2026年の日経平均は、5万1,939円で終える「スタートダッシュ」を決めました。米ハイテク株高や防衛関連への物色、国内好決算が相場を支え、地政学リスクの懸念をこなしました。

連休明けの今週は、衆議院解散の観測報道を受け、先物が5万3,000円台後半まで急騰。テクニカル分析的には5万4,000円台以上も視野ですが、過熱感に注意が必要です。


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スタートダッシュで迎えた2026年の日経平均

 2026年相場入りとなった先週の国内株市場、週末1月9日(金)の日経平均株価の終値は5万1,939円となりました。前年末(2025年12月30日)終値の5万0,339円からは1,600円高(3.18%高)と大きく上昇しました。


 東証株価指数(TOPIX)も最高値を更新し、9日(金)の終値(3,514p)は節目の3,500p台に乗せています。


 日経平均・TOPIXともに、2026年相場の始まりの週をスタートダッシュで迎えた格好ですが、その値動きも荒っぽいものとなりました。


<図1>日経平均の5分足チャート(2026年1月5日~9日)


米経済指標、米金融など企業決算に注目。強気相場の死角と「スピード違反」に警戒
出所:MARKETSPEEDII

 上の図1は、先週1週間の日経平均の値動きを5分足で捉えたものです。図1をみると、年初の大発会となる1月5日(月)と翌6日(火)の両日で2,000円以上の値上がりを見せたかと思えば、その直後に5万1,000円近くまで下落しています。


 そして、週末にかけては持ち直す動きとなって5万2,000円台に最接近するといった具合に、上下の振れ幅の大きい展開が目立っていた様子がうかがえます。


先週の株価材料:トータルで見れば楽観的?

 続いて、先週の荒い値動きとなった背景について、株価材料面からも探って行きます。


 まず、国内株式市場が休場だった年末年始の期間、米国株市場ではAI・半導体関連株を中心に上昇し、ダウ工業株30種平均が最高値を更新。このリスクオンの流れや、為替市場も円安基調だったことが、日本株の年初のロケットスタートをもたらしました。


 また、年初に衝撃が走った米国によるベネズエラへの軍事作戦についても、地政学的リスクへの警戒感が高まるのではなく、防衛関連株やエネルギー関連株を物色するきっかけになったことも追い風となりました。


 防衛関連株では、ドローン関連銘柄が注目され、 菊池製作所(3444) 、 Terra Drone(278A) 、 ブルーイノベーション(5597) などの上昇が目立つ場面がありました。


 週半ばの下落については、中国政府が「軍民両用(デュアルユース)の規制に基づいて、日本への輸出規制を強化する」と6日に発表したことが警戒され、年初からの上昇に対する利益確定売りが重なり、下げ幅が大きくなりました。


 そして、週末にかけての反発は、複数の要因がありました。決算を好感して株価が上昇した ファーストリテイリング(9983) が日経平均の上昇に寄与したほか、日中関係の悪化懸念についても、 第一稀元素化学工業(4082) 、 東洋エンジニアリング(6330) 、 アサカ理研(5724) 、 三井海洋開発(6269) などのレアアース関連銘柄が買われる動きとなったことが挙げられます。


 さらに、国内の設備投資需要の底堅さに加え、株価純資産倍率(PBR)改善要請に応える財務体質の良さを背景に建設株が堅調に推移し、 大成建設(1801) や 鹿島建設(1812) などが上場来高値を更新する動きを見せていたことも相場を支える格好となりました。


 このように、先週の株式市場は、「AI・半導体銘柄を中心とした米株市場の上昇」、「国内決算を好感する動き(Fリテイリングなど)」、「リスク不安よりも関連銘柄を物色する動き(防衛、エネルギー、レアアースなど)」などが株価上昇の要因となり、全体的に相場のムードは楽観的だったと言えそうです。


強気ムードでどこまで上値を伸ばせるか?

 では、今週も日本株は上昇を続けることができるのでしょうか?


