し、組織を世界クラスの機能サポートを備えた三つの強力なセグメントに再編成することに成功し、当社の通期業績は、組織全体の一貫した実行力に支えられた新たな長期的成長アルゴリズムを上回り、2025年以降の戦略を加速させるための強固な基盤を確立することができました」と発表しています。
この決算が発表された後、株価への影響はほとんどありませんでしたが、その後に3月の配当では今年も増配することが発表されています。
元々、株価が大きく変動する銘柄ではなく毎年増配していることから、配当を目的として保有されるのもよいのではないでしょうか。
業績動向
2025年1月28日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を若干下回り、売上は市場予想を上回りました。
直近の決算で会社側は、「私たちは数量プラスミックスの上方転換を伴う有機的なトップラインの成長を実現することができ、これは生産性の向上と相まって調整後利益の力強い伸びをもたらし、競争優位性を高めるための投資に拍車をかけました」と発表しています。
続けて、「私たちはキンバリー・クラークの新たな一歩に興奮しており、この勢いをさらに加速させ、全てのステークホルダーの価値を高めることを楽しみにしています」とも発表しており、今後も堅調な業績とそれに伴う株価の推移が期待されます。
次回2025年4月29日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
世界的な規模で事業を展開するとともに製品を販売しており、事業戦略には中南米、アジア、中東、アフリカでの成長を目標としているものの、一方でこれらの地域におけるカントリーリスクも伴うことに会社側は懸念を表明しています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:5.04ドル
配当利回り:3.89%
株価:129.25ドル(約1万9,700円)
この銘柄の権利落ち日は3月7日(権利実施は4月2日)です。
配当利回りは2月6日時点で3.89%、2月6日10時時点の株価は129.25ドルでおよそ1万9,700円から購入できます(1USD=153円計算)。
2023年からの最高値は148.35ドル、最安値は116.86ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株2: リオ・ティント(RIO)
世界35カ国で事業を展開しており、5万7,000人もの従業員が世界で必要とされる資源のより良い提供方法を見いだすために働いています。
ポートフォリオには、鉄鉱石、銅、アルミニウム、そして人々や地域社会、国家が成長し繁栄するために、また世界が二酸化炭素排出量を実質ゼロに削減するために必要な、その他のさまざまな鉱物や資源が含まれています。
150年以上にわたる採掘および加工の経験が、リオ・ティントの業務を導いており、現在ではより安全で効率的な業務運営と、より軽微な環境負荷を実現するため、自動化や人工知能などのテクノロジーを活用しています。
時価総額は1,033億8,650万ドルで、日本円で約15兆8,100億円となっています(1USD=153.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「鉄鉱石事業(Iron Ore)」で、続いて「アルミニウム事業(Aluminium)」「銅事業(Copper)」「鉱物資源事業(Minerals)」となります。
「鉄鉱石事業」では、製鉄の主要原料である鉄鉱石の世界有数の生産者として、西オーストラリア州ピルバラ地域では17の鉄鉱山、四つの港湾ターミナル、1,900キロメートルにわたる鉄道網を運営しています。
また、「アルミニウム事業」では、ソーラーパネルや送電線からジェットエンジン、電気自動車、スマートフォンに至るまで、さまざまな製品に使用されているアルミニウムを取り扱っています。

競合他社
この銘柄は楽天証券では競合が開示されていません。
株式の注目ポイント
株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は年によって変動しています。
2024年第4四半期の事業レビューで会社側は、「2024年の当社の業績は良好で、収益性の高い成長を実現するための戦略を実行しながら事業強化に継続的に取り組んでおり、当社の安全生産システムの導入は、ピルバラの鉄鉱石資産や、アムランとゴブが年間生産量記録を達成したオーストラリアのボーキサイト事業など、主要事業全体の一貫性をさらに高めることに貢献しました」と発表しています。
元々、株価の変動が大きい銘柄ではなく配当は年2回ですが、配当利回りは6%を超える見込みとなっており、配当を目的として中長期で保有されてもよいのではないでしょうか。
業績動向
