日本株は押し目買いで戻りを試すも、トランプ関税への警戒感から上値重い。日銀・FRBともに、金融政策は現状維持、焦点はトランプ関税。

4月に自動車関税、相互関税発動ならショック安も。ただし、トランプ大統領の支持者から反発あれば緩和もあり得るか。こんな時、日本株投資はどうすべきか解説する。


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日経平均は押し目買いで戻りを試すも上値重い

 先週(営業日3月17~21日)の日経平均株価は、1週間で623円上がり、3万7,677円となりました。3月11日にトランプ関税・トランプ不況への不安で一時3万5,987円まで急落しましたが、下がったところでは個人投資家などの押し目買い意欲が強く、そこから急反発しました。


日経平均週足:2024年1月4日~2025年3月21日
トランプ関税に要警戒!急騰・急落どちらもあり得る日本株市場の歩き方(窪田真之)
出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 週足チャートを見ると、下値トライが失敗して、日経平均はまた3万8,000円台へ戻ろうとしているように見えます。ただし4月2日にトランプ大統領が、相互関税や自動車関税を発動すると予告していることもあり、本当に発動されると、再び急落する可能性もあります。トランプ関税しだいで、ここから急騰も急落もあり得る、とても悩ましい局面です。


日米とも金融政策は「様子見」、トランプ関税の影響見きわめ必要

 先週3月19日に、日本銀行金融政策決定会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。


 日銀(日本銀行)は「利上げせず」、FRB(米連邦準備制度理事会)は「利下げせず」、ともに様子見となりました。日銀は先行き利上げする方針を維持したものの、トランプ関税の影響が分からないため、3月は利上げ見送りとなりました。4月2日のトランプ関税で、世界的な不況になって、日本も巻き込まれるリスクを警戒していると考えられます。


 FRB(米連邦準備制度理事会)も、年内に2回利下げする見通しを維持【注】したものの、トランプ関税によってインフレが再燃するリスクを警戒して、3月は利下げ見送りとなりました。ただし、利下げは見送ったものの、量的引き締めを縮小することを決定しており、少しずつ金融緩和を進めつつあります。


【注】年内2回利下げの見通しを維持
 19日に公表されたドットチャート(FOMCメンバーによる先行きのFF金利予測中央値)で、2025年末のFF金利予測は3.9%でした。つまり年内に0.25%の利下げが2回あると予測していることになります。


 これ以上、トランプ関税の発動がないならば、米景気はソフトランディング、世界景気の緩やかな拡大が継続すると期待されます。ところが、関税戦争がどんどんエスカレートして、世界不況におちいるリスクも意識されています。世界景気の順調な拡大が続くか、あるいは突然景気後退に見舞われるのか、正念場です。焦点となるのはトランプ関税です。


トランプ関税を止められるのは支持者の反発だけ?

 4月2日に自動車に25%関税を課すと予告、さらに世界各国に「相互関税」を課すとしていることが不安を高めています。さらに半導体・医薬品などにも関税を課すと予告していて、どこまで関税をエスカレートさせるか分かりません。


実施済み、実施予告中のトランプ関税
トランプ関税に要警戒!急騰・急落どちらもあり得る日本株市場の歩き方(窪田真之)
出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成

 トランプ大統領の暴走を止められるのは、トランプ大統領支持者からの反発だけのように思われます。トランプ関税は、大統領支持者にもダメージを与えて始めていて、支持者の反対がどれくらい広がるかが重要な局面となっています。


トランプ関税が大統領支持者にもダメージ
トランプ関税に要警戒!急騰・急落どちらもあり得る日本株市場の歩き方(窪田真之)
出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成

 トランプ関税は、トランプ大統領の支持層にもダメージを与えています。すでに中国に追加関税20%を発動、メキシコ・カナダからの輸入品の一部【注】に25%関税を発動しています。鉄鋼・アルミニウムに25%関税も発動しています。


【注】メキシコ・カナダからの輸入品の一部
 メキシコ・カナダからの輸入品のうち、自動車およびUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)適合品は、関税対象から除外されています。


 トランプ大統領の支持者から、関税に反対する声が高まれば、関税を使った対外強硬策も緩和せざるを得なくなると考えられます。ただし、何をするか予測不能なところが、トランプ流です。短期的には景気後退も辞さないと解釈される発言をしているトランプ大統領が、どこまで関税戦争をエスカレートさせていくか予測がつきません。


日本株は長期投資で良い買い場と判断

 結論は、毎週述べていることと同じです。日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと判断しています。今、日本株は長期的に良い買い場を迎えていると考えています。


 ただし、トランプ関税ショックはまだ終わっていない可能性があります。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。


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(窪田 真之)

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