この日のドル/円は円安方向に進んだ。終値ベースの円安は5営業日連続。

日銀利上げ観測の後退とFRBの利下げ幅縮小の思惑が強まる中でドル/円は153円台に迫っている。


円安「さらに加速」も? 市場大注目の米国インフレ指標、今夜発...の画像はこちら >>

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 円安「さらに加速」も?市場大注目の米国インフレ指標、今夜発表! 」


今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは153.45下値メドは151.45円

トランプ関税:平時における米国史上最大の増税
米資産:米国市場はもはやセーフヘブンとしての通常の役割を果たしていない
S&P:1960年以来、S&P500種指数が20%超下落し、その後下落幅の61.8%を戻したときは、必ず安値更新ではなく高値更新をしている
対中政策:ペンス前副大統領「米国は同盟国を敵に回すよりも、協力して中国に対抗するべき」 
ドル:1985年ドル安は、プラザ合意ではなく、ボルカーFRB議長の利下げが引き起こした


前日の市況 

 10月23日(木曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.64円「円安」の152.59円。1日のレンジ幅は0.99円だった。


 2025年212営業日目は151.91円からスタート。東京時間朝につけた151.81円を安値にして、その後は円安が続いた。未明には10月10日以来の水準となる152.80円まで円安に動いた。


円安「さらに加速」も? 市場大注目の米国インフレ指標、今夜発表!
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 この日もドル/円はドル高/円安方向に進んだ。原油高を背景にインフレ懸念が強まり、米10年債利回りが上昇。今夜発表される9月消費者物価指数(CPI)にマーケットの注目が集まっているが、インフレ再燃で米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げが予想より少なくなるとの見方もあり、これがドル買いを誘発した。


 日本サイドの要因としては、日本の新政権が積極財政や防衛費増額など拡張的な政策路線を志向すると見られ円売りが入りやすい地合いだった。

日本銀行の早期利上げ観測の後退もあった。海外要因(米金利上昇や原油高)に比べると副次的ではあるが、円高に振れにくい地合いを作った点で重要だった。


レジスタンス:
155.52円    02/04
154.80円    02/12
154.67円    02/13
153.28円    10/10
152.80円    10/23


サポート:
151.81円    10/22
151.49円    10/21
150.47円    10/21
150.27円    10/20
149.37円    10/17


2025年 主要指標 終値

円安「さらに加速」も? 市場大注目の米国インフレ指標、今夜発表!
出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング All Things Must Pass

今日の一言

この世には結果だけが残る、だから結果を重視せよ


All Things Must Pass

 米政府機関の閉鎖で米経済指標の発表が遅れている。それだけに今夜発表の9月CPIへの注目は一段と高まっている。


 先月発表された8月のCPIは前年比2.9%上昇して、前月(7月)から0.2ポイント高くなった。前月比は0.4%で前月から0.2ポイント高くなった。詳細を見ると、エネルギー価格や、生活必需品の食料価格の上昇が目立った。CPIの構成比が高い家賃は高く、中古車や新車には関税の影響が表れ始めている。


 しかし、今回のCPIが大幅に上昇しない限り、大きな影響はないだろう。なぜなら、FRBが金融政策の重点を物価から雇用に移したとパウエルFRB議長が明言しているからだ。トランプ関税の価格転嫁は、現在のところ想定の範囲内にとどまる一方で、労働市場は減速がはっきりしているとして、CPIがある程度上昇しても、FRBは今月の会合で利下げを決定することはほぼ確実だろう。


円安「さらに加速」も? 市場大注目の米国インフレ指標、今夜発表!
出所:楽天証券作成

 FRBがインフレよりも労働市場を優先することで、悪い結果を招く可能性があるとの意見もある。

利下げによって労働市場の減速を抑えることができるかもしれないが、見方を変えればインフレが居座るリスクが高まるともいえる。FRBは4年半以上もインフレ目標が未達であり、これは雇用目標よりも達成度合いが低いという事実を忘れてはいけない。


 現在の金利水準は「引き締め的」水準であり、利下げはそれを是正するためだというが、もし、現在の金利が高すぎるのであれば、米国経済はとっくに不況になっていてもおかしくないが、そうはなっていない。FRBは今月利下げをするが、今回のCPIが予想以上に強ければ、12月の会合で追加利下げが見送りになる可能性もあるだろう。


円安「さらに加速」も? 市場大注目の米国インフレ指標、今夜発表!
出所:楽天証券作成

(荒地 潤)

編集部おすすめ