AIクラウドのエンジニアリング大手、デジタルインフラ需要の拡大が追い風

現地コード 銘柄名 00552

中国通信服務


(チャイナ・コムサービス)


株価 情報種類

4.86HKD
(8/22現在)


株価
企業情報
チャート

 中国電信集団傘下の通信支援サービス会社、中国通信服務の2025年6月中間決算では、大口顧客である通信キャリア各社の設備投資が減速する中、非通信キャリアおよび海外顧客向けの売上高が前年同期比12.6%増を達成した。データセンターやインテリジェント・コンピューティングセンターなど、デジタルインフラ需要の急増が背景。


 BOCIは続く下期について、国内の複数のグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)メーカーによる量産化を背景に、通信キャリアの資本支出が加速すると予想。2026年予想株価収益率(PER)8.1倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 2025年6月中間期の純利益は前年同期比0.2%増の21億3,000万元と、BOCIの予想および市場コンセンサス予想と合致した。売上高は3.4%増の769億4,000万元。通信インフラサービス収入の上振れで、BOCIの予想を2.1%上回った。


 国内通信キャリア向けの売上高が4.6%減少する半面、非通信キャリアおよび国際顧客向けは12.6%の増収。主にデータセンター、インテリジェント・コンピューティングセンター、5G-A(5Gの次世代に当たる5.5G)などのデジタルインフラ需要の拡大が寄与した。


 全体の粗利益率は10.3%と、前年同期比0.6ポイント低下したが、これは大口顧客が主要設備投資プロジェクトにおいて、設計・建設コストの削減にこだわったため。ただ、管理費の削減により、営業利益は8.4%増の17億1,000万元に達している。


 フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いた値)は上期末時点でマイナス76億3,000万元と、前年同期の21億7,000万元からマイナス幅が拡大したが、BOCIは必ずしもネガティブに捉える必要はないとの見解。


 営業キャッシュフロー自体は増加しており、売掛債権リスクの低さを考慮すれば、この先のビジネスの堅調に期待できるとしている(売掛債権関連の上期の減損損失はわずか1億6,200万元)。


 BOCIは上期の決算内容を考慮し、2025-27年の利益見通しをそれぞれ2.7%、2.3%、1.9%減額修正した。

ただ、上期に低迷した通信キャリア向けビジネスは、国内GPUベンダーによる今後の量産化に伴い、下期には再び加速するとの見方。


 目標株価の算出ベースを2025年予想から2026年予想ベースにシフトしたのに伴い、目標株価を引き上げた。新たな目標株価の算出ベースは2026年予想PERで8.1倍。2025年予想配当利回りでは5.6%に当たる水準であり、魅力的なバリュエーションだと指摘している。


 一方、レーティング面の潜在リスク要因として、BOCIはマクロ経済の減速が企業・政府機関のIT支出に影響する可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

編集部おすすめ