株式投資をしているとよく耳にするのが、「株式投資は長期ですべき」という専門家からのアドバイス。一方で、長期投資により塩漬け株をつくってしまう個人投資家も少なくない。
株式投資には大きく分けて2種類の投資方法がある
株式投資で成功する秘訣の一つとして言われているのが「長期投資をすること」。でもその一方で、長期投資をした結果多額の含み損を抱えた「塩漬け株」に苦しんでいる個人投資家もたくさんいます。
こうした現実を見ると、はたして長期投資をすることが正しいのかどうか、分からなくなってしまう方もいるのではないでしょうか。
筆者は、この「長期投資すべきかどうか問題」について、個人投資家が判断に迷ってしまう理由は、「複数ある株式投資の投資手法が、混在して解説されてしまっているため」だと思っています。
そこで今回は、個人投資家が参加しやすい主な投資手法の「投資信託を通じた投資」と「個別銘柄への投資」の二つに分けて、「長期投資=最適解」かどうかを整理してみたいと思います。
この二つを分けて考えないと、正しい判断ができないのです。つまり、長期投資すべきかどうかという点について、投資信託への投資の場合と、個別銘柄への投資の場合とで、判断が異なってくるということです。
CASE1:投資信託を通じた投資の場合
投資信託を通じた投資についてまずは整理してみましょう。
インデックスファンドであれば、上場株式をまんべんなく分散投資している形になります。アクティブファンドも、インデックスファンドほどではありませんが、多数の銘柄を組み入れ、分散投資をしています。
これまでの株式市場の推移をみると、少なくとも長期的には株価は上昇しています。これは、資本主義経済が続き、経済成長が続く限りは今後も同様の動きが期待できるという見通しを示しています。
投資信託への投資は、この株式マーケットの長期的な上昇の恩恵を受ける目的です。
ですから、投資信託への投資は、基本的に長期投資が正解となります。ただし、過去の株価の推移からは、20年程度保有していても、ほとんど資産が増えなかった時期もありますし、資本主義経済の変化により、これまでとは異なる動きになる可能性もあることを理解した上で実行すべきです。
結論:投資信託を通じた投資の場合は「長期投資」が基本スタンス!
CASE2:個別株の場合
では、個別株への投資の場合はどう考えればよいのでしょうか?
投資信託への投資と決定的に違うのは、個別株への投資の場合、まんべんなく分散投資ができない点です。
もちろん、一つの銘柄に集中するのはリスクが高いため、5銘柄、10銘柄など、複数の銘柄に分散する方が多いと思います。しかしそれでも、インデックスファンドのように「株式マーケット全体をまんべんなく買う」ということはできません。
例えば5年前、10年前には高成長、好業績が続いていて「今後も株価上昇が間違いない」と誰もが思っていた銘柄の株価が、10年後の現在、5分の1、10分の1になる…ということは、全く珍しい話ではありません。
投資信託への投資の場合は、そういう衰退する銘柄も当然ポートフォリオに混ざっていますが、一方で躍進する銘柄も含まれていて、それらがトータルで長期的な右肩上がりの上昇につながります。
無論、個別株を長期投資した結果、株価が10倍、50倍、中には100倍以上になるケースもありますから、長期投資が間違っているわけではありません。
ですが、長期投資したことにより、株価が大きく下がってしまい、含み損を抱えてしまうケースも多々生じます。これは、個人投資家の悩みとして塩漬け株の存在が常に上位に来ることからも明らかです。
ですから、個別株への投資の場合、長期投資することにより塩漬け株を抱えてしまうというリスクが格段に上昇することになるのです。
結論:個別株投資の場合は、「長期投資」だけが正解とは言い切れない!
個別株は塩漬けを容認するか、売買ルールを設定するかを選択しよう
このように、個別株投資の場合は、株価の大きな上昇の恩恵を受けることができる可能性がある半面、株価の大きな下落により塩漬け株をつくってしまう可能性があるということが分かります。
よって、株式投資においての、リスク回避の対処法としては以下の二つです。
[1]塩漬け株覚悟で個別株でも長期投資を貫く
塩漬け株になるリスクを覚悟の上、長期投資を貫くことで、株価の大きな上昇による資産増大を目指す、という考え方です。
この方法を取る場合は、できるだけ緻密なファンダメンタルズ分析をして、失敗の可能性を少しでも減らすことを意識しましょう。
[2]売買ルールを定めて、塩漬け株を回避しつつ利益を目指す
株価や含み損など、現状を注視しつつ、「どうなったら売却するか」という自分ルールを決めておいて、塩漬け株の発生や大きな損失を回避する、という考え方です。
この方法を取ることで、大きな損失は回避できますが、売却のタイミングが裏目に出ると大きな利益を逸する可能性もあることを理解しておきましょう。
投資をする以上、どの方法が正しい、ということはありません。ご自身の投資スタンスや性格も考慮した上、何度か経験値を積みながら、しっくりくる「ご自身の正解」を模索していくのが良いと思います。
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(足立 武志)