ASMLホールディングの2025年12月期3Qは、0.7%増収、1.1%営業増益。EUV露光装置の受注高が今1Qから増加中で、Low-NA型のスペック上昇に伴う単価上昇、高価格のHigh-NA型の販売が少量だが継続している。
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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 決算レポート:ASMLホールディング(EUV露光装置受注高は底打ち反転か) 」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)
1.ASMLホールディングの2025年12月期3Qは、0.7%増収、1.1%営業増益。
ASMLホールディング(以下ASML)の2025年12月期3Q(2025年7-9月期、以下今3Q)は、売上高75.16億ユーロ(前年比0.7%増)、営業利益24.68億ユーロ(同1.1%増)と前年比でほぼ横ばいでした。
製品別売上高を見ると、EUV露光装置は21.11億ユーロ(同1.8%増)とほぼ横ばいでした(会社側開示の売上構成比より楽天証券計算。以下同様)。販売台数は前3Q11台から今3Q9台へ減少しましたが、販売単価が1.89億ユーロ/台から2.35億ユーロへ大幅に上昇したことが寄与しました。従来型であるLow-NA EUV露光装置のスペック向上に伴って価格が上昇したこと、高価格の最新型、High-NA型(価格は1台約3.5億ユーロ)が今3Qに1台収益認識されたことによります。今2Q比では販売台数が11台から9台へ減少し、販売単価も低下したため21.4%減収となりました。
一世代前のArF液浸露光装置は、28.88億ユーロ(同1.5%増)と横ばいでした。販売台数は前年同期と同じ38台、単価は若干上昇して0.76億ユーロでした。今2Q比では販売台数が増加して20.0%増収になりました。
地域別売上構成比を見ると、中国向けが今2Q27%から今3Q42%に上昇しました。システム売上高に占めるロジック・メモリ比率は、今2Qのロジック69%、メモリ31%から、今3Qはロジック65%、メモリ35%となりました。
表1 ASMLホールディングの業績
表2 ASMLホールディング:売上高内訳(四半期)
表3 ASMLホールディングの機種別売上高、販売台数、単価(四半期)
ASMLホールディング:EUV露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
ASMLホールディング:ArF液浸露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
ASMLホールディング:ArFドライ露光装置の売上高、販売台数、単価
ASMLホールディング:KrF露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
ASMLホールディング:i線露光装置の売上高、販売台数、単価
ASMLホールディング:計測器の売上高、販売台数、単価
2.EUV露光装置の受注高、底打ち反転か。
受注動向を見ると(グラフ1)、今3Q全社受注高は53.99億ユーロとなり、今2Q55.41億ユーロからやや減少しました。ただし、この中でEUV露光装置受注高は今1Q12億ユーロ、今2Q23億ユーロ、今3Q36億ユーロと、増加傾向にあります。
また、会社側開示の受注高のロジック・メモリ比率から計算したロジック、メモリ受注高を見ると(グラフ2)、メモリ向けが堅調です。DRAMの最新規格「DDR5」の高速大容量化のため、また、AI半導体に必須でDDR5のウェハを大量に使うHBMの高性能化のために、DRAMの生産工程にEUV露光装置を入れる動きがあります。大手DRAMメーカー3社(SKハイニックス、サムスン電子、マイクロン・テクノロジー)がHigh-NA EUV露光装置を発注する動きも2024年から出ています。このため、2024年12月期以降のメモリ向け受注高の中でEUV露光装置の占める比率が高くなっていると思われます。
一方、2022年半ばから2024年半ばで減少トレンドだったロジック向けは、2024年後半より上向き始めています。2026年になるとAI半導体の3ナノ化(現在はエヌビディアが4ナノ、AMDが5ナノ、6ナノで生産)が進むと予想されます。2025年後半から2ナノの量産が開始されており、TSMCでは2026年後半にA18(1.8ナノ)、2028年にA14(1.4ナノ)に進むと予想されます。また、サムスン電子がファウンドリ事業でテスラから大型受注を得たこと、インテルのリストラが進捗しており、2025年、2026年は設備投資は減少すると思われますが、ソフトバンク、米国政府、エヌビディアから出資を得たため、2026年後半から将来を見た再投資が始まる可能性もあります。
このように見ると、ASMLの受注高は底打ち反転して、2026年、2027年と増加トレンドになると予想されます。EUV露光装置の納期は推定1~2年なので、受注高の増加は1年後からの業績回復を示唆するものです。
グラフ1 ASMLホールディングの新規受注高
グラフ2 ASMLのシステム受注高:ロジックとメモリ
グラフ3 ASMLホールディングの期末受注残高
3.会社側は2026年12月期に中国向けの大幅減少を予想するが、EUV露光装置の増加で増収増益か。
会社側の2025年12月期4Q業績ガイダンスは表4の通りです。レンジ平均値は、売上高95億ユーロ(前年比2.6%増)、営業利益34.2億ユーロ(同1.9%増)となります。また通期の会社予想増収率は約15%で、今2Q決算発表時の見通しと変わりません。
会社側ガイダンスと、前述の受注内容から、楽天証券ではASMLの業績を、2025年12月期は売上高325億ユーロ(前年比15.0%増)、営業利益113億ユーロ(同25.2%増)、2026年12月期は売上高370億ユーロ(同13.8%増)、営業利益132億ユーロ(同16.8%増)と予想します。
会社側は2026年12月期に中国向けが大幅に減少すると予想しています。「大幅」というのがどの程度の減少率か不明ですが、中国ではAI半導体を中心に先端半導体の生産意欲、投資意欲が依然として強いため、中国向けの減少率が会社側が想定しているほどの大きなものにならない可能性もあると思われます。中国向けにはArF液浸露光装置とそれ以前の世代の露光装置を輸出しており、米国の対中国半導体製造装置輸出規制によりEUV露光装置は輸出していません。
また、EUV露光装置は販売台数、販売単価ともに2026年12月期は増加が予想されます。このため、中国向けの減少をEUV露光装置が補って2026年12月期は二桁増収増益が予想されます。
表4 ASMLホールディング:2025年12月期4Q会社側業績ガイダンス
表5 ASMLホールディング:機種別売上高
4.今後6~12カ月間の目標株価を前回の800ドルから1,200ドルへ引き上げる。
ASMLホールディングの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の800ドルから1,200ドルへ引き上げます。
楽天証券の2026年12月期予想1株当たり利益(EPS)29.44ドルに、EUV露光装置主軸の成長に対する期待があることを考慮し、想定株価収益率(PER)40倍前後を当てはめました。
一定の投資妙味があると思われます。
本レポートに掲載した銘柄: ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)
(今中 能夫)

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