日経平均株価が5万円を超え、高値警戒感が強まっています。こんなとき、上昇途中に思い切って乗るのがよいのか、それとも株価の大きな調整局面を待つのがよいのか、どちらがよいのでしょうか?


株価急上昇時、上昇途中に乗るor調整局面を待つ、どっちが正解...の画像はこちら >>

日経平均株価の4月安値からの上昇率は70%超え!

 今年4月にいわゆる「トランプ関税ショック」により、株式市場が大きく荒れたことは記憶に新しいと思います。


 ただ、それから半年以上が過ぎ、今では「そんなことがあったの?」と思うくらいの強さで日経平均株価が上昇しました。


 4月7日安値3万0,792円74銭から、11月4日高値5万2,636円87銭まで、日経平均は2万1,844円、率にして実に71%も上昇したことになります。


 ワントレンドでここまで上昇するのはまれなことですが、一方でこの上昇にしっかりとついていき、資産増大の恩恵を受けることができた個人投資家は、意外と少ないのではないかと思います。


 それは、日経平均が、一握りの個別銘柄の大幅上昇によってもたらされた、という点もありますが、もう一つ、短期間での急速な株価上昇に、素直についていくことができなかった個人投資家が大半だったのではないか、という点もあります。


大きな調整局面を待つ方が安全性は高いが…

 個人投資家の大半は「逆張り志向」といわれていて、株価が下がったときに買い向かうのは得意な半面、株価が上昇を続けている際に思い切って飛び乗ることは苦手、という人が多いように見受けられます。


 そのため、株価が安値からかなり上昇してしまうと、「今から買うのはさすがに危ない…」と考え、押し目や大きな調整局面を待つ傾向にあります。


 特に昨年は8月に急落、今年も4月に急落と、大きな調整局面が実際に到来したため、「今後も同様の動きになるのではないか…」、と無意識のうちに考えてしまっている個人投資家が多いのではないでしょうか。


結論・どちらが有利かは事前には分からない

 では、「株価の大きな調整局面を待つ」という選択は、はたして正しいのでしょうか?


 確かに、昨年8月の急落時や今年4月の急落時に、安いところで買い向かうことができた投資家は、その後の反発・上昇で大きな利益を得ることができました。


 一方で今年4月以降は、急落を待っていた投資家は、銘柄によっては非常に大きな上昇になったものの、その恩恵を受けることができなかったのも事実です。


 ある投資信託では、4月の急落後に、今後の大きな調整局面で大量に買い向かうため、キャッシュを温存すると宣言していましたが、その思惑とは裏腹に株価は4月以降大きく上昇しています。


 このように、プロの投資家であっても判断を見誤るのが、この「上昇途中に乗る」のか「株価の大幅調整を待つ」のかという選択です。そして、「どちらが有利かは、後にならないと分からない」というのが結論と言わざるを得ません。


 株価の大きな調整局面を待って買うようにすれば、「利益の絶対額」としてはプラスになる可能性は高いでしょう。ですから負けない可能性は高められます。


 しかし、大きな調整をすることなく、何年間も上昇が続いた場合は、その流れに全く乗ることができないため、長期間のトータルで見た「利益率」では、上昇途中に乗るよりも劣る可能性も大いにあり得ます。


 結局、どちらの選択をするのが有利なのかを事前に知ることはできないのです。


心理面・精神面も考慮して考えるべき

 もし、株価が上昇している途中に新規買いをしてその流れに乗った場合、株価が急落すると損切りを余儀なくされたり、含み損をかかえた塩漬け株に悩まされたりする可能性があります。


 一方、株価の大きな調整を待つことにした場合、株価が一向に下落せず上昇を続けた場合は、その上昇の恩恵を全く受けることができなくなります。


 上昇途中に新規買いしたとしても、株価の大幅調整を待ったとしても、どちらにせよ、思惑に反した株価の動きになった場合、心理的、精神的にかなりストレスがかかることになります。


 そこで、ご自身にとって、どちらのストレスの方が耐え難いかをイメージした上で、投資行動を決めていくのが現実的な対応になります。


 筆者は、マーケットがどう転んでも対応できるような行動をすることが多いので、足元のような高値警戒感がある状況でも、投資可能資金のうち、何割かは上昇途中であっても新規買いします。


 これにより、株価上昇が想定外の大きさ、期間になったとしてもそれなりの恩恵を受けることができますし、突然の株価急落が起きても全力で買い向かってはいないのでダメージが大きくなりすぎないようにできます。


 買わなければ利益は得られない、買うタイミングが悪くても利益は得られない…。非常に悩ましい選択ですが、リスク許容度や心理面・精神面も踏まえた上で、ご自身で決定するようにしてください。


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(足立 武志)

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