2025年のBTCは史上最高値を更新したものの終盤に失速。ピークの12.6万ドル、年足の陰線引けともに期待外れの結果となった。

12月だけで見るとほぼ横ばい推移だったが、米株や金が史上最高値更新を続ける中、BTCの不振が目立った印象だ。今回は、なぜBTCは株や金に後れを取ったのか?を手掛かりに、1月の相場を占っていきたい。


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著者の松田 康生が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 なぜビットコインは「金」に負けたのか?「冬の時代」は到来するか? 」


<2025年のビットコインの振り返り>史上最高値は更新でも「行って来い」。トレジャリー企業ブームも

ビットコインはトレジャリー企業ブームでも「金」に負け。「4年サイクルの冬の時代」どうなる?
出典:TradingViewより楽天ウォレット作成

 2024年9月の利下げ再開や11月のトランプ再選で5万ドルから10万ドルまで急上昇。2025年は1月、5月、7月、8月、10月と史上最高値を更新、12.6万ドル、円ベースで約1,900万円まで値を伸ばした。しかし、年末にかけて失速し、年足で見ると3年ぶりの陰線引けとなった。


 まず1月のピークアウトは大統領就任式の数時間前。トランプ再選の「Sell the Fact」とトランプ関税、1月FOMCでの利下げスキップなどが合わさり4月にかけて10.9万ドルから7.4万ドルまで下落した。


 しかし、米中貿易休戦などもあり切り返すと、米政府が戦略BTC準備を創設したことが企業の保有にお墨付きを与えた格好となり、ストラテジー社やメタプラネット社のように外部資金を調達して暗号資産を購入する「トレジャリー企業」ブームが到来。

イスラエルとイランとの休戦もあって7月には12.3万ドルと史上最高値を更新した。


 8月に発表された雇用統計で5月と6月の雇用者数が大幅に下方修正されると再び史上最高値を更新したが、このころになるとトレジャリー企業の株価上昇を頼った資金調達が機能しなくなり買いが細り始めて失速した。


 それでも9月に利下げが再開すると上昇に転じ、10月には12.6万ドルを付け史上最高値を更新した。しかし、トランプ大統領がレアアース輸出規制に対抗して対中関税を100%に引き上げると突然言い始めると急落。海外のデリバティブ市場で約3兆円のポジションが清算されたが、特にアルトコインの下落がひどく、市場のセンチメントは凍り付いた。


 11月に入ると設備過剰懸念からAI関連株が失速、上場投資信託(ETF)からの資金流入が流出に転じると、BTCは8万ドルまで下落。12月利下げ観測で持ち直したが、金や米株が史上最高値を更新し続ける中、BTCは奮わず、年始の価格を下回る陰線引けとなっている。


2025年のビットコイン、なぜ期待外れだったのか。金(ゴールド)に負けた理由

法定通貨からの逃避需要

 2025年はBTCだけでなく、金も株も史上最高値を更新、不動産でも東京23区の新築マンションの平均値は1億3,000万円、中間値でも1億1,000万円となった。これは相対的に円やドルなどの価値が下がっていることを示している。


 2020年から2021年にかけてコロナ禍の緊急対策として多くの国でお金を刷って配るオペレーションを行った結果、コロナが収束した2022年辺りからインフレが進み、これを抑えるために各国は財政規律を回復し金融政策を正常化させたが、インフレで疲弊した国民からNOを突き付けられ、2024年は先進各国で軒並み与党が敗北した。


 この結果、2025年は世界中で積極財政と減税競争が始まり、法定通貨への不信感が高まった。この背景には、「民主社会は財政ファイナンスからの脱却は難しい」、言い換えると「人間は楽な道を選びたがるし、痛い目にあわないと修正できない」という構造的な問題があると思われるが、2026年はこの動きに拍車がかかりそうだ。


BTCと金(ゴールド)の比較。なぜ、金に負けた?

ビットコインはトレジャリー企業ブームでも「金」に負け。「4年サイクルの冬の時代」どうなる?
BTCと金(ゴールド)の比較。

  なぜBTCは金に劣後したのだろうか?


 金もBTCも無国籍資産としての性格は変わらないが、求めているものが異なる。金投資家は安定を求めるのに対し、BTC投資家は(ハイリスク)ハイリターンを求めている。


 乱暴な言い方をすれば、金は「もうお金持ちになった人」が資産を守るために買うもので、BTCは「これからお金持ちになりたい人」が資産を増やすために買うものだ。その結果、トランプ関税による世界貿易戦争やAIバブル崩壊懸念といったリスクイベントを前にした反応が異なってくる。金は資産防衛のために買われやすくなるが、BTCは真っ先に手放されやすくなる。


 未知のリスクを前に資産防衛を図る場合、ボラティリティが高いBTCをポートフォリオから落とせば手っ取り早くリスク量を減らせる。BTCが金に劣後している時期は、ちょうど貿易戦争が懸念されていた時期やAIバブル崩壊が懸念されていた時期と符合し、こうした時期にはETFフローが流出に転じている。


