12月はドル/円にとって重要イベントが目白押し。FRBの利下げ期待と日銀の利上げ観測で円高が進む中、FOMCが示す来年の利下げ回数、そして日銀の「中立金利」に関する発言が焦点です。
米国利下げ期待、日銀の利上げ期待で円高進行。注目はFOMCの米金利見通し
ドル/円は11月20日の158円手前から12月5日の154円台前半まで約3.5円の円高となりました。その間、12月の米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待、日本銀行の利上げ期待が高まり、FRBに至っては9割近くの確率となっており、相場はほぼ織り込んだ状況となっています。
そのため、今週9~10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定されても、利下げの反対者が10月の2名より多いとドル安はあまり進まないかもしれません。そして今後の金利見通しで相場が動きそうです。FOMCの焦点は来年の金利見通し、すなわち来年の利下げ回数に移ることが予想されます。金利見通しがどのような結果になるのか注目です。
前回9月の今年の金利見通し(3.625%)では、9月に利下げを決定した後(政策金利4.0~4.25%)に年内2回(10、12月に利下げ)となっています。10月は利下げ済みであり、12月に利下げをすれば政策金利は3.50~3.75%となり、見通し(3.625%)通りとなります。そして2026年は年1回の見通しとなっています(3.375%)。
FRBは政策金利の最終到達水準であるターミナルレートを3.0%としています。従って、ターミナルレート到達のためには来年に2回の利下げが必要となり、市場も来年2回の利下げを期待しています。金利見通しでは3.0%に向けてどのようなペースで来年の利下げをするのか、あるいは反対者が多く来年は0~1回程度のペースに落ちるのか、注目となります。
また、反対者の中には、中立金利であるターミナルレートを上方修正する見通し(例えば3.0→3.5%)も出てくることも予想されるため、中立金利の見通しにも注目です。
市場の期待に反し、来年の利下げペースが落ちれば、失望感からドル高・円安が予想されます。しかし、来年の利下げペースが落ちる見通しであっても、来年初めに発表予定の次期FRB議長の人事指名によって来年3月のFOMCでの金利見通しはガラッと変わるかもしれません。
トランプ大統領は議長選出の条件として、早期に利下げを支持するかどうかが判断基準と明言しています。従って、12月のFOMC後に円安に動いても、市場は次期議長人事を意識して相場の方向感が出ないシナリオにも留意しておく必要があります。
日銀も来年の利下げ回数が焦点になります。日銀は、経済を熱しも冷ましもしない中立金利について1.0~2.5%と発信してきました。1.0%が利上げの天井とみれば、12月に0.25%の利上げをして0.75%になると、来年はあと1回となります。
従って、来年に複数回の利上げをするためには下限を引き上げる必要があります。
12月相場は重要イベントが連続。日銀の「次の一手」は?
4日、植田和男総裁は参議院財政金融委員会で、「中立金利は広い幅をもってしか推計できていない」と述べ、その推計について「常にもう少し狭まることができないか、作業を続けている」と説明し、今後、「うまく狭めることができたら適宜公表していきたい」と述べています。
この発言によって中立金利の下限を引き上げるのではないかとの見方が浮上しています。12月会合で植田総裁が、中立金利の幅や下限の引き上げについて触れるかどうか注目です。
ドル/円は金利差縮小期待から円高に動きましたが、FRBや日銀の来年の金利見通しの見方が分かれていることからドル安や円高も緩やかな動きとなっています。
12月の日米金融会合後、FRBが利下げをしても来年の利下げに慎重姿勢であれば、市場は「タカ派的利下げ」と捉え、ドル安はかなり抑制的になりそうです。失望からドル高に反発することも予想されるため注意が必要です。
また、日銀の場合も同じです。日銀が利上げをしても、来年の利上げに慎重姿勢であれば、市場は「ハト派的利上げ」と捉え、円高はかなり抑制的になりそうです。日銀の利上げ幅に余地がないとみて円安材料となることも予想されるため注意が必要です。
8日に発表された日本の7-9月期国内総生産(GDP)改定値は実質年率でマイナス2.3%となり、速報値のマイナス1.8%から下方修正されました。6四半期ぶりにマイナス成長となった7-9月期GDPについて、植田総裁は駆け込み需要の反動などでマイナスになったと説明し、「10-12月期以降はプラス成長に戻るとみている。実体経済は順調だ」と述べています。
しかし、日中摩擦が収まらず、日本経済回復にブレーキがかかれば、日銀の利上げは難しくなることも予想されるため注意する必要があります。
今週末の12月13日は中国の「南京事件」の追悼日であり、中国が対日制裁を一段と強めてこなければよいのですが、中国軍戦闘機のレーダー照射などを見ていると警戒しておく必要がありそうです。
レアアースの禁輸措置など日本経済に打撃となるような規制に中国が踏み込んだ場合、日銀も不透明要因が高まったとして12月の利上げを見送る可能性もあるかもしれません。日本政府も警戒しているとは思いますが、週明け円安に動くシナリオも想定しておいた方がよいかもしれません。
それ以外にも、18~19日の日銀会合までに日銀の政策判断に影響を与える可能性があるイベントが続きますので、注目する必要があります(15日 12月日銀短観、16日 米11月雇用統計、18日 米11月消費者物価指数[CPI]、19日 日本11月CPI)。
15日の日銀短観は企業の景況感や収益動向で賃上げに影響する結果になるのかどうか、また、米指標で雇用市場が予想以上の弱さを見せ、物価が予想以上に上昇した場合、米国株が急落し、米経済の不透明要因が増すのかどうか、指標の結果次第では日銀の判断が難しくなることが予想されます。
日銀は12月に0.25%の利上げをすれば、35年ぶりの年間の利上げ幅となります。そのことを意識して日本の長期金利も18年半ぶりに2%近くに上昇し、ドル/円も昨年に付けた38年ぶりの160円超の円安水準に近い水準となっています。
ここから先は介入を含めた円安けん制がさらに高まることも予想されるため、かなり難しい相場環境となりそうです。
(ハッサク)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
