日経平均は急落後に急回復、5万円を回復しました。景気も企業業績も良好で日経平均5万円割れでは押し目買いが増えることが分かりました。

とはいえ、AI関連株には過熱不安があり、日中関係・米景気にも不安もあります。当面、上値の重い展開となりそうです。


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日経平均は5万円台を回復

 先週(営業日11月25~28日)の日経平均株価は、1週間で1,628円(3.3%)上昇して5万0,253円となりました。


   週足で見ると、以下の通り、先々週(営業日11月17~21日)の陰線を、先週の陽線で打ち消した形です。日経平均5万円以下では、買いが強いことが分かりました。日経平均週足に表れているのは、「5万円以上では売りが増える」「5万円以下では買いが増える」という状態で、目先5万円前後での推移が続きそうです。


日経平均週足:2025年1月6日~2025年11月28日
日経平均5万円回復、見えてきた高市ラリーの光と影(窪田真之)
出所:楽天証券MSIIより作成

 チャートに表れているのは、需給の変化です。相場を主導している外国人の買いが減少してきていましたが、日経平均5万円割れでは、まだ買い意欲があることが示唆されています。実際、以下の通り、外国人の売り買いは、方向性がはっきりしなくなりつつあります。


トランプ関税ショック後の日経平均と外国人投資家の売買動向(株式現物と先物合計:2025年3月24日~11月28日(外国人売買動向は11月21日まで)
日経平均5万円回復、見えてきた高市ラリーの光と影(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

ファンダメンタルズは良好だがリスク材料が増えている

 株は短期は需給で動きます。ただし、最終的にはファンダメンタルズ(景気・企業業績など)の変化によって動きます。今、外国人の売買方向がはっきりしなくなり、テクニカル分析で見て日経平均の方向感が定まらなくなってきた背景として、ファンダメンタルズ良好が続くかどうか、不透明になってきたことがあります。


 足元のファンダメンタルズは良好なものの、悪化に向かうリスクがいろいろ出てきている状況です。


高市ラリー、五つの強材料とリスク
日経平均5万円回復、見えてきた高市ラリーの光と影(窪田真之)
出所:筆者作成

 現時点で、五つのリスクはまだ具体化していません。

今後どうなるか、しばらく様子見するしかありません。日経平均は、この五つのリスクが具現化するかあるいは低下していくか見極める間、5万円前後で往来相場となる可能性もあります。


トランプ関税エスカレートの可能性は低下

 トランプ関税がどうなるかが、先行きの世界経済・株価にとって極めて重要です。トランプ関税がさらにエスカレートするリスクが低下したと見られていることが、相場の追い風となっています。理由として、三つあります。


【1】米中貿易戦争で不利な立場に


 11月1日に対中関税を大幅に引き上げると脅していたトランプ大統領が、逆に対中関税を30%→20%に引き下げたことに表れています。中国がレアアース禁輸や大豆輸入のブラジルシフトを持ち出してから、米中貿易戦争は中国優位となっており、トランプ大統領が一時休戦とせざるを得なくなったことが分かります。


【2】来年11月に米中間選挙を控える


 2025年は米国で大きな選挙がなく、トランプ大統領は株安を起こしてでも関税引き上げを強行する姿勢を取り続けました。ただし、2026年には中間選挙があります。ここで共和党が敗北すると、トランプ大統領任期の後半(2027~2028年)に、議会の協力を得られず思うように政策を進められなくなります。


 2026年は中間選挙を意識するがゆえに、株安につながる関税エスカレート策は控える可能性があります。


【3】相互関税・フェンタニル関税の最高裁判決を控える


 トランプ大統領が導入した相互関税とフェンタニル関税について、大統領権限を逸脱していて無効との訴えに基づいて米国で裁判が進んでいます。一審二審は無効判決が既に出て、トランプ政権が最高裁に上訴しています。

12月にも最高裁判決が出る可能性もあります。


 司法で相互関税に歯止めをかける動きが出ている中で、トランプ大統領はさらなる関税エスカレート策を取りにくくなっています。


 最高裁は11月5日に口頭弁論を開き、審理を開始しています。口頭弁論では、保守派とリベラル派を問わず、多くの判事が政権側の主張に懐疑的な見方を示したと報じられています。ジョン・ロバーツ長官は、大統領に広範な関税権限を認めれば、行政権と立法権のバランスが損なわれるとの懸念を示しました。


 最高裁判決がいつ出るか分かりませんが、一部に、スピード審理で12月にも最高裁判決が出るとの報道があります。


 相互関税・フェンタニル関税が有効との判断は出にくいと考えられます。有効の判断を出すと、大統領権限が強くなり過ぎ、立法府(議会)の権限が空洞化するからです。


 とはいえ、無効の判決を出し、トランプ政権が既に徴収した関税をさかのぼって金利をつけて払い戻しとなると、米国財政に重大なダメージが及びます。現実的にそういう判決は出にくいと思われます。どのように裁決するか、注視されます。


 万一、相互関税・フェンタニル関税が無効との判断が出ると、波乱となります。

米財政への不安から、ドル安円高が進む可能性もあります。また、トランプ政権が、品目別関税を大幅に引き上げて、対抗することも考えられます。自動車関税が引き上げられるなど、混乱が広がる可能性もあります。


日本株の投資判断

 日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと判断しています。ただし、短期的には上値の重い展開が予想されます。


 日本株に投資することを考えている方は、少しの間様子見するか、あるいは時間分散しながら、少しずつ投資していくのが良いと思います。


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(窪田 真之)

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