高市政権による積極財政への期待から、「高市ラリー」が加速しています。日経平均は、史上初となる5万円の大台に乗せました。
高市ラリーで上昇、日経平均5万円突破
2025年秋に発足した高市早苗首相率いる自民党と日本維新の会の連立政権は、日本の政治・経済において大きな転換点を迎えそうです。この「自維連立政権」に対して、経済活性化や構造改革に対する強い期待感と、財政悪化や政策実行力に対する警戒感が同時に存在していますが、株式市場を見る限り、今のところ期待感が先行している様子です。
株式、為替、金利(債券)市場をそれぞれ見ていきましょう。
まずは株式市場です。高市政権は、10月24日の所信表明演説の中で「責任ある積極財政」「強い経済の再建」「成長率を引き上げ、債務残高の増加を抑える」という方針を明示しました。これは、これまでの財政健全化重視の姿勢から、より景気刺激・成長優先の方向にかじを切ったものです。
また、日本維新の会(日本維新)との政策協定では「地方分権」「行政改革」「規制緩和」といった項目も掲げ、官僚依存型から市場主導型の経済運営への転換を目指す姿勢を示しています。
市場では、この積極的な政策スタンスを「ポジティブな変化」と捉えています。特に企業活動や投資促進につながるとの期待が高まっています。
一方、公明党との連携を解消した上で日本維新と組む新体制は、政策ごとの調整色が強く、政治基盤が安定しているとはいえません。そのため、市場では「政策の実行力」に対する懸念も根強く残っています。
株式市場では、高市政権の掲げる積極財政や成長重視の政策「サナエノミクス」が好感され、株価を大きく押し上げています。27日の日経平均株価終値は、前週末比1,212円(2.5%)高の5万0,512円と、史上初となる5万円を突破しました。
とりわけインフラ、防衛関連、エネルギー、再生可能エネルギー、セキュリティ関連など、政府の支出拡大が見込まれる分野の銘柄が買われています。また、積極財政を見込み円安が進んだことによって、輸出関連株の収益期待も高まっています。
さらに、賃上げ支援や設備投資減税などの検討が進んでいる点も、企業収益の改善を後押しするとみられています。海外投資家の中には「日本経済が長期停滞から脱却する転機になる」との見方もあり、資金流入が活発化しています。
円安で企業業績改善に期待。インフレリスクには警戒
続いて、為替市場です。
為替市場では、高市政権の拡張的な財政政策・金融緩和志向を背景に、円安傾向が鮮明になっています。ドル/円は1ドル=150円を突破し、投資家の間では輸出企業の利益押し上げ効果が意識されています。円安は企業業績を改善させる一方で、日本株の上昇を支える要因にもなっています。
しかし、円安の進行には功罪があります。
また、円安が急速に進みすぎると、政府や日本銀行が市場介入に踏み切るリスクもあり、為替相場のボラティリティが一段と高まる恐れがあります。
加えて、円安が物価上昇を加速させれば、日銀が利上げを検討する可能性も出てきます。その場合、金融緩和との整合性が取れず、為替・株式の両市場に逆風が吹く恐れもあります。為替市場は現在、「円安の恩恵」と「インフレリスク」の両面を慎重に見極めようとしている段階です。
長期金利は上昇傾向
最後に金利(債券)市場です。
金利(債券)市場では、積極財政による国債発行増加を警戒する動きが見られ、長期金利が上昇傾向を示しています。10年国債利回りは一時1.7%台まで上昇し、30年債では海外投資家の売りも確認されています。債券価格の下落は、財政負担の増加と同時に、政府への信認低下を招くリスクを含んでいます。
一方、景気回復によって税収が増えれば、財政健全化につながる可能性もあります。そのため、「金利上昇は経済正常化の兆し」と前向きに評価する声も一部にはあります。ただ、金利上昇が急激に進むと、膨大な国債の金利が膨張し財政への圧力が高まります。
国債を大量に保有する金融機関の信用不安への懸念も高まるでしょう。仮に、格付機関が日本国債の評価を引き下げれば、海外投資家の資金が流出し、さらなる金利上昇を招く可能性も否定できません。
また、日銀がどの程度の金利上昇を許容するかも焦点です。市場安定を重視して長期金利を抑制すれば、「政府と日銀の一体化=財政ファイナンス懸念」が再燃しかねません。金利市場では、政策の整合性と信認維持が最大のテーマとなっています。
「円安、株高、金利上昇」の好循環、持続のカギは?
