すごい勢いで上昇していた日経平均が、11月5日に急落しました。今日は、こうした急騰急落を引き起こす外国人投資家の売買動向について解説するとともに、こうした急落局面でどう動くべきか、私のファンドマネジャー時代のトレード鉄則をお伝えします。
上がるも下がるも外国人投資家次第の日本株
いつもお話ししている通り、日本株を動かしているのは外国人投資家です。外国人は売る時は下値をたたいて売り、買う時は上値を追って買ってくるので、日経平均株価は外国人が売れば下がり、外国人が買えば上がる傾向が30年以上続いています。
4月の関税ショックから外国人投資家の売りで急落、外国人の買いで急騰してきた日本株ですが、11月5日は外国人投資家が突然、売りに転じたと思われます。
<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2025年3月24日~11月5日(外国人売買動向は2025年10月24日まで)>
日経平均の動きと外国人売買を、もう少し長い期間で見てみましょう。2024年以降で見ても、以下の通り、日経平均が外国人売買で動いていることが分かります。
<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2024年1月4日~2025年11月5日(外国人売買動向は2025年10月24日まで)>
ファンドマネジャー時代のトレード手法
私は、2013年まで25年間、日本株ファンドマネジャーでした。公的年金、投資信託、海外ファンドなど2,000億円以上を運用していました。私が運用していたのは、全てアクティブ運用ファンドです。ベンチマーク(競争相手)である「配当込み東証株価指数(TOPIX)」に負けると存在価値がなくなるため、いつも負けないように必死でした。
1990年以降、日本株の動きは外国人投資家に支配されていたので、短期的な相場変動について外国人の動きに逆らうのは厳禁でした。外国人の動きに下手に逆らうとファンド運用のパフォーマンスに致命的なダメージを受けることがあるので、通常は外国人の動きに付いていきました。
外国人の動きにぴったり付いていく運用をファンドマネジャー仲間で「コバンザメ戦略」と呼んでいました。大きなサメ(外国人投資家)のおなかにぴったりくっついていく戦略です。ちょっと情けなく聞こえるかもしれませんが、運用で大負けしないための知恵でした。
ただし、ただ外国人に付いていくだけでは良いパフォーマンスは続けられません。相場急落時の大底を売るのは外国人で、相場急騰の天井を買うのも外国人だからです。
外国人が極端な売買をして相場が急騰あるいは急落している時、「明らかにおかしい」と思う時は、思い切って外国人と逆の動きをすべきです。そこが重要な勝負ポイントです。
高市ラリーで日経平均は一時5万2,000円を超えました。日本の未来への期待が高まっているに違いありませんが、それにしても上昇ピッチは速すぎます。利益確定売りを少しやって良い状況でした。
過去のレポートに書いた通り、
【1】13週移動平均線からのかい離率が15%を超えたこと、
【2】AI関連株に過熱感が高まっていること
などから、ショック安が起こってもおかしくない状況とみていました。5日の急落は、「健全な調整」とみています。
【参考レポート】
11月4日: 日経平均に過熱シグナル?移動平均線かい離率10%超えの警戒ポイント(窪田真之)
10月20日: 日経平均、反落につながる五つのリスク~高市ラリー、TACO期待の落とし穴(窪田真之)
外国人の動きにどこまでも付いていくべきではない、2020年の経験
最後まで外国人の売買に付いていってはいけない事例として、2020年の動きを振り返ります。2020年の日経平均は、外国人の売りで暴落した後、外国人の買いで急騰しました。
<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2020年12月31日>
2020年の動きを見れば分かりますが、外国人投資家は日本株をうまくトレーディングしていません。2020年はコロナショック後の最安値で巨額の売りを出し、年後半の急騰局面で巨額の買いを出しているからです。
2020年はコロナショックで、世界景気は4~6月に戦後最悪の落ち込みを経験しました。ところが、世界中の政府・中央銀行が財政・金融の大盤振る舞いをやった効果で、2020年後半にかけて、世界景気は急回復しました。日経平均はそれに反応して動いています。
アジアにコロナ禍が広がり始めたのは、2019年11月からでした。ただし、当初「コロナ禍はアジアに限定される」と楽観視されていました。そのため、世界の株式市場はアジアでコロナ禍が広がっていることに当初は無反応でした。
流れが変わったのが、2020年2月中旬です。欧米に感染が広がっているニュースが出ると、外国人の猛烈な売りで日経平均は急落し始めました。そこは、外国人売りに付いていくべき局面です。
外国人の売りはあまりに強烈で、2020年3月にはテクニカル分析で見て「短期的に売られ過ぎ」のシグナルが出ていました。こうなると、外国人の売りにはもう、付いていくべきではありません。
2020年だけでなく、過去の暴落局面では、いつも同じようなことが起こっています。2008年のリーマンショックもそうです。外国人が売り始めた直後は、いっしょに売っていくべきですが、外国人の売りが極端で、日経平均がテクニカルに「売られ過ぎ」の症状を呈した時には、外国人とは違う動きをすべきです。
日経平均が急落した今、日本株投資はどうすべきか?
それでは、日経平均が高市ラリーから急反落した今、日本株投資はどうしたら良いでしょう? 急騰急落の直後は、相場が落ち着くまで、少し様子見した方が良いと思います。
相場が落ち着いた後、少しずつ投資を再開して良いと思います。いつも述べている通り、日本株は割安で長期的な上昇余地は大きいと私は考えているからです。
世界経済を見渡すと、波乱材料がたくさんあります。日経平均はこれからも急落・急騰を繰り返すと思います。短期的に相場が過熱している時は要注意です。
短期的な相場の動きは誰にも分かりません。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
【参考レポート】
11月4日: 日経平均に過熱シグナル?移動平均線かい離率10%超えの警戒ポイント(窪田真之)
10月20日: 日経平均、反落につながる五つのリスク~高市ラリー、TACO期待の落とし穴(窪田真之)
(窪田 真之)

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