2024年10月15日開示の四半期決算では、市場予想は発表されていません。
2025年1月16日に発表された2024年第4四半期の事業レビューで会社側は、「当四半期にはアルゼンチンのリンコン・プロジェクトにおいて、リチウムの初出荷と事業拡大の取締役会承認という重要なマイルストーンが達成され、当社の事業能力と電池材料分野での成長への意欲を実証するものとなり、世界的なエネルギー転換に不可欠な素材に対する長期的な需要への自信を原動力として、魅力的な株主還元を実現し、成長する事業を構築するという戦略の実行に引き続き注力していきます」と発表しています。
特に銅鉱石生産量は69万7,000トンで、2023年より13%上昇するなど事業が拡大しており、今後も新規事業と既存事業の業績の拡大が期待されます。
次回は2025年2月19日に四半期決算の開示予定ですが、前年同期の業績を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
現状は株価にあまり影響は出ていませんが、トランプ大統領の関税引き上げ次第では同社へ大きな影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:4.35ドル
配当利回り:7.08%
株価:61.37ドル(約9,400円)
この銘柄の権利落ち日は3月上旬の予定(権利実施は4月中旬)です。
配当利回りは2月6日時点で7.08%、2月6日10時時点の株価は61.37ドルでおよそ9,400円から購入できます(1USD=153円計算)。
2023年からの最高値は80.40ドル、最安値は58.19ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株3: クラフト・ハインツ(KHC)
企業理念である「Let's Make Life Delicious」を基に、変革をし続けている企業です。
全ての活動の中心には消費者がいるという考えのもと、象徴的かつ新進気鋭の食品および飲料ブランドをグローバル規模で成長させることに尽力しています。
その規模と機敏性を生かし、消費者主導の八つの製品プラットフォームからなるポートフォリオ全体で、クラフト・ハインツの持つ力を最大限に発揮しています。また、世界市民として持続可能で倫理的な影響を与えながら、健康で責任ある方法で世界に食糧を供給することに尽力しています。
時価総額は347億300万ドルで、日本円で約5兆3,000億円となっています(1USD=153.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「北米事業(North America)」で、続いて「国際先進国事業(International Developed Markets)」、「新興国事業(Emerging Markets)」となります。
2024年第1四半期に、社内報告体制および報告セグメントが変更されたことで、地理的地域別に定義された二つの報告セグメント、すなわち「North America」と「International Developed Markets」を有するとともに、残りの事業セグメントであるWEEM(西側および東側新興市場)とAEM(アジア新興市場)は、「Emerging Markets」として統合され、開示されています。

競合他社
競合他社として、人間と動物の栄養食品会社である アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM) 、6大陸の100カ国に100以上のブランドを持つブランド消費者向け食品のグローバルメーカーおよびマーケティング担当者である ゼネラル・ミルズ(GIS) 、手頃な価格の食品と飲料を提供する ザ・キャンベルズ・カンパニー(CPB) などがあります。
株式の注目ポイント
株価は昨年の水準を下回って推移しており、配当は横ばいで推移しています。
元々株価の変動が大きい銘柄ではなく、ここ5年間は一定の範囲内で株価が推移してきました。
ただ、直近ではトランプ大統領の関税による影響や、インフレによって消費者がより安いプライベートブランドを求めようとする消費活動の変化で売り上げが落ち込むなど、環境の変化によって株価が下落して推移しています。
一方で、昨年までは4%台だった配当利回りも現在では5%台まで上昇しており、ハインツやクラフトなどの強力なブランドを有している状況は変わらないので、この利回りが高い状況で配当を目的として中長期で保有されてもよいのではないでしょうか。
業績動向
2024年10月30日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上は市場予想を下回りました。
直近の決算で会社側は、「第3四半期には当社の戦略的2本柱の売上高が予想通りに成長しており、今後を見据えるとこの二つの柱で引き続き勢いが持続すると予想するとともに、米国の小売事業を見ると今まで圧力を受けている特定のカテゴリーが反発し、長期的な回復が予想される状況となっています」と発表しています。
