マクロ経済の不透明感も規制環境は安定的、AI戦略に伴い大手各社を再評価
BOCIは向こう6-12カ月間、中国インターネット企業の業績や株価に影響する要因として、「AI」「マクロ経済動向」「競争環境」「規制環境」「株主還元政策」「米中関係」の六つを提示。その上で、ネットセクター内の業種別の優先順位を、クラウドサービス>オンライン音楽配信>オンラインゲーム=オンライン広告>ネット通販(EC)>その他とした。
個別ではテンセント(00700)、アリババ集団(09988)、ネットイース(09999)、テンセント・ミュージック(01698)が中長期のトップピック銘柄になるとの見方。ビリビリ(09626)と百度(09888)は短期投資の有力な選択肢になり得るとしている。
有力5銘柄のうち、ゲーム世界最大手でスーパーアプリ「微信」を展開するテンセントについて、BOCIはネットプラットフォーム企業の中で最高の資産を持つと指摘。オンラインゲーム、オンライン広告、FBS(フィンテックと企業向けサービス)という3本柱の健全かつ持続的な収益成長見通しが非常に明確だとした。
強固なAI戦略に基づく段階的な設備投資、株主還元策の実行を理由に、株価の先行きに強気見通しを継続した。
有力EC企業でクラウドサービス最大手のアリババ集団に関しては、クラウド事業の収益化の加速や、AIおよび「閃購」(即時配送サービス)部門への投資、「閃購」の受注動向と顧客維持、主力EC事業の顧客管理サービス収入の成長性が注目ポイント。
BOCIは「閃購」への投資と従来型EC事業とのシナジー効果に注目。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを維持している。
一方、ゲーム世界2位のネットイースは、夏季キャンペーンの成功で復活した主力の「夢幻西遊(FWJ)」シリーズと「エギーパーティー」のほか、「風燕伝:Where Winds Meet」シリーズ、海外向け「マーベルライバルズ」が収益成長のけん引役。
BOCIはグローバル戦略の明確化やゲームの優位性、組織効率の改善が持続的な成長をけん引すると予想。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを維持している。
また、動画プラットフォームのビリビリに関しては、独占ライセンスゲーム「Sanguo: Ncard」が2026年旧正月期にリリースされる予定で、これが収益上乗せ要因となる見込み。
検索エンジン最大手の百度は、主力の広告事業の低迷が続く半面、AIビジネスの収益化の加速と非広告資産の再評価が追い風。強固なキャッシュポジションと株主還元策を強化する見通しを理由に、目標株価を上方修正。株価の先行きに強気見通しを継続した。
一方、BOCIはセクター全体のレーティング面の潜在リスク要因として、中国マクロ経済の予想下振れや、競争激化、非効率的な収益化、コンテンツの供給と品質問題、規制強化、投資の失敗、提携関係の弱体化などの可能性を挙げている。
(Bank of China int.)