森ヒルズリート投資法人(3234)は、予想分配金利回り4.6%と高利回りが魅力。Jリート市場の中でも、都心のプレミアムオフィス物件に特化し安定稼働を実現。

東京23区のオフィス需要が高まる中、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなどに投資。NAV倍率0.83と1倍を割れている。


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予想分配金利回り4.6%の森ヒルズリート投資法人

 東京証券取引所で、Jリートと呼ばれる分配金利回りの高い「国内の不動産投資信託」を買うことができるのをご存じですか。


 Jリート市場において、オフィスリートは主要なセクターの一つであり、市場規模も大きくなっています。中でも 森ヒルズリート投資法人(3234) は投資口価格13万4,100円(2025年6月18日時点)で、予想分配金利回りが4.6%(2025年6月18日時点の1口当たり会社予想分配金を同日の価格で割った年率換算)と高く、魅力的です。


 下のグラフは、森ヒルズリートの投資口価格と利回りの推移です。ご覧いただくと分かる通り、価格が下がると利回りは上がる関係になっています(分配金が一定の場合)。


 2022年以降、価格の下落が続いたため、利回りは上昇し続け、2024年7~8月には一時5%を超えました。


 その後、価格が反発したことにより、利回りは緩やかに低下したものの、依然として4.6%と魅力的な水準にあります。


森ヒルズリート投資法人の投資口価格と利回りの推移
予想利回り4.6%!森ヒルズリートで安定稼働の都心プレミアムオフィス不動産へ投資
出所:QUICKより楽天証券作成(2025年6月18日時点)

定期的に分配金を受け取れる

 Jリートの特徴の一つは分配金です。株における配当金に当たります。投資法人として利益の90%以上を分配することで実質的に法人税を免除されるので、収益の大半が分配金として投資家に支払われます。そのため分配金利回りが一般的な「株」と比べ安定し高いことが特徴と言えます。


  ただし、確定利回り商品ではないため業績が悪化すれば分配金が引き下げられ、利回りが下がるだけでなく価格も下がるリスクがあります。

その意味では「株」に近い商品です。


 リスク管理上、Jリートは、「日本株」と「国内債券」の中間的運用商品として扱う必要があります。


リートに投資して分配金を受け取る流れ
予想利回り4.6%!森ヒルズリートで安定稼働の都心プレミアムオフィス不動産へ投資
出所:楽天証券作成

  個人投資家が不動産に投資する場合、ワンルームマンションからアパート1棟までさまざまな投資対象がありますが、ローンを組むとしても大きな金額になります。資金規模の制約から、個人投資家が直接投資できる対象は限られます。


  一等地の大型ビルにテナントが集中し、競争力のないビルからテナントが流出する「不動産の二極化」が顕著にみられる時代になりました。投資するならば、一等地の大型ビルに投資したいと考えます。


  ところが、不動産投資信託(リート)が普及するまでは、一等地の大型ビルに投資するには何百億円という規模の資金が必要でした。個人投資家の不動産投資では、小口で投資できるマンションなどが中心になり、大型ビルへの投資は困難でした。


 リートの普及によって、状況が変わりました。今では、小口資金でも、リートを通じて大型ビルに投資することもできるようになりました。


Jリートの3分の1以上を占める重要なオフィス

 不動産投資信託であるJリートはさまざまな物件を保有しています。その中で下のグラフは東証リートの物件を取得価格ベースでの比率を示したものです。


 3分の1以上の最も大きな比率を占めているのがオフィスビルです。

オフィスビルはさまざまな企業活動の中心となる重要なインフラであり、特に都市部は需要が高いため、安定した賃料収入が期待できます。また、リートを通じて複数のオフィスビルに分散投資することで、個別物件のリスクを軽減しながら、不動産市場の成長の恩恵を受けることが可能です。


 個人でオフィスビルを購入、投資しようとすると大変ですが、リートでは株のように手軽に1口10万円程度から購入することが可能になっています。


東証Jリート 用途別比率
予想利回り4.6%!森ヒルズリートで安定稼働の都心プレミアムオフィス不動産へ投資
出所:不動産証券化協会より楽天証券作成(2025年5月末時点取得価格ベース)

オフィスを中心に投資する森ヒルズリート

 オフィスリートの中でも投資するのであれば、都心部で競争力の高いプレミアム物件を保有している森ヒルズリートが良いと考えます。


 その理由は以下2点です。それぞれについて詳しく説明いたします。


  • 底堅い都心オフィス市場でプレミアム物件が安定的に稼働している
  • 1口当たりNAVが堅調に推移している

オフィス市況

 下のグラフのようにオフィスの供給と吸収は2024年の東京23区供給量43万平方メートルに対して吸収量が113万平方メートルとなっており、空室率は3.7%と2023年からマイナス2.1%と大幅に低下しています。コロナ禍以降、リモートワークも一般的になりましたが、その中でも東京23区の大規模オフィスへの需要が高まっており、順調に稼働するとみています。


