通貨(日本円)の崩壊は日本が長年の疑似MMTという狂った金融政策の代償として支払っているものである。結果、通貨インフレという詐欺的増税が到来している。
日本のステルス増税政策は必然的に現金(日本円)の崩壊を促す
ユーロとスイスフランで日本円が最安値を更新した。金融抑圧で金利を上げないで実質マイナス金利を続けているのだから、当然の結果だろう。
ユーロ/円(日足)
スイスフラン/円(日足)
日本はステファニー・ケルトンが指摘しているように疑似現代貨幣理論(MMT)を行ってきた。これは必然的に現金(日本円)の崩壊に近づいていく。
MMTとは政府が自国通貨建ての借金をいくら増やしても財政は破綻せず、インフレもコントロールできるとする理論である。
日本円の崩壊は日本が長年の疑似MMTという狂った金融政策の代償として支払っているものである。結果、通貨インフレという詐欺的増税が到来している。日本銀行は世界の中央銀行による型破りな政策の大実験の終結を示すことになるだろう。
その昔、経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは書いた。
「金融インフレの時代には資産価格が、ほぼ際限なく、つまりシステム全体が破綻するまで上昇するが、金融インフレに積極的に関与するシステムは、つまるところ破綻する。インフレ期には実質賃金が減少して大衆の生活水準が落ちてしまうからだ」
日本の金融当局は、プリンティングマネー(紙幣増刷)によって資産インフレ(バブル)を起こして好景気を演出し、通貨の下落によって債務(借金)の価値を下げるというインフレ(ステルス増税)政策を続けているが、高市政権の政策もそうした方向性と整合的だ。
その結末はどうなるのだろうか?
「介入主義の社会哲学の本質的なポイントは、永遠に絞られる無尽蔵の資金の存在だ。
この噴水が枯渇すると、介入主義のシステム全体が崩壊する」(ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス)
相場が急落すると資産は減るが、負債は減らない
昨今、政府や中央銀行が市場に全面的に介入し、膨大な量の負債が追加され、政治的な状況は巨大な混乱に陥っている。
日本株はインフレ(円安)で上げており、その株価上昇の構造はトルコリラ安とイスタンブール100指数の関係と同じである。
(参照:「 本当は怖い日経平均5万円到達!? 」)
従って、今150円のドル/円が300円になれば、5万円の日経平均は10万円になるだろう。国家の財政を考えれば、円安は大歓迎だ。そして、株価さえ上げておけば景気がいいように見える。株高の裏側では円の下落というステルス増税で民間から国家への所得移転が進んでいる。
日経平均CFD(月足)
われわれに残っているのは、旧態依然としたカジノ化した市場にけん引された「仮想的な富の効果」だけだ。この先、米国はまだ利下げとQEが残っている。従って、株式市場はまだ上げのノリシロが残っている。しかし、資産と負債を際限なく膨らます両建て経済でカジノ化した市場の怖さは、「相場が急落すると資産は減るが、負債は減らない」ということだ。
株式市場は長期のチャートを見ると、重力の法則に逆らって動くように見えるかもしれないが、その後の極端な揺り戻し(平均回帰)は、リスクを軽視した投資家の破滅的な損失につながっている。
S&P500CFD(月足)
筆者は「印刷」できるものに長期の投資をしたくない。ゴールドは無国籍の貨幣で、それ以外は全部信用だからだ。
2000年以降のゴールドとS&P500のパフォーマンス
ゴールドCFD(月足)
11月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
11月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、紙田智弘さん(楽天証券 外国株式事業部)をゲストにお招きして、「米国株の動向と相場の実践手法」「注目株と個人投資家の動向」というテーマで、紙田さんと話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
11月12日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
(石原 順)

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