テクニカル分析は、ファンダメンタルズ分析と並び株式投資の判断における重要な両輪です。そこで今回は、主要なテクニカル分析用語、それらが示す「買いシグナル」と「売りシグナル」について、株式投資の初心者にも分かりやすくクイズ形式で解説します。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 日経平均テクニカル分析!ローソク足・移動平均線から市場心理を読み解く【クイズでわかる!資産形成】 」
今日のクイズ
株式投資を行う上では、株価チャートの見方を分かっておくことが望ましいでしょう。ファンダメンタルズ分析(景気・企業業績)とテクニカル分析(株価チャートから売り・買いどちらの勢いが強いか判断する方法)の両方を習得できると理想的です。
そこで、今日はテクニカル分析に関するクイズを二つ出します。
【第1問】
日経平均株価のチャートの中のA~Eに当てはまるテクニカル分析用語を、以下の選択肢【1】~【6】の中から選んでください。
<日経平均株価週足チャート:2024年1月4日~2025年9月12日>
【選択肢】
【1】 ゴールデンクロス
【2】 デッドクロス
【3】 長い上ヒゲ
【4】 長い下ヒゲ
【5】 26週移動平均線
【6】 13週移動平均線
【第2問】
以下の1~5は、いずれもローソク足といわれる株価チャートです。
上に伸びる線は高値を示す「上ヒゲ」、下に伸びる線は安値を示す「下ヒゲ」です。四角い部分は「実体部」と呼ばれ、始値と終値を示しています。
始値が終値より高ければ白または赤の「陽線(ようせん)」、始値が終値よりも低ければ黒または青の「陰線(いんせん)」となります。また、始値と終値が同じだった場合は、「同事線(どうじせん)」という横線で示されます。
以下はいずれも、1日の株価の動きを表した日足(ひあし)であり、高値から安値まで5%以上開いている波乱のチャートとします。
テクニカル指標を利用して投資判断する場合の注意事項
チャートに基づく投資判断は、100%当たるものではありません。買いシグナルとは、買いの勢いが強い状態のことですが、株価が上昇する可能性が高いと判断できます。
ただし、100%当たるシグナルは存在しません。70%程度の確率で当たり、30%程度の確率で外れるような場合でも、買いシグナルと呼ぶことがあります。
売りシグナルも同じです。売りの勢いが強いので、さらに株価が下がる可能性が高いと判断します。70%程度の確率で当たり、30%程度の確率で外れると考えれば良いでしょう。
テクニカル分析とは、あくまでも統計的な分析です。チャートのパターンを見ることで、統計的に今後上がることが多いか下がることが多いか判断するものです。7割の確率で上昇するチャートのパターンがあれば、それは立派な買いシグナルです。3割の確率で下落しても、それは当然です。100%当たるチャートは存在しないのですから。
チャートのシグナルを見て売買するのは意味あることです。7割の確率で上昇するパターンが出たら買いを実行、上昇すれば利益が得られます。もし外れて下がったら、速やかに損切りをするだけです。同じパターンのチャートで勝負し続ければ、長期的には利益を稼ぐことができるでしょう。
正解
【第1問】
A=【5】、B=【6】、C=【4】、D=【2】、E=【1】
正解を図に書き込むと以下の通りです。
13週移動平均線とは、過去13週間(約3カ月)の株価の平均値をつないだ線です。
26週移動平均線とは、過去26週間(約6カ月)の株価の平均値をつないだ線です。移動平均線を見ることで、長期的な株価のトレンドを見ることができます。
デッドクロスとは、短い移動平均線が長い移動平均線を上から下へ抜ける交差点を示しています。その後、株価が下がることが多いので、「デッドクロス(死の交差)」と呼ばれています。
上のチャートで、13週移動平均線が、26週移動平均線を上から下へ抜けるデッドクロスが出た後、日経平均が急落していることが確認できます。
ゴールデンクロスは、デッドクロスとは反対の現象です。短い移動平均線が、長い移動平均線を下から上へ抜けるのがゴールデンクロスです。
上のチャートでは、ゴールデンクロスが出た後、日経平均が上昇していることが分かります。
注意していただきたいのですが、デッドクロス・ゴールデンクロスは、さほど当たる確率の高いシグナルとは言えません。ここでは、とても良く当たったケースを紹介しています。
長い下ヒゲも、買いシグナルと見なされます。弱気筋がパニック売りで投げ売りし、株価を急落させた直後、買い手が買い始めて、一気に株価が急騰した状態が「長い下ヒゲ」です。長い下ヒゲが出ると、売り手は売りを控えるようになり、買い手はより積極的に買いやすくなります。
このように、売り手と買い手の力関係を見る上で、ローソク足チャートは役立ちます。
【第2問】
買いシグナルと見なされるのは、1番(長い下ヒゲ)と5番(大陽線)です。
安値から高値まで5%以上開いている長い陽線なので「大陽線(だいようせん)」と呼ばれます。
逆に、売りシグナルとみられるのが、2番(長い上ヒゲ)と、4番(大陰線)です。
3番は、強気と弱気が交錯した不安定な状態、「波乱の予感」を感じさせます。
2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ
最後に、テクニカル分析を基礎から書籍で勉強したい方に、私がダイヤモンド社から出版した「株トレ」をご紹介します。
「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」
私が25年の日本株ファンドマネジャー時代に得たテクニカル分析のノウハウを初心者にも分かりやすく解説しています。クイズ60問を解いて、トレーニングする形式です。株価チャートの見方が分からなくて困っている方にぜひお読みいただきたい内容です。
(窪田 真之)

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