 結論から言ってしまうと、連休明けとなる今週は、上値を追う展開が見込まれます。


 注目の米雇用統計の結果を受けた米国株市場が上昇で反応したことや、先週末に飛び込んできた国内衆議院解散の観測報道が思惑を呼んで、12日(月)のデイセッション(日中取引)終了時の日経225先物(大取ラージ)の終値が5万3,890円と大きく上昇しているためです。


<図2>日経平均先物(日足)の動き(2026年1月12日大取日中取引終了時点)


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出所:MARKETSPEEDII

 この先物取引の価格を素直に引き継ぐのであれば、日経平均はこれまでの最高値5万2,636円(2025年11月4日の取引時間中の高値)を大きく上回ることになります。一般的に、株価が最高値を更新する領域に足を踏み入れると、過去の戻り売り圧力がないため、さらなる上値をトライしやすくなります。


 そこで、テクニカル分析の視点から目先の上値の目安について考えて行きます。


<図3>日経平均(週足)の目標値計算


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出所:MARKETSPEEDII

 上の図3は、日経平均の目標値計算です。先ほどの先物取引の終値と照らし合わせると、次の目標値は「V計算値」の5万4,060円となりそうです。


 また、2025年末の日経平均終値(5万0,339円)から10%高の株価水準を計算すると、5万5,372円になります。


 このまま順調に上値を追っていく展開となった場合、まずは5万4,000円から5万5,000円台あたりを目指すことになりそうです。


 その一方で、短期的な相場の過熱感もあります。


<図4>日経平均先物(週足)の線形回帰トレンド(2026年1月12日大取日中取引終了時点)


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出所:MARKETSPEEDII

 上の図4は日経平均先物(週足)の線形回帰トレンドですが、足元の株価がいちばん強い線とされるプラス2σを超えてきたことがわかります。


 また、図3で確認した、日経平均のV計算値5万4,060円に、プラス2σがタッチするのは18週後です。このまま日経平均が5万4,000円台を超えてくると、大体4カ月ぐらいの時間軸を先取りすると考えることができます。


 株式市場では、業績期待を織り込んで半年ぐらいの時間軸を先取りすることは珍しくありません。しかし同じように、プラス2σが6万円に到達する時期は69週後ですので、さすがに1年以上先の期待を現時点で織り込むのは、先取りし過ぎ(いわゆるスピード違反)と思われます。


 したがって、5万4,000円を超えたあたりでいったん高値をつけ、そこから先の6万円台を目指すのは、もうしばらく時間が経った「次の局面」での目標になりそうです。


今週のポイント:「好事魔多し」に注意

 確かに、「選挙は買い」というアノマリーがあることや、高市政権による積極財政・経済対策への期待が株高を支えることになり、実際に解散が事実となれば、先ほども見てきたような積極的な上値追いの展開が見込まれます。しかし、報道が「観測気球」に過ぎず、解散が見送られた場合は期待が剥落することになるため、相場が逆戻りするリスクがあります。


 衆議院の解散宣言は、通常国会が召集される今月23日(金)になることが予想されるため、来週末までは、「解散するか否か?」の思惑で相場が左右されそうです。また、解散の見込みが強くなった場合には、高市政権の政策関連銘柄が動意づく可能性が高そうです。


 さらに今週は、米国で重要な経済指標が公表されます。特に13日(火)の12月消費者物価指数(CPI)や、14日(水)の12月小売売上高や生産者物価指数(PPI)などが注目されます。これらの物価関連指標でインフレの高止まりが示された場合、米利下げ期待が後退し、株価の上値を抑える可能性があります。


 加えて、米国では大手金融機関の決算が予定されているほか、15日(木)には台湾 TSMC(TSM) の決算も控えています。これらの企業決算が、相場を後押しできるかどうかも、今週の焦点になりそうです。


 したがって、今週の相場シナリオは基本的にポジティブということになりそうですが、強気材料が多いだけに、「好事魔多し」となる展開には注意しておく必要があります。


 例えば、現時点で考えられる警戒要因は、相場の短期的な過熱感に加え、いくつかの外部要因があります。具体的には、米トランプ関税が違憲かどうかをめぐる連邦最高裁の判断が14日ごろに下される可能性、そして、中国による追加の対日報復措置などの動き、緊迫化するイラン情勢など、突発的な外部要因の変化には警戒しておく必要がありそうです。


(土信田 雅之)

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