1-3月期決算はホテル供給過多でやや低調、業界指標の改善に伴う再評価に期待

現地コード 銘柄名 01179

華住集団有限公司


(エイチ・ワールド・グループ)


株価 情報種類

30.10HKD
(3/21現在)


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 中国の大手ホテルチェーン、華住集団の2025年1-3月期決算は、売上高が前年同期比2%増、調整後利払い・税引き・減価償却前利益(EBITDA)が5%増と、経営陣が事前に示したガイダンスおよび市場コンセンサス予想とほぼ合致した。BOCIは中国国内のホテル供給の増加を受けた1室当たり売上高(RevPAR)の下押し圧力と、資産軽量化を進める海外事業(独シュタイゲンベルガーホテルズ)の苦戦という2点が同期決算に反映されたとの見方。

ただ、こうしたマイナス要因は時間とともに薄れるとし、すでに最悪の局面は脱したと指摘している。短期的な成長期待は弱くても、業界全体の統計値の段階的な改善が同社株価の再評価を後押しすると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 1-3月期の売上高は前年同期比2%増の5,395億元、調整後EBITDAは5%増の1,496億元。国内業界全体の供給過剰感を受けた客室単価の下落に加え、リース・自社所有(L&O)方式から運営委託・フランチャイズ(M&F)方式へのシフトによる売上構成比の変化が影響した。宿泊料がフランチャイズ料に変わり、客室単価が低下したためで、この要因を除けば、M&Fホテル全体の業績(21%増収)はBOCIの予想をやや上回る水準。堅調なレジャー需要とホテルの新規開業(前年同期比19%増に当たる1,880軒の増加)効果が後押しした。


 続く4-6月期について、経営陣は前年同期比1-5%の増収を予想。同時に通期のホテル開業目標を2,300軒に維持することを確認した。1-3月期に694軒を新規開業したことから、4月以降はややペースダウンする見通しだが、これは既存ホテルの利益保護が目的という。業界全体が客室数の増加分を吸収するまでには、ある程度時間がかかるとみられるものの、調査会社STRによれば、5月のメーデー連休中にはRevPARに下げ止まり傾向が見られた。この先さらに改善傾向が続けば、7-9月期のガイダンスが上向く可能性がある。


 経営陣によると、1-3月期のRevPARを押し下げたのはビジネス旅行需要の弱さであり、レジャー需要は堅調。こうした中、同社は中・高級セグメントに注力しており、1-3月期には中・高級ホテル数が前年同期比36%増の933軒に達した。これが全体のRevPARの押し上げに寄与し、同社のRevPARは業界全体を上回る水準。BOCIはこの先年内、同様の効果が期待できるとしている。


 BOCIは国内M&F部門の業績が予想を上回ったことを理由に、2025-2027年の予想EBITDAを3.6-4.2%上方修正。引き続き2025年予想EV/EBITDA倍率(EV=企業価値がEBITDAの何倍かを示す指標)12.5倍を当てはめ、目標株価を引き上げた。


 レーティング面の潜在リスク要因としては、国内旅行市場の予想外の鈍化や消費の萎縮、競争激化、予想外の為替差損が発生するなどの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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