10月に国内株価の大きな上昇がありました。うまく流れに乗れた人もいる一方で、「忙しくて株価を見るヒマもなかった」という人もいるでしょう。
株価が急上昇!でも、そのとき忙しくて動けなかった…
2025年の株価推移を振り返ると、3月最終週から4月第1週にかけて日経平均株価は3万7,000円台から3万3,000円台まで大きく下落し、一時はヒヤリとさせました。しかし、その後は回復、5月までにこの下げ幅(4,000円ほど)を取り戻しました。それ以降も、力強い上昇が続きました。
特に驚きだったのは、9月に4万2,000円台から4万5,000円台へと上昇したことです。そして10月には、その勢いをさらに加速させ、4万5,000円台から5万円台まで上り詰めたことは、皆さんもご存じの通りでしょう。
このような上げ相場に乗って売買を繰り返すタイプの個人投資家にとっては、楽しい数カ月だったかもしれません。うまく流れに乗れた方は、それなりの利益を確保できたことと思います。
ところが、この上昇期に仕事が忙しく、株価がどんなに上がろうと「ニュースを見る以上のことはできなかった!」という人もいるはずです。
例えば、仕事が佳境に入り残業が多かった、あるいは業務時間内にくたくたになってしまい、投資状況のチェックや対応を検討している場合ではなかった、というケースです。
また、プライベートで忙しかったということも考えられます。私も夏以降、母が体調を崩していたため様子を見守っていたり、仕事のアウトプットを維持しつつ、小学6年の子どもの勉強を見ていたら、「それ以外のことなんかやってられない!」という数カ月でした。
あるいは、何か趣味に熱中していた(ゲームでもなんでもよい)などといった方もいるでしょう。
少し余裕ができたとき、株価が動くとあなたはどう感じるか
今回考えてみたいのは、上昇相場が一服した、あるいはこの上昇がいつまで続くか不透明な状況のときに、個人投資家(特にNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で運用をしている人)が「少し出遅れてしまったときの動き」です。
「株価が上がっても、気にしていられない」状態からはようやく脱したものの、目の前にある高値圏の株価を見ると、どう動くべきかためらってしまうでしょう。
仮に、そこからさらに1カ月間上昇が続けば、「放置しておいてもまあ、よかったかな」と思えます。しかし、多くの場合、短期的なピークを迎えた相場が一時的な下落をすることがあります。
もし、少し余裕ができて株価を見始めたタイミングで、値下がりがあると、「ああ、忙しくてもあのとき売っておけばよかった」となります。
さらに1カ月後の値動きを予想してみたとき、結果としてはそう感じるとしても「値上がりした直後」の投資行動として考えると、なかなか動きにくい時期であるでしょう。しかも、今まで動けなかった分、ここまで上がった相場ではなかなか手が出せないと思います。
「無理に相場に手を出さなくてもいい」と割り切ってみよう
もしあなたがNISAを中心に投資資金を保有しているのであれば、無理に上昇相場で売買を繰り返す必要はありません。
なぜなら、NISAの成長投資枠で自由に買い直せる範囲は年240万円と限られているため、何回か売り買いをしてしまえば、すぐに枠を使い切ってしまうからです。
NISAは、含み益が出ている状態であれば、「いつ手放しても非課税メリットは得られる」「長期的に考えれば、持ち続けることで今より値上がりする可能性はある」と考える方が投資戦略はシンプルになります。
もちろん、十分に値上がりしたと考え、資金ニーズが近づいているのであれば、売却を検討してもいいでしょう。
わが家でいえば、子どもの受験費用を考慮して、妻のNISAで一部を売却しました。タイミングをいえば、「あと数週間待てばもっと値上がりした」かもしれませんが、十分に値上がりはしていましたし、その後の値下がりの可能性を考えれば、問題のない売却判断だったと考えます。
また、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やNISAのつみたて投資枠を用いて定期購入している人は、上げ相場であろうと、自動的に積立投資を続けていきましょう。これも「大きく上昇しているから、積立投資は一時中断しよう」と手を入れるよりも、「まだまだアップダウンしながら投資は続いていくもの」と考えて継続する方がいいでしょう。
積立投資は、何もしなければ自動的に継続されます。さらに、すでに保有している分についても、焦って売り買いしないと割り切れば、こちらも何もしなくてもいいことになります。
つまり、「忙しくて上昇相場に乗り遅れた」と考えなくてもいいわけです。
悩んだときは、株価ではなく自分自身を見よう
これは個人投資家によくアドバイスすることですが、売却時期を考えるときは「株価ではなく、自分自身を見よう」と私は言います。
先ほどの、わが家がNISAを一部売却したのは、株価が上昇したことに主要因があるわけではありません。家庭の資金ニーズの方に理由があります。あなた自身が、自分の中に売却する理由を見つけられるのならば、それは株価にかかわらず売却要因です。
「自分の年齢を考えると、この上昇相場で利益確定しておくことに悔いはない」と思えるなら、資産の何割かは売却してもいいでしょう。ただし、全額売却するとさらなる上昇相場で後悔する可能性があります。また、銀行預金ではインフレ対応力が弱まってしまうため、部分的な売却にしておいた方がいいかもしれません。
株価が上がったことだけを買う理由や売りの理由にする人は、とにかく損をすると後悔します。
大きく上昇した相場の「その後」は、一度自分の投資スタンスやライフプランを考えてみるといいでしょう。
あえて今「投資初体験」はあり?なし?
悩ましいのは「なんか、株が上がっているみたい。今からNISA、始めちゃおうかな」というタイプです。
まだ投資未経験で、この上昇相場が投資デビューのきっかけとなったものの、すでに株価は大きく値上がりしている状態です。
このような人は「今が日経平均株価5万円?ということは来年の夏ごろには5.5万円とか6万円になるってことですよね?」といったイメージで株式投資を考えがちです。もちろん、4.5万円に下がる可能性など考えていません。これは少し危険です。
確かに、上昇相場が投資をスタートする大きなきっかけであることは間違いありません。ただ、もう少し投資に対する理解を深めてからの投資デビューの方がいいかもしれません。
基本的には、長期的に構えられれば、投資デビューは「思い立ったら吉日」です。
いきなり100万円といったまとまった金額での売買ではなく、まずは月5,000~1万円程度の積立投資から始め、株価の変化と向き合ってみてください。その方が、万が一大幅な下落があっても投資を続けることができます(金額的にもマイナスのインパクトは小さくなります)。
せっかく投資デビューをするのであれば、いきなり株価の調整が始まって、日経平均株価が5,000円下がったときにパニックにならない程度のポジションを意識してみてください。
(山崎 俊輔)

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