「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第67回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ
今日は、みなさまに小売業アナリストになるための初歩をお教えするクイズを二つ出します。
<1>良い立地はどっち?
スピードを出して走る車の多い4車線道路(片側2車線・中央分離帯あり)があります。
この道路沿いにファミリーレストランを出店します。候補地として以下のA・B二つがあります。どちらを選んだら良いでしょう?

<2>良い立地はどっち?
ドラッグストアを出店します。候補地として、以下のA・Bがあります。どちらを選んだら良いでしょう?
なお、どちらもロードサイドの店です。違いは、隣にある店だけです。Aは隣が家具専門店と紳士服店です。Bは隣が食品スーパーと焼きたてパン店です。


アナリストの仕事
証券アナリストの仕事は、上場企業を調査して「買い」「売り」といった投資判断を提供することです。そのためには決算説明会を聞き、財務諸表を分析することが必要です。
ただし、それだけでは足りません。極力、現場も見る必要があります。
例えば、すごいブームで出店を急拡大して、大幅増収増益している小売業があった時は、その店舗を見てみましょう。ブームに浮かれて、店舗の質を落としているようだと、ブームが去った後に、不採算店の山を築くことがあるからです。立地の選択は特に重要で、立地を吟味せずに大量出店しているようならば、先が不安です。
私は、過去に大ブームで大量出店しているステーキ店に行って、これは少し変だと感じたことがあります。案の定、ブームが去った後、そのチェーンは大量閉店に追い込まれました。
正解は…
<1>【A】に出店した方が良い。【B】は悪い立地

中央分離帯のある道路なので、右折で入ってくる車はありません。
入店できるのは、左折で入ってくる車だけです。
【B】は、道路が左カーブした直後なので、店が見えてから慌ててブレーキを踏んでも間に合わず、通り過ぎてしまう可能性の高い立地です。
【A】は、直線道路にあるので、遠くから店の看板が見えます。入りたいと思うドライバーは左車線に入って、少しずつ減速して、入っていくことができます。
私の住んでいる近くに、まさに【B】のような立地があります。
良い立地に見えるので、次に入るレストランがありますが、またいつか退店します。ドライバーにとって入りにくい悪い立地であることに気づくべきです。
<2>【B】に出店した方が良い。【A】はあまり良くない

食品スーパーの隣は、黄金立地と言われます。毎日、買い物客がたくさん来るので、ついでに立ち寄って買い物してもらえる可能性が高まります。焼きたてパン店の隣も、買い物客がたくさん来るので、良い立地と言えます。
家具など「耐久消費財」の店には、そんなにたくさんの人は来ません。従って、家具店の隣は良い立地と言えません。ニトリのように、家具のほかに住居製品・日用雑貨をたくさん置いていれば来店客数が多くなりますが、家具専門店だとダメです。
紳士服店の隣も同じです。
テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ
最後に、個別株投資にチャレンジしたい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。
「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」
「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編 」

(窪田 真之)