生成AIは実生活やビジネス、投資において無視できない存在です。本レポートでは、AIの仕組みや市場規模、GPUへの過剰投資やデータ利用のリスクを解説。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の茂木 春輝が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 今さら聞けない生成AIの現在地~知っておくべき3つのポイント~ 」
近年、生成AIは、すでに実生活やビジネスで利用されている方もそうでない方も、投資を考える上で無視できない存在となっています。本レポートでは、「投資における生成AIの重要性」を示す三つのポイントについて解説します。
AIの現在地
そもそもAIとは何かを、複雑な技術的詳細を最小限に説明します。AIと、従来のアプリケーションの仕組み(アルゴリズム)の違いを、「レシピ」と「熟練したシェフ」に例えて説明します。
皆さんが作ったことのない料理を作る際、レシピ通りに進めれば、出来栄えに良しあしはあれ、料理(成果物)は完成するでしょう。綿密なレシピを忠実に遂行すれば、より均一な成果が得られます。
では、熟練シェフの場合はどうでしょうか。彼らはレシピ通りに作るだけでなく、これまでの「知識」や「試行錯誤・研究」に基づき、斬新で素人には難しい料理を生み出します。レシピと熟練シェフは密接な関係にあり、熟練シェフが新たなレシピを生み出すこともあれば、レシピがシェフを熟練者へと導くこともあります。
<レシピと熟練シェフの図>
コンピューターはこれまで、定められたアルゴリズムに従い、単純な処理を正確に繰り返すことを得意として進化してきました。そのコンピューターの性能進化の過程で、人間の「思考」を模倣した処理を行うように開発されたのが「AI」です。AIが思考を実現する基盤として、データから特徴量を学習する「ディープラーニング」という技術があります。
AIの中でも近年急速に普及と進化をしている「生成AI」は文章、画像、音声、動画、コードなどの新しいコンテンツを自律的に生成できる人工知能の一種とされています。従来のAIが既存のデータからパターンを認識・分類するのに対し、生成AIは学習したデータの特徴や構造を理解し、それを基にオリジナルの情報を「創造」しようとすることが特徴です。
具体例としては、カメラのAI認識といった身近なものから、現在では個人が生成AIによって映像を生み出す時代にまで進化しています。
技術的な側面を簡単に紹介すると、現在の生成AIは、Transformerといった技術によって効率的に大量のテキストデータを学習した「大規模言語モデル(LLM)」によって動作しています。
一方、大量の画像データを学習する「拡散モデル(Diffusion Model)」は、モザイク処理のような順拡散過程を逆に行うことで画像生成AIを動かしています。次々に新しいモデルが登場し話題となるのは、このモデルに事前学習と事後学習といったさまざまな調整が施されたものです。
AIの市場規模は急速に拡大しており、総務省の『令和7年版 情報通信白書』によれば、世界のAI市場規模(売上高)は、2024年には1,840億ドル、そして2030年には8,267億ドルまで拡大されると予測されています。生成AI市場は、2023年の205億ドルから、2024年には361億ドル(AI市場全体の19.6%)、そして2030年には3,561億ドル(同43.1%)まで拡大すると予測されています。
▼参考資料 令和7年版 情報通信白書 (PDFが開きます)
生成AIが抱えるリスク
生成AIが抱えるリスクについて触れる前に、まずは主なプレイヤーについて整理します。
生成AIが驚くようなコンテンツを生成する背景には膨大な学習データと強力な処理能力があります。
このデータセンターをグローバルに提供しているのがIT大手の アマゾン・ドット・コム(AMZN) 、 マイクロソフト(MSFT) 、 Google(アルファベット:GOOGL) や、データセンター専業のエクイニクス(EQIX)やデジタル・リアリティー・トラスト(DLR)です。
国内では、 NTT(9432) や IIJ(インターネットイニシアティブ:3774) といった通信企業もデータセンターを提供しています。
これらのデータセンターで稼働しているのが、 エヌビディア(NVDA) や アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) などが開発・販売するGPUです。
