27日のドル/円相場は、日銀総裁の利上げ前向き発言で円高に動きましたが、財務省の超長期金利低下の対策が伝わると、142円台から今度は144円台まで円安に動きました。今夜はFOMC議事録が公表されます。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは145.25円↓下値メドは142.35円関税:2.5%の関税は輸入品価格を1.0%押し上げる
欧州債券:本邦機関投資家の欧州債券売却、過去10年の最速ペース
トランプ関税:中国に関税は、「中国からの輸入品の消費税を上げる」と同じ意味
FRB:ジョージ前連銀総裁「利下げはもはや正当化されない」
株と金利:米長期金利5%は米株式市場にとって危険水域
前日の市況
5月27日(火曜)のドル/円相場の終値は144.34円。前日終値比1.51円の「円安」で、1日のレンジ幅は2.35円だった。

2025年105営業日目は142.84円からスタートして、東京時間昼前に142.11円まで下落して今月の安値を更新した。植田日銀総裁が、追加利上げに前向きの発言をしたことが円買いの動きを強めた。
ところが、日本の超長期金利の急上昇を抑えるため、財務省が需給調整に乗り出すことが伝わると、今度は一転して円売りが優勢となった。ドル/円はストップロスを巻き込んで143円台に上昇した。
日本の影響を受けて米国の長期金利も下げたことで、NY株式市場は上昇した。米中の相互関税引下げを好感して米国の消費者センチメントが上向いていることもリスクオンのドル買いを加速させることになり、
夜遅くには144.46円まで上昇してこの日の高値をつけた。
ドル/円:サポートとレジスタンス
レジスタンス:
146.75円 05/15
146.10円 05/16
145.52円 05/20
144.60円 05/21
144.46円 05/27
サポート:
142.11円 05/27
141.97円 04/29
141.45円 04/23
139.89円 04/22
139.58円 24/09/16(2024年 安値)
2025年 主要指標 終値

今日の為替ウォーキング To Be With You
今日の一言
ほんの短い時間でも、ゆったりと「待つ」ことがよい結果を生む場合もある
To Be With You
FOMC(米連邦公開市場委員会)は、5月6日-7日に開催された会合において、政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を、4.25-4.50%の範囲に据え置くことを決定した。決定は市場予想通りで、3会合連続の金利据え置きとなった。
会合後に行われたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の記者会見のポイントは、以下の3つ。
1.関税の影響については「不確実性」が高く、 インフレ加速や雇用減少につながる可能性がある
2. しかし、現在の「米国経済は堅調」であり、労働市場も健全である
3. したがって、景気減速を示す明確な証拠が現れるまで「金融政策の変更を急ぐ必要はない」

このようにパウエルFRB議長は、インフレや失業率が悪化する前に予防的な利下げはしないという考えを明確にした。FRBが「タカ派的」であることから、次回の利下げは9月以降にずれこむことになりそうだ。
ただ一方で年内に0.25%の利下げが2、3回行われるとの見方も根強い。
今回のFOMCの結果にトランプ大統領は不満を示している。今後も、パウエルFRB議長に対して利下げ圧力を強めていくことになるだろう。しかし、パウエル議長は「FRBの決定は政治的な影響を受けない」と、政治的理由で金融政策を変更することを否定している。

今週の注目経済指標

コーンチャート分析


(荒地 潤)