また、「回復には当初の予想よりも時間がかかっていますが、当社の長期的な戦略を見失うことはなく、利益成長を促進し、強力なキャッシュフローを生み出し、株主の皆さまに資本を還元する能力に自信を持っています」とも発表しています。
次回は2025年2月12日に四半期決算の開示予定ですが、前年同期の業績を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
会社側は、「2023年度の純売上高の約31%は米国外で発生しましたが、その結果、当社はグローバル事業特有のリスクにさらされています」と発表しており、関税などの問題が浮かび上がってきています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:1.60ドル
配当利回り:5.57%
株価:28.61ドル(約4,300円)
この銘柄の権利落ち日は3月上旬の予定(権利実施は3月下旬)です。
配当利回りは2月6日時点で5.57%、2月6日10時時点の株価は28.61ドルでおよそ4,300円から購入できます(1USD=153円計算)。
2023年からの最高値は42.59ドル、最安値は28.51ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株4: スパイア(SR)
国内最大級の天然ガス上場企業として、毎日170万世帯の家庭や企業にガスを供給しており、アラバマ州、ミシシッピ州、ミズーリ州をサービスエリアとするガス公益事業を通じて、人々が日々の生活に燃料を供給するお手伝いをしています。
スパイア・ミズーリ・インク、スパイア・アラバマ・インク、その他のガス公社の関連持株会社として2000年に設立されたスパイアは、有機的な成長、インフラへの投資、技術革新による前進を通じて、事業の変革と成長の追求に取り組んでいます。
時価総額は41億600万ドルで、日本円で約6,200億円となっています(1USD=153.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「ガス事業(Gas Utility)」で、続いて「ミッドストリーム事業(Midstream)」「ガス・マーケティング事業(Gas Marketing)」となります。
「Gas Utility」では、ミズーリ州最大の天然ガス配給公益システムであるスパイア・ミズーリ・インクを通じてセントルイス、カンザスシティ、その他ミズーリ州の約120万世帯の住宅、商業、工業用顧客にサービスを提供しています。
「Midstream」では中流部門において、天然ガス出荷のための主要供給流域へのアクセスを提供することにより、成長を促進することを目指しています。

競合他社
競合他社として、エネルギーインフラストラクチャー会社で、エネルギー開発サービスの提供を行う ニュー・フォートレス・エナジー(NFE) 、持株会社で、100%子会社であるSouthwest Gas Corporation(Southwest)とCenturi Group, Inc.(Centuri) を通じて事業を展開する サウスウェスト・ガス・ホールディングス(SWX) などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を若干上回って推移しており、配当は昨年増配しています。
業種柄株価の変動はあまり大きくなく、2021年からは一定の範囲内で上下を繰り返しています。
また、株価の変動は大きくないものの業績が安定していることから現在22年連続で増配中となっています。
天候の影響によってガスの使用量が変動することで業績が悪化する可能性は今後もあるものの、それでも他の業種に比べると業績は安定しています。配当利回りは4%を超えていて、今後も増配が続くと仮定すると、配当を目的として保有するのもよいのではないでしょうか。
業績動向
2025年2月5日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。
直近の決算で会社側は、「第1四半期の業績は、安全性を重視し、堅調な営業成績を維持しながら、戦略を実行したことを反映しており、今後の見通しとして、2025年度の収益は引き続き1株当たり4.40ドルから4.60ドルの範囲になると予想するとともに、私たちは信頼できる安価なエネルギーで顧客と地域社会に安全にサービスを提供しながら、財務目標と卓越した運営を達成することに全力を尽くします」と発表しています。
次回2025年4月30日に開示予定の四半期決算で、前年同期を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