東京23区のオフィスビル供給量・吸収量、空室率の推移
予想利回り4.6%!森ヒルズリートで安定稼働の都心プレミアムオフィス不動産へ投資
出所:森ビル「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2025」より楽天証券作成

「都心」「プレミアム」物件

 堅調な推移を見せる東京23区のオフィス市場で、高付加価値のプレミアム物件に投資しているのが森ヒルズリートです。


 代表的な保有物件は、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズです。それぞれ六本木、虎ノ門の駅へ直結していて、企業の本社オフィスとしての需要に対応した、高い機能を有したオフィスビルとなっています。また、商業施設などの付帯施設も充実しており、人の流れが活発で、高付加価値で賃料の高い物件です。


高い稼働率

 このようにプレミアム物件投資する森ヒルズリートは、稼働率が非常に高水準です。下のグラフは森ヒルズリートが投資する各用途の物件稼働率の推移を示したものです。


 2023年後半に大型テナントの入れ替わりで、一時的に稼働率が下がりましたが、2024年4月以降は回復しました。現在、合計の稼働率で99%以上と非常に高水準で安定しています。


森ヒルズリートの各用途の物件稼働率の推移
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出所:森ヒルズリート投資法人IR資料より楽天証券作成

堅調な一口当たりNAV

 以下グラフは森ヒルズリートの1口当たりNAVを表したものです。


森ヒルズリート 1口当たりNAVの推移
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出所:森ヒルズリート投資法人IR資料より楽天証券作成

 2023年以降、ラフォーレ原宿を分割して売却した、譲渡益の分配影響があるものの、1口当たりNAVは堅調に推移しています。現在の価格でNAV倍率を計算すると0.82(2025年6月18日終値時点)で1倍を割れて不動産の時価よりも投資口価格が安くなっており、NAVの水準に対して投資口価格は割安であると考えています。


 なお、このラフォーレ原宿の分割譲渡に並行して虎ノ門ヒルズ森タワーを取得しており、取得がなければ全て分配する運用をしています。


 以上の理由から、都心のプレミアム物件に投資する森ヒルズリートは安定した稼働を実現しているものの割安水準であると考えており、「買い」と判断します。


※補足
「1口当たりNAV」と「NAV倍率」とは、リートにおいて運用状況の指標として頻繁に使われます。ここでの「NAV」とは、保有不動産を時価で計算した純資産になります。これを投資口1口当たりで計算したものを「1口当たりNAV」と呼びます。


Jリートの代表銘柄を紹介

 Jリートには、さまざまな種類があります。もともとは、オフィスビルや住宅・マンションに投資するファンドがほとんどでしたが、近年は、ホテルや物流施設、商業施設など、利回りが稼げるさまざまなものに投資されています。


 以下の表は、各投資対象の参考銘柄です。


Jリートの参考銘柄:2025年6月18日時点 コード 銘柄名 主な
投資対象 分配金
利回り 投資口
価格【円】 3234 森ヒルズリート投資法人 オフィスビル 4.60% 134,100 8951 日本ビルファンド投資法人 オフィスビル 3.63% 131,900 8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 オフィスビル 4.20% 119,500 8963 インヴィンシブル投資法人 ホテルなど 5.88% 64,400 3281 GLP投資法人 物流施設 5.53% 129,500 3283 日本プロロジスリート投資法人 物流施設 4.64% 80,400 3466 ラサールロジポート投資法人 物流施設 5.55% 137,900 3292 イオンリート投資法人 商業施設など 5.35% 126,900 3269 アドバンス・レジデンス投資法人 住居 3.98% 150,900 出所:QUICKより楽天証券作成(分配金利回りは2025年6月18日時点の1口当たり分配金(会社予想)を同日のリート価格で割り、年率換算の予想分配金利回りとして計算)

小口からの分散投資が可能な商品

 Jリートは各投資法人を選ぶ個別銘柄以外に、複数の銘柄に投資できる投資信託や、Jリートの指数に連動した上場投資信託(ETF)があります。


 投資口価格が安い銘柄であれば数万円から買えるJリートですが、複数の銘柄を組み合わせると投資額が大きくなります。その場合ETFや投資信託は比較的少額からの分散投資が可能です。時間分散したい方は積み立てや複数回に分けた投資も可能です。


【参考】Jリート関連投資商品例

投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天キャッシュ、楽天ポイントで購入可能。以下はNISA成長投資枠対応)

「Smart-i Jリートインデックス」
「野村Jリートファンド」


上場投資信託(ETF)

「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信」(1343)
「MAXIS Jリート上場投信」(1597)


(茂木 春輝)

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