10月27日、日経平均株価がついに5万円の大台を突破しました。高市首相への期待で外国人投資家が日本株を買い上げていると見られます。

この株高はどこまで続くのでしょうか。今回の緊急記事では、過熱する日本株相場の見通しを解説します。


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※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【10/27 緊急動画】日経平均が「2030年までに6万円」でも不思議じゃないワケ 」


最高値更新が続く理由

 まずは日本株相場を振り返ってみましょう。10月4日の自民党総裁選で高市早苗氏が勝利し、臨時国会での首相指名がほぼ確実になって以降、日経平均株価は史上最高値を更新し続けています。


日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

 私は10月7日付のレポート、 「高市ラリーで日経平均は史上最高値を更新!外国人投資家は日本の政局をどう見る?(窪田真之)」 で高市氏が首相として強いリーダーシップを発揮し、外国人投資家の期待に応えていくためには、「6つの関門がある」と書きました。
日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

 現状を見ると、日本維新の会との連立、高市氏の意向が十分に反映された閣僚のメンバー構成、高い内閣支持率によって、6つの関門のうち3つはクリアできたと捉えてよいでしょう。


 注目点は、残りの4~6の関門をクリアできるかどうかです。


 4つ目の「外交」では、予定されているトランプ大統領との日米首脳会談や今後の対中国の外交で成果を上げられるかどうかが大切です。


 5つ目の「公約」は、今年度の補正予算編成や税制改正でどれだけ進められるかがカギになります。


 6つ目の「選挙」で重要なのは、今の高い支持率を維持できるかどうかです。

このまま解散総選挙になれば与党が勝つでしょうが、過去の短命政権では、3カ月ほどで支持率が急降下するケースもありました。


外国人投資家が期待すること

 なぜ外国人投資家は日本株を積極的に買っているのでしょうか?高市首相への期待に加えて、インフレと自社株買いへの期待が背景にあると私は考えています。


日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

  高市首相は、インフレ対策の重要性を強調していますが、インフレ自体を抑えるのではなく、インフレの痛みを和らげるためのガソリンの減税といった「対症療法」を取ろうとしているようです。そのためインフレ率の上昇は避けられないと私は考えています。


 インフレ率が上がると、名目GDPや企業の売上高の成長率が高まることがあります。


 日本の名目GDPの成長率を見ると、インフレ率が高水準だった1980年代から1990年代に年率で4%から5%以上伸びていました。足元では関税ショックの影響もありますが、今後は3%近い伸びが続くと予想されています。


日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

「自社株買い」に期待大

 外国人投資家が日本株に期待するもう一つ理由は、「自社株買いの増加」です。


 2023年以降の投資主体別の株式売買動向をみると、外国人は7兆円ですが、事業法人はその3倍近い21兆円です。こうした事業法人の買いの多くは自社株買いと見られます。


日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

 これまで日本の経営者はバランスシート上の余裕を持つことを大切にしてきましたが、ROE(株主資本利益率)を高めて株価を上げることを重視するようになってきています。


 また、日本企業は米国企業に比べるとあまり自社株買いを行ってこなかったうえに、財務上の「バッファー(余裕)」が豊富にあります。


 自社株買いの原資は大きく分けると以下の4つです。


1.    企業が毎期稼ぐフリーキャッシュフロー
2.    業務上必要ない持ち合い株式
3.    業務上必要ない賃貸不動産
4.    バランスシート上の余剰キャッシュ


 通常、自社株買いは「企業が毎期稼ぐフリーキャッシュフロー」を原資に実施するものですが、日本では持ち合い株式、賃貸不動産、余剰キャッシュが豊富で、自社株買いに充てられる原資に余裕があるように見える企業が多数あります。


 不動産価格の上昇により、保有する賃貸不動産の含み益が非常に大きい企業や、バランスシート上の余剰キャッシュが多い企業は珍しくありません。例えば、三菱地所は賃貸不動産の含み益が5兆円を超えています。


日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

見えてきた「30年までに6万円」

 今回、日本株のポジティブな面を挙げてきましたが、不安材料もあります。現在の相場にはやや過熱感があるため、短期的には反落することもあるでしょう。


日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

 
 しかし、長期的に見れば日本株への期待は高まっていると私は見ています。インフレや自社株買いに加えて、海外事業の利益成長によって、東証上場企業の一株当たり純利益(EPS)は年率6.3%、4年で27.7%増加すると予想しています。


日経平均「2030年までに6万円台」が期待できる3つの理由

  こうした状況を踏まえ、これまで「2030年までに5万6000円」としていた私の予想を「2030年までに6万円」に上方修正する予定です。


(窪田 真之)

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