「GPU」は画像処理装置として開発されてきましたが、中央演算処理装置であるCPUよりも、大量のデータを並行して処理することに特化しており、特にAIにおける複雑な行列計算においてその能力を発揮します。AIや暗号資産(仮想通貨)における特定の並列処理に適していることから、映像以外の分野での需要が拡大してきました。
生成AIの分野におけるリスクとして、データセンターとGPUへの過剰投資が挙げられます。
GPUは次々に性能が向上した新しいものが開発されています。このような状況下で、急速に拡大する生成AIの学習・運用に必要なデータセンターが次々と建設されていますが、そこでは大量の消費電力、冷却のための水、そして増大するインターネット通信容量といった問題に直面しています。
米国、アイルランドやシンガポールなど、データセンターが多い地域ではすでに電力不足が問題になっています。AIのためにデータセンターを建設しても、電力の確保ができなければ稼働できません。
データセンター側の問題以外にも、現在AIに使われている学習手法に転換があれば、データセンターの需要が減少したり、必要とされるチップや設備が変わったりするリスクも存在します。
学習に使われるデータにもリスクがあります。Getty ImagesからStability AIへの訴訟問題のように画像データが不当に学習されているという問題も発生しています。実際に訴訟を受け、生成AIサービスが出力を制限するケースも見られました。
生成AIの特性上、今まで他のコンテンツを作ろうとしても非常に手間がかかっていたものでも、数行の指示で似たコンテンツが作成可能なため、LLMの学習時点で他者のコンテンツの権利を侵害していた場合、問題になりやすいといった要因があると考えています。
法令が整備されていけばこのような問題も整理されるかもしれませんが、汎用的な生成AIを使ったビジネスは制限されるリスクを今後も抱えていると考えています。
AIの今後の成長性
ここまでAIのリスクについて説明しましたが、AIの成長性にはまだ期待できる部分があると考えています。それは、専門性を高めた事後学習によってカスタマイズされるAIエージェントの領域です。順を追って説明します。
まずAIエージェントとは、設定された目的のために自律的に思考し、さまざまなツールを駆使してタスクを遂行するAIのことです。生成AIと部分的に概念が重なる部分もありますが、そこから一歩進んだものです。
生成AIを活用しても、最終的にアクションを起こすのが人間である場合、人間の思考や行動には限界があります。情報を探し、検討した上で判断を下し、手続きを行う段階までAIが自律的な代理人のように実行できるようになれば、ビジネスとしての幅も格段に広がると考えられます。
<一般的な生成AIとAIエージェントの違い>
次に、専門性を高めた事後学習とは、AIの利用者に合わせて情報ソースを調整することです。AIモデルの学習には、事前学習と事後学習というキーワードがあります。LLMを作る際は大量のデータを使った事前学習の後に比較的少量のデータを使った事後学習が行われます。
事前学習は例えるなら、大量の文章に基づいて百人一首の上の句から下の句を考える練習を数多く行うようなものです。事後学習は、社会人で例えればOJTのように、指示に対して求められる回答をひたすら学ぶものです。
いまだにさまざまな議論のある領域ですが、人間でいうと、事前学習は考え方を学ぶ基礎教育、事後学習は求められるものを学ぶマナー・モラル教育に重きが置かれていると考えることができます。
<事前・事後学習>
つまり、専門性を高めた事後学習を経たAIエージェントは、利用者の求めるリソースに限定して思考し、専門ツールを駆使して行動できるようになります。
リソースを限定すると聞くと性能も制限されるように思えるかもしれませんが、これは誤った生成(ハルシネーション)や、前述した権利侵害の防止につながります。カスタマイズされたAIサービスは高い独自性も生まれるため、ビジネスの幅も広がると考えられます。
AIの技術は、今回紹介した生成AI以外にも、自動運転やAI創薬といった分野ですでに活用されており、今後もさらなる展開が見込まれます。投資の際は、すでに注目されている分野だけでなく、「技術とビジネスの本質は何か」「将来の市場に何をもたらすのか」といった視点から本質を見極め、AI活用によって恩恵を受ける特定の成長領域に焦点を当てることが必要だと考えます。
(茂木 春輝)

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