天候なので仕方がないことですが、暖冬だとガスの使用量が減り、業績にとってマイナスの影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:3.14ドル
配当利回り:4.41%
株価:71.22ドル(約1万0,900円)
この銘柄の権利落ち日は3月11日(権利実施は4月2日)です。
配当利回りは2月6日時点で4.41%、2月6日10時時点の株価は71.22ドルでおよそ1万0,900円から購入できます(1USD=153円計算)。
2023年からの最高値は75.59ドル、最安値は54.75ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株5: キーコープ(KEY)
Bank Holding Company Act of 1956に基づく銀行持株会社であり、全米最大級の銀行系金融サービス会社です。
キーコープは子会社のキーバンク・ナショナル・アソシエーションを通じて銀行サービスを提供しており、個人、法人、機関投資家に対し、リテール・バンキング、コマーシャル・バンキング、コマーシャル・リース、投資管理、消費者金融、学生ローンの借り換え、商業用住宅ローンのサービシング、投資銀行業務など幅広い商品・サービスを提供しています。
時価総額は198億6,600万ドルで、日本円で約3兆400億円となっています(1USD=153.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「商業銀行事業(Commercial Bank)」で、続いて「消費者金融事業(Consumer Bank)」となります。
「商業銀行事業」では、15州にわたる支店網内の中規模市場顧客の借入、キャッシュ・マネジメント、資本市場のニーズへの対応を主眼とする総合的な法人向け銀行で、「消費者金融事業」では個人および小規模事業者のお客さまに、また、ローレル・ロードのデジタルブランドを通じて全米の医療従事者のお客さまに、さまざまなサービスを提供しています。
競合他社
競合他社として、子会社であるEast West Bankを通じて、個人および企業に幅広い銀行サービスを提供する銀行持株会社である イースト・ウエスト・バンコープ(EWBC) 、個人、中小企業、中堅企業、大企業と機関向けに、リテールおよび商業銀行商品とサービスを提供する シチズンズ・フィナンシャル・グループ(CFG) などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を若干上回って推移しており、配当は横ばいで推移しています。
昨年の秋以降、トランプ大統領の再選が決まったこともあって規制緩和や減税期待が膨らみ、FRB(米連邦準備制度理事会)への利下げの働きかけなどが期待され、株価は上昇しています。
一方、直近の決算では2025年の受取利息予想を下方修正したことで、その後株価が若干下落し、今では決算前の株価を上回っています。
直近の決算で会社側は「2025年以降も健全かつ収益性の高い成長を遂げる体制が整っています」と発表しており、今後も4~5%台の配当と、堅調な株価の推移が期待されます。
業績動向
2025年1月21日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上は市場予想を下回りました。
直近の決算で会社側は、「当行の第4四半期の業績は、年度末を力強く締めくくる結果となり、調整後ベースで収益は前年同期比で16%、前期比で11%増加し、純受取利息は前期比で10%増加し手数料は比較対象期間と比較して大幅に増加し、2四半期連続で前年同期比で正の営業レバレッジを達成しました」と発表しています。
また、「戦略的かつ手数料ベースの各事業、すなわち、ウェルスマネジメント、商業決済、投資銀行業務において引き続き大きな進展を遂げました」とも発表しており、今後も堅調な業績が期待されます。
次回2025年4月17日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
キーコープだけではありませんが、銀行を取りまくさまざまな規制や、金利水準によって業績に影響が出る点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:0.82ドル
配当利回り:4.56%
株価:17.85ドル(約2,700円)
この銘柄の権利落ち日は3月4日(権利実施は3月14日)です。
配当利回りは2月6日時点で4.56%、2月6日10時時点の株価は17.85ドルでおよそ2,700円から購入できます(1USD=153円計算)。
2023年からの最高値は20.05ドル、最安値は8.93ドルとなっています(終値ベース)。
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(西崎努)