ここまでの3市場の動向を総括しますと、高市連立政権に対して、市場は期待感と警戒感を同時に抱いていると言えます。積極財政と構造改革を掲げる政策方針は、日本経済の潜在成長率を押し上げる可能性を秘めています。一方、財政規律の緩み、インフレ圧力、金利上昇、円安の副作用といった課題も避けて通れません。
短期的には「円安、株高、金利上昇」という好循環が続く一方、中長期的には「財政の持続性」と「政権の安定性」が試される局面に入ったと考えます。
今後の注目は、
の4点です。特に、日本維新との協調がどこまで持続するかが政策実行力を左右し、市場の信頼を決定づけるとみます。
業績好調、通期の上方修正に期待の日本株5選
さて、高市政権への期待感が高い株式市場では、時価総額が大きい銘柄に関心が集まりがちですが、2025年4-9月期の決算発表がそろそろ本格化します。
今回は、上期業績予想もしくは通期業績予想に対する第1四半期業績の進捗(しんちょく)率が高い好業績銘柄をご紹介します。進捗率が高い銘柄は自然と業績の上方修正期待も高まりますので、企業価値は高まりやすくなる傾向があります。
なお、企業によっては、「売り上げが上期に集中しやすい」といった業績の季節性もありますので、そうした観点も考慮しています。
銘柄名 証券コード 株価(円)
(10月27日終値) 特色 錢高組 1811 7,480 通期経常利益予想に対する第1四半期時点の進捗率が86% アミューズ 4301 2,002 出資した映画「国宝」が大ヒット カヤバ 7242 4,115 想定為替は1ドル135円と会社計画は保守的 リズム 7769 3,345 通期営業利益予想に対する第1四半期時点の進捗率は4割弱 明和地所 8869 1,100 既に第1四半期時点で一部通期業績予想を上回る状況に
錢高組<1811>
創業320年の老舗中堅ゼネコンです。2025年4-6月期で、前年同期比で経常利益が約3.1倍に大幅増益となり、通期経常利益予想に対して進捗率が約86%と非常に高い水準となりました。背景には、建設・土木工事受注の回復や収益性改善が挙げられています。
実際、営業利益率が前年同期の0.2%から6.5%へ大幅改善しています。コスト管理や工事採算の改善が奏功したためです。建設工事の受注環境改善と、過去の採算悪化案件の減少・施工効率向上が寄与し、受注残高、売上高、利益ともに期初から勢いがあることから、早い段階で通期業績予想の上方修正を発表する可能性は高いと考えます。
アミューズ<4301>
サザンオールスターズや福山雅治、星野源といった著名芸能人を抱える芸能事務所などを運営しています。2025年4-6月期は、売上高が前年同期比28.4%増、営業利益が約4倍、純利益も約17倍という大幅な増収増益を記録しました。
この大きな伸びを支えた主な要因には、アーティストの大型コンサートツアー再開・イベント事業の回復、商品売上の伸長、さらにはミュージカル「キンキーブーツ」などエンターテインメントイベントの収入増が挙げられます。足元では出資した映画「国宝」も大ヒットしましたので、通期業績予想の大幅な上方修正も期待できそうです。
カヤバ<7242>
自動車の衝撃緩衝器製造では世界トップクラスのシェアを誇っています。2025年4-6月期の連結売上高は前年同期比4.8%の増収、営業利益は約2.2倍の増益でした。要因として、子会社化した知多鋼業の完全連結化に伴い「負ののれん発生益」を計上したことが利益増に大きく寄与していますが、これだけではありません。
自動車用油圧緩衝器など主力のAC事業におけるセグメント売上高は、9.2%の増収、セグメント利益は12億円の増益でした。
リズム<7769>
金型など精密品事業などを展開しています。2025年4-6月期純利益は、固定資産売却益計上なども影響して前年同期比約6.2倍となるなど、非常に好調なスタートを切りました。固定資産売却益による恩恵だけではなく、精密部品事業では収益性の高い製品比率が上がっており、とりわけ車載・電子機器向けの需要回復が大きく寄与したようです。
また、生活用品事業でも新製品であるモバイルファンなどの販売伸長が見られ、時計依存からの脱却を図りつつあります。通期営業利益予想に対する進捗率は既に38%に達していることから、通期業績予想の上方修正期待は高いと言えます。
明和地所<8869>
「クリオ」ブランドのマンションなどを展開しています。2025年4-6月期は、売上高、営業利益、経常利益ともに前年同期比で増収・増益となっており、分譲マンション事業、流通事業、管理事業それぞれで順調な進捗を示しています。とりわけ分譲マンションが通期売上計画に対し第1四半期末時点で98%契約済という高い進捗率を記録しました。
また、流通・管理事業では買取再販・他社物件のリプレイス管理など付加価値の高い業務が伸びており、複数の収益源が機能している点が好調要因です。
今期は新規引渡しの8割が上半期となっており、売上高は上半期に偏重する見通しですが、第1四半期時点で通期経常利益予想と純利益予想は既に上回っています。今後の業績推移が非常に楽しみな銘柄の一つです。
(田代 昌之)

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