足元で金、銀、プラチナの価格が高騰しています。1970年代のインフレ期にも大きく価格が上昇しましたが、今回も気が付かないうちに大きく上昇していたと感じる方も少なくないでしょう。

今から買っても間に合うのか、もう遅いのか。金、銀、プラチナの「買い時」について解説します。


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足元で金、銀、プラチナの価格が高騰

 日経平均株価が高値圏にある中、金、銀、プラチナの価格も高騰しています。足元で価格が短期間に急騰していることに気づき、驚いている方も多いのではないでしょうか。


 金価格に連動する上場投資信託(ETF)である 純金上場信託(1540) の価格は、8月には1万5,000円近辺でしたが、10月17日には2万5,740円まで上昇し、2カ月で約70%上昇しました。


  純プラチナ上場信託(1541) や 純銀上場信託(1542) も同様に約70%の上昇となりました。もともと2020年ごろから上昇を始めていましたが、足元の上昇率は目覚ましいものがあります。


インフレ期には価格が上昇する傾向

 ではなぜ、金、銀、プラチナの価格が上昇しているのでしょうか。これらは価値のあるコモディティ(現物資源)であり、それ自体が普遍的な価値を持つと考えられています。


 インフレになると、お金の価値が相対的に低くなりますが、お金の額面は変わりません。「1万円」はインフレで実質価値が下がったとしても、額面としては変わらず「1万円」ですから、対応する資源価格が上昇することになります。


 株式はインフレに強いのですが、行き過ぎたインフレになると、それが景気悪化を引き起こすため、株価は下落する傾向にあります。


 例えば1970年代の米国株は「株式の死」と呼ばれ、10数年間にわたり、S&P500種指数(S&P500)の価格は横ばいで推移しました。


 この間のインフレ率を加味すると、実質価格は3分の1程度まで下落した計算になります。


 一方この間、金価格は30倍、銀価格は40倍に上昇し、インフレ率を考慮しても大きな価格上昇となったのです。


 これと同様の現象が足元で生じていると考えられます。


 このことを知っていた投資家は、金、銀、プラチナの現物やETFに投資し、大きな含み益を得ています。しかし、これらに投資する機会を逃してしまったという個人投資家の方の声が最近よく聞かれます。


今から買っても間に合うのか?

 では、金、銀、プラチナ(のETF)を今から買っても間に合うのでしょうか。これについては将来の価格の予想になるため、断言することは困難です。


 従って、金、銀、プラチナへの投資をどのような視点で捉えるかによって考え方が異なってきます。


 純粋に株式と同様に、金、銀、プラチナのETFなどに投資して「利益を得る」というのが目的であれば、株式の売買ルールと同様のルールで手掛ければよいでしょう。筆者であれば、移動平均線超えで買い、移動平均線割れで売却、移動平均線からの乖離(かいり)が大きければ新規買いしない、という自身のルールで売買タイミングを決めています。


 しかし、「インフレによる資産価格目減りのヘッジとして金、銀、プラチナに投資したい」というのであれば、ここからインフレがさらに進展する可能性も踏まえた判断をしなければなりません。


二つのリスクをてんびんにかけて判断する

「ここからさらにインフレが進行して景気悪化・株価低迷となれば、金、銀、プラチナへの投資でリスクをカバーすべき」という観点と、「インフレが鎮静化すれば金、銀、プラチナの価格も落ち着く可能性が高いため、無理にそれらに投資する必要はない」という観点の両方を考慮する必要があります。


 つまり、どうなるか分からない将来に対し、相反する二つのリスク(インフレによる資産価格目減りのリスクと、今から金、銀、プラチナへ投資した結果、価格が下落するリスク)をてんびんにかけて行動することが求められます。


 具体的には、以下の点が挙げられます。


  • インフレがさらに進行して金、銀、プラチナの価格がさらに上昇するというリスクに備え、ある程度は今の高値でも買っておく
  • 足元の急騰は行き過ぎの感もあるため、残りは価格が下がって押し目を形成したら追加で買う

 上記のどちらか一方に絞った行動を取ると、裏目に出た場合のダメージが大きいため、どちらに転んでも対応できるよう準備しておくのが、今から金、銀、プラチナ投資を検討する場合に効果的な一案といえます。


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(足立 武志)

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