事業エリアの多角化が強み、「北部都会区」など香港インフラ建設が成長エンジンに

現地コード 銘柄名 03311

中国建築国際


(チャイナ・ステート・コンストラクション)


株価 情報種類

12.20HKD
(6/12現在)


株価
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 中国建築集団傘下のゼネコン大手、中国建築国際について、BOCIは中国の地方財政の悪化による影響を受けやすい同業銘柄に比べ、高い利益成長と高配当を実現することが可能とみている。2024年には売上高全体の43.3%を香港・マカオが占めたが、2025年にはこの割合が50%を超えるとみられ、よりバランスの取れた事業地域構成が同社の強み。

中国本土に比べ、堅調が見込まれる香港のインフラ投資事業がプラスとなる見通しを示した。2025年予想株価収益率(PER)6.6倍をベースとする目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気の見方を継続している。


 2024年12月通期には、主な競合他社が減収、減益決算となる中、同社は安定的な増収、増益を維持した。同社の最大の競争優位は、2億1,000万HKドルに上る営業キャッシュフローと、33%の現金配当性向。BOCIは現在の市場環境の下、30%超の現金配当性向は魅力が大きいと指摘し、高配当性向を支えている要因として、香港事業の売上比率の高さを挙げている。


 続く2025年通期に関する同社経営陣の目標は、売上高、純利益の前年比10%超の成長であり、純利益に関しては100億HKドルの大台乗せを目指す。香港事業が成長をけん引し、本土事業は安定的に推移する見通しという。同社の場合、本土の不動産開発事業の比重が小さく、この点で同業他社に比べて低リスク。また、香港では純粋に建設請負事業者としてインフラプロジェクトを手掛けており、BOCIは空港周辺や北部メトロポリタンエリア(「北部都会区」構想)、香港島でのインフラ投資が向こう5年間にわたり、香港部門の成長を支えるとみる。同社はほかに、営業キャッシュフローの黒字の維持と現金配当性向の30%超の維持を目標に掲げている。


 2024年通期の売上高を地域別にみると、中国本土が52.5%で、香港が35.7%、マカオが7.6%。2025年には本土が45%と5割を下回り、香港・マカオが逆転する可能性が高い。


 BOCIは2025年の売上高、純利益に関する予想を小幅に減額修正。新たに前年比でそれぞれ13%増、10.1%増との予想を設定した。引き続き予想PER6.6倍の目標バリュエーションを維持しつつも、2024年から2025年の予想ベースにシフトし、目標株価を小幅に引き上げた。同業他社との差別化要因としては、地理的多様性という競争優位と高配当を指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続。今が買い増しの好機に当たるとの見方を示している。


 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、香港の北部メトロポリタンエリア建設計画のペースが鈍化する可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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