 センチメントの悪化もBTC市場の足を引っ張った。10月10日にレバレッジ規制の及ばない海外の交換所で史上最大のポジション清算に見舞われ、11月にはそうした交換所の一つ、MEXCで支払い遅延が発生、3年前のFTX破綻の再来かとうわさされた。


 さらに、背景資産を持たないアルゴリズム系のステーブルコインが暴落、これもテラ事件の再来かと市場を震撼(しんかん)させた。いずれも影響は軽微に終わったが、市場のセンチメントは地に落ちた。

これに拍車をかけたのがオンチェーン分析で、古参の大口保有者の売り圧力が懸念された。


 さらに年末にかけて新たな動きもうわさされた。年末の投資家向け報告書をきれいに(window dressing)に見せるためにファンドマネジャーたちが年を通してパフォーマンスが悪かったBTC ETFを外して金ETFを加えていると指摘する声が聞かれた。また上場企業の中には決算期末にバランスシートからBTCを一時的に外す動きもうわさされた。


■ETFフローとBTC/USD
ビットコインはトレジャリー企業ブームでも「金」に負け。「4年サイクルの冬の時代」どうなる?
出典:SoSoValue・Bloombergより楽天ウォレット作成

改善の兆し

 ただ、新年に入ってこうした動きは改善し始めた。年初の2営業日でETFに10億ドル以上の資金流入が見られた。テクニカルな要因で年末に外されたポジションの買い戻しが入った可能性がある。またオプション市場でプットに対しコールが大きく買い越され、センチメントの回復が確認された。AI懸念はくすぶるが、年始から関連株は堅調に推移している。


 BTC市場では古参の大口保有者や海外交換所での動向が注目されがちだが、こうした参加者は売り圧力となりこそすれ、相場の買い要因にはなりにくく、レバレッジをかけて短期的に買いに回っても、いずれ売り返すこととなる。


 従って、BTC市場の上昇を支えているのは新規の参加者であり、彼らは古参の参加者のセンチメントなどとは無縁なので、実はBTC市場のセンチメントの悪化はそう長く影響を及ぼしにくい。これがBTC市場の「忘れっぽさ」につながっているのかもしれない。この点、年が変わって割安感から買いが入っている可能性はある。


ビットコイン「4年サイクル」はどうなった?

 4年サイクルでのピークを10月に迎えたとの見方も年末のパフォーマンス悪化につながった可能性がある。BTCは供給要因で4年サイクルを描く傾向があり、半減期の1年から1年半後にピークアウトするパターンから、今回のピークは半減期の3.5倍の3,500万円と予想していた。


 残念ながら約1,900万円までにしか到達しなかったが、10月をピークに失速している。ピークを合わせると過去のパターンとほぼ符合する。


 BTCが思った程上がらなかった理由の一つに、半減期による供給減の効果が薄れていることが考えられる。


 1日当たりの供給量が7,200BTC→3,600BTC→1,800BTC→900BTCと半減する度に、毎回の減額幅も半分となっていく。2024年4月の半減期には900BTC→450BTCと1日辺り450BTCの減額に止まり影響が小さくなった。その点を考慮し、前回の半減期からピークまで8倍になったものが、今回は3.5倍に縮小すると考えたが、1.9倍にとどまった。


■ビットコインの半減期のアノマリー
ビットコインはトレジャリー企業ブームでも「金」に負け。「4年サイクルの冬の時代」どうなる?
出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 従来のパターンではピークの後に1年程度の「冬の時代」を迎えるのだが、今回の上昇が1.9倍に止まったことでこの供給サイクルによるパターンは効かなくなっていると考える。言い方を変えると、ピークを迎える過程でオーバーシュートしなかったので、その後の急落も無さそうだということだ。


 とはいっても「歴史は繰り返さないが韻を踏む」といわれるように、この供給パターンから読み取れる手掛かりはないだろうか。ヒントは従来のピークパターンが半減期から後ずれする点にあると考える。


 この後ずれする理由は、供給減の累積効果にある。

今回の半減期での供給減は1日450BTC。1,500万円換算で約70億円。この程度の供給減では時価総額300兆円、1日の出来高が5~10兆円あるBTC市場はびくともしない。


 しかし、これが100日となると700億円、300日となると2.1兆円と徐々に累積効果が効いてくる。10月時点では4兆円弱。この時点では急騰はしなかった。そして今月は約4.5兆円、30万BTCが消えてなくなった格好となる。米国の戦略BTC準備の1.5倍だ。こうした累積効果がいずれ大きな供給不足とクライマックス的な上昇を見せると考えている。


 要は、今回は通常パターンによる急騰は起こらなかったが、今年のどこかでそうした急騰が起こる可能性は十分ある。なぜなら従来のパターンから外れ始めているからだ。


■BTC/USDとFF(米政策金利)
ビットコインはトレジャリー企業ブームでも「金」に負け。「4年サイクルの冬の時代」どうなる?
出典:TradingViewより楽天ウォレット作成

