2026年日本株トレード改善のアドバイス：売買回数とタイミングの最適解は？（窪田真之）

「株は100株から」って思い込み、もう卒業しませんか？　2026年は「1株ずつチョコチョコ」売買で、賢く、楽しく、日本株で資産形成しましょう。ファンドマネジャー時代の経験に基づいて、売買回数と売買タイミングの最適解をアドバイスします。

「日本株は100株単位で売買」という古い思い込み、捨てよう

　日本株は、長い間、100株単位でしか売買できませんでした。東京証券取引所の売買が100株単位となっているからです。でも、今は違います。楽天証券の「かぶミニ®」を使えば、ごく一部の特殊な銘柄を除き、日本株を1株単位で売買できます。

　ところが、いまだに日本株売買は100株単位と思い込んでいる方もいます。100株買おうと思うと、株価2,000円の銘柄ならば、20万円必要です。もし、投資資金が全部で100万円ならば20万円は全体の20％です。そんなに大きな金額をいきなりドカンと買うのはリスキーです。

5回に分けて買い、5回に分けて売る習慣をつけよう

　2026年からは日本株は1株単位で売買する習慣をつけましょう。買う時は5回に分けて買い、売る時も5回に分けて売る習慣を身につけましょう。それだけで、売買タイミングはかなり改善するはずです。

　100株買いたいならば、まず20株買えば良いわけです。20株ずつ5回買えば、100株になります。

　なお、「5回」はあくまでも目安です。相場環境によっては、2回でも3回でも4回でも構いません。1回でドカンとやらないで、何回かに分けてチョコチョコやった方が良いということです。

個人投資家は「逆バリ」が多い

　なぜ5回に分けて買い、5回に分けて売ると良いのでしょう？　個人投資家は「逆バリ」売買が多いからです。下がってきた銘柄を買い、上がってきた銘柄を売るのが、逆バリです。

　みなさまは、「下がってきた銘柄を買ったら、さらに下がってしまってつらい思いをした」、あるいは「上がってきた銘柄を売ったら、さらに急騰して残念な思いをした」ことがありませんか？　逆バリ売買が染み付いているならば、そういう経験をたくさんしているはずです。

「下がった銘柄を買う、上がった銘柄を売る」のは基本的に悪くないことです。安くなった時に買い、高くなった時に売るのは、健全な投資感覚ですから、その感覚は大切にしましょう。

　ただし、そうした逆バリ売買を、いきなり100株単位でドカンドカンとやるのは、やめた方が良いということです。

トランプ関税ショックで、個人投資家はどう動いた？

　個人投資家が逆バリで売買していることは、東京証券取引所が発表している「投資部門別売買動向」によく表れています。

　個人投資家は総じて「逆バリ」です。「株が下がると買い、上がると売る」傾向がはっきりしています。

　個人投資家は、外国人投資家の売買と正反対に動いています。

　具体例で見てみましょう。2025年のトランプ関税ショックで日経平均株価が急落・急騰した3月24日～5月23日の売買をご覧ください。

出所：東京証券取引所、QUICKより楽天証券経済研究所作成

　左側の赤の棒グラフで示したのが、外国人売買です。これを見ると分かる通り、トランプ関税ショックで日経平均を暴落させたのは外国人の売りで、その後、急反発させたのは外国人の買いです。個人投資家は完全にその逆の売買をしています。急落する時に買い、急反発局面では売り続けています。

　外国人投資家は日本株の動きを支配していますが、決してうまくトレードしていると言えません。関税ショックの安値で大量に売っているのは大失敗です。それに対し、個人投資家は、関税ショックで暴落したところで大量に買っているのでOKです。

「ちょっと下がったら買い、ちょっと上がったら売り」は問題

　とはいえ、個人投資家の売買にも問題があります。「買うのが早すぎ、売るのが早すぎ」というタイミングの問題です。

出所：東京証券取引所、QUICKより楽天証券経済研究所作成

　株が下がっている時、どこが大底になるか誰にも分かりません。従って、少しずつ時間分散しながら買っていくべきです。100株買いたい銘柄を、「買うのが早すぎ」と書いてある所で20株買うのは、問題ありません。その後、さらに急落する過程で少しずつ買い増しして、最後にリバウンドする所で買いを完了できれば完璧です。

