日経平均が5万円を軽々と突破した一方で、株価が全く上昇しない、もしくは逆に下落を続けている個別銘柄も目立ちます。このような日経平均と一部の銘柄のみが大きく上昇する偏向相場で、個人投資家はどのように対処するのがよいのでしょうか?


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10月の日経平均株価は5万2,000円を突破

 日経平均株価の勢いが止まりません。10月27日に日経平均株価が史上初の5万円の大台に乗せたと思ったら、そこからさらに大きく上昇、月末10月31日時点では5万2,411円34銭と、あっという間に5万2,000円台に達しています。


 一方、足元の上昇の恩恵を受けていない個人投資家も多いようで、特に10月29日に至っては、日経平均株価の偏向相場の最たるものだったといえます。


 この日は日経平均株価が1,000円超の大幅高となったものの、それは日経平均株価採用銘柄である アドバンテスト(6857) と ソフトバンクグループ(9984) の大きな上昇によりもたらされたものであり、個別銘柄のうち約8割が値下がりというかなり異常な状況でした。


 ですから、日経平均株価が急上昇したとしても手放しで喜ぶことができなくなっていることが多いと個人的にも感じます。


NT倍率は2カ月間で大きく上昇

 皆さんは、「NT倍率」という指標をご存じでしょうか。これは、日経平均株価の「N」と東証株価指数(TOPIX)の「T」のそれぞれの頭文字を用いたもので、日経平均株価をTOPIXで割った数値のことです。


 NT倍率が上昇傾向であれば日経平均株価の方がTOPIXより強い相場環境(言い換えれば日経平均株価採用銘柄が強い)であり、逆にNT倍率が下落傾向であればTOPIXの方が日経平均株価より強いことを表します。


 そして個人投資家は、日経平均株価への影響度が高い銘柄( ファーストリテイリング(9983) 、ソフトバンクグループ(9984)、 東京エレクトロン(8035) 、 アドバンテスト(6857) など)を保有していないことが多いので、NT倍率が上昇傾向にあるときは利益を得ることが難しい状態にあります。


 このNT倍率が9月以降急上昇していて、9月2日の13.72倍から、10月31日には15.73倍にまで倍率が拡大しています。


 ここまで急速にNT倍率が上昇するということは、日経平均株価への影響度の高い一握りの銘柄により日経平均株価が大きく上昇し、それ以外の銘柄はあまり上昇していないことの表れです。


 よほど銘柄選択が的中しない限り、9月、10月には個人投資家が日経平均株価と同様の上昇率をあげることはできなかっただろうと思います。


バブルであるならば「強い株」につくのがセオリー

 日経平均株価および一握りの銘柄しか大きく上昇しないという状況は「バブル」であり、そうであれば、できるだけ強い株につくのがセオリーになります。


 実は、個別銘柄の多くが8月中旬ごろにピークアウトし、下落に転じています。8月中旬ごろまではいわゆる「全面高」で、大部分の個別銘柄が上昇しました。しかしそれらの多くは8月下旬以降株価が軟調に推移していることが、株価チャートを確認すれば分かるはずです。


 従って、こうした銘柄は当面の間投資候補から除外し、株価が大きく上昇している銘柄の押し目買いを狙っていくのが一つの方策となります。


 ただし、株価がかなり高水準に達しているものも多いので、損切り・売却ルールをしっかりと決めた上で実行することが大きな損失を回避するために必要です。


あえて弱い株に注目するのも一考

 これほどまで一部の銘柄に株価上昇が偏ると、好業績が継続的に生じている個別銘柄であっても、上昇しないもの、逆に下落を続けているものも数多くあります。特にグロース市場銘柄はじめ成長株にこの傾向が強く表れているといえます。


 好業績なのに株価が下落しているということは、相対的に割安な状態で買うことができることを意味します。


 ですから、成長株への資金流入が乏しい足元のようなマーケット環境では、業績は伸びているけれども株価は下がっているという「弱い株」にあえて注目するのも一考です。


 ただ、弱い株は確かに割安かもしれませんが、売り圧力が強ければさらなる下落に進展してしまいますし、いつ上昇トレンドに転じるかも分かりません。


 従って、足元で弱い株を投資対象とするのであれば、さらなる株価の下落には目をつぶって買い仕込んでおくか、株価が上昇トレンド(移動平均線超え)になるのを待ってから買うことをお勧めします。


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(足立 武志)

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