　売る時も同じです。急騰している銘柄が、どこで天井をつけるか誰にも分かりません。少しずつ売るべきです。急騰している銘柄を100株持っていて、一度に全部売ってしまいたいと思っても、試しにまず20株売ってみましょう。さらに上がれば売りを追加していきます。

　いよいよチャートが崩れてきて上昇局面が終わったと思ったら、そこで売り切れば良いのです。上昇局面で半分、下げ始めてから残り半分売れれば、後から振り返ると、とても良い売りになっていることが多いと言えます。

急騰銘柄の売り、整理整頓がしっかりしている人は要注意

　日頃、整理整頓がしっかりしている人は、急騰銘柄を売る時に、残念な思いをすることがあります。100株持っているとして、まず20株、そして20株と売っていくのが、苦手です。

　一度売り始めたら、「きれいさっぱり整理してしまいたい」と、日ごろの片づけ上手の気持ちが湧き上がってきます。まだ上がるかもしれないけど「えいやっ！」と、全部売ってすっきりしたくなります。そして、その後のさらなる急騰を取り逃がして残念な気持ちになります。

　実は私がそうでした。きれいに整理整頓するのが好きなので、売り始めた銘柄がいつまでもポートフォリオに残っているのが気持ち悪いと感じてしまいます。

　でも、長年ファンドマネジャーをやっているうちに学びました。急騰銘柄を売る時は、整理整頓をし過ぎない方が良いと知りました。急騰した売り銘柄の残りがファンドにたくさんあるのは、むしろ良いことです。

　そうしているうちに、売り始めたことが間違いだったと気づくこともあります。その場合、残った部分だけそのまま何年も持ち続けたこともあります。株価が3倍以上になる銘柄は、だいたいそのパターンです。

20株買ったとたんに急騰したらどうする

　下がってきた銘柄を100株買いたいならば、「まず20株だけ買ってみましょう」が私の心からのアドバイスです。株価が下がってきて「ここが絶好の買いチャンス」と思っても、とりあえず20株にしておくのです。

　20株買ったとたんに株価が急反発したら、どうしましょう。「その銘柄とは縁がなかった」と私は諦めます。20株しか買えなかったけれど、「それでいいや」と割り切ります。

　20株買った後、さらに株価が急落したら、どうしましょう。私は、当初予定通りに、買い増ししていきます。下がり続けているうちに、予定していた株数買い切れれば、後から振り返ると、とても良い買いだったことが多いと言えます。

2026年もよろしくお願いいたします

　今日は、私がファンドマネジャー時代に何万回とトレードした経験に基づいて、トレードのアドバイスをしました。

「5回に分けて買う、5回に分けて売る」は、アクティブ運用ファンド（配当込み東証株価指数（TOPIX）などのベンチマークに勝つことを目指して運用するファンド）のファンドマネジャーとしては常識でした。ところが、日本株を100株単位でしか売買できない個人投資家には難しいことでした。

　やっと、楽天証券の「かぶミニ®」によって日本株を1株単位で売買できるようになりました。これからは、みなさまも、私がファンドマネジャー時代にトレードしていたのと同じように、時間分散売買ができます。

　最後に、テクニカル分析を基礎から書籍で勉強したい方に、私がダイヤモンド社から出版した書籍「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」を紹介します。

　私が25年の日本株ファンドマネジャー時代に得たテクニカル分析のノウハウを初心者にも分かりやすく解説しています。クイズ60問を解いて、トレーニングする形式です。株価チャートの見方が分からなくて困っている方にぜひお読みいただきたい内容です。

　今回が、2025年最後のレポートです。私のレポートをお読みいただきありがとうございました。2026年も引き続き、土曜日、日曜日、月曜日、火曜日に、楽天証券トウシルに朝8時に私のレポートを掲載していく予定です。2026年もよろしくお願いいたします。

（窪田 真之）