金融政策

 その最後のワンピースはやはり金融政策だと考える。米連邦準備制度理事会(FRB)は2024年9月の利下げ再開で上昇を始めたBTCだが、2025年1月の利下げ見送りで上昇は一服した。

そして9月の利下げ再開を受け10月に史上最高値を更新したが、1月に再びスキップするかもしれないとの見方が相場の重しとなっている。先物市場における1月FOMCでの利下げの織り込みは2割を切っている。


 今後の経済指標により利下げ再開の見通しとなれば、BTCは史上最高値更新を目指す展開となるのではないかとみている。


 この点は雇用とインフレのバランスと次期FRB議長に誰がなるか、さらには中間選挙を見据えた政治の介入などさまざまな要素が絡み合っていて現時点で予想するのは難しい。現状の金利水準を引き締めと捉えるか、中立と捉えるか、といった見方にはメンバー間で相違があるし、新年から投票メンバーも変わる。


 ただ、実質金利の高止まりが、メンバーが思っている以上に雇用を悪化させているとみており、1月にスキップしたとしても早ければ3月には利下げを再開するのではないかとみている。


新年のビットコイン見通し:まずは足元を固める

(1)テクニカル分析で見てみると?

■BTC/USD(日足)チャート
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出典:TradingViewより楽天ウォレット作成

 BTCは10月6日に12.6万ドルでピークアウト、11月21日に8万ドルで切り返した。この8万ドルをボトムと確認する底固めの第一関門、11月11日からの下落の半値戻し9.4万ドルに上値を抑えられていたが、12.6万ドルからの斜めのトレンドラインを上抜け、いよいよ3度目のトライに差し掛かっている。


 こうした大相場のトレンド転換にはダブルボトムやヘッドアンドショルダーといった派手なサインが欲しい所だが、今回は「なべ底」というやや地味なパターンが出現しそうだ。


 ただし、ここを抜けても、10月28日からの半値戻し9.8万ドル、12.6万ドルのピークからの半値戻し10.3万ドルとレジスタンスが続く。1月に関しては、2月以降の上昇に向け一歩ずつ底値を固めていく展開か。


(2)アノマリーから見てみると?

■BTC/USD 月別騰落率
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出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 12月は陰線引け。これで3カ月連続で陰線が続いた。1月は過去15年で上昇が8回、下落が7回とやや強い程度のアノマリー。また3カ月連続で陰線が続いた場合の翌月は上昇が6回、下落が4回とこれまたやや強い程度。いずれも強いトレンドは出ていない。


 一方で2月は1年で最も強い時期で、中でもパフォーマンスが優れることで知られる春節休みは2月15日からだ。こう見ると2月の本格上昇に向けて、1月は地盤を固める形となりそうだ。


 1月のBTC市場は底堅い展開を予想する。先月は「まずこの水準で底値を固めて反転、急上昇する展開を予想」したが、その底値固めに手こずっている状況。


 ただし、新年に入ってセンチメントに改善の兆しが見え、ようやく底固めの第一段階を完了しつつある。材料的にも、テクニカル的にも、アノマリー的にも本格上昇は2月以降と考えるが、1月はそれに向けて足元を固める展開となりそうだ。


ビットコインはトレジャリー企業ブームでも「金」に負け。「4年サイクルの冬の時代」どうなる?
今月のMATTメモ


 小職はメガバンクで日本銀行オペや金先・レポといった円金利トレーダー、為替のスポットディーラー、米国債やモーゲージ債のポートフォリオマネジャーとして長らくトレードをしていましたが、どうなったら相場が上がって、どうなったら相場が下がるのか、といった相場の見方を教えてもらったことはありませんでした。


 相場の上げ下げの代わりに教えられたことは、トレードのやり方、考え方でした。これを小職なりに解釈すると、55勝45敗でもトータルで利益が残るためにはどうすればいいのかでした。


 特に為替が特徴的で、相場の見方は人それぞれで、根拠と実績さえあれば何を信じてトレードしてもOKという文化でした。テクニカルでもファンダメンタルズでもアノマリーでも構いませんし、大安や仏滅といった易学や水星逆行など占星術を頼りにする人までいます。


 また、各自のポジションが見られるようになっていて、調子のいい人に追随したり、いつも外れる人の逆を行くのもありでした。また、相場の分析でなく、行動なので、オブラートに包んで言えば、体育会的というか、令和の時代にはそぐわない方法でたたきこまれていました。


 まず、ギャンブルとの違いで、5分5分の勝負にベットするリスクラバーにはなってはいけないと指導されました。そして相場を一生懸命勉強して55勝45敗を目指せと教わりました。どんなに優秀な人でも勝率6割、7割は見たことがないほどの天才で、8割当たる人はうそつきだという冗談もありました。


 相場の予想には限界があるので、勝率55%で利益を残せる「技術」をたたきこまれるわけです。要は、勝つときは大きく、負ける時は小さくですが、言葉で言うほど簡単ではありません。そのせいか体育会出身者が異様に多いことも特徴でした。


 詳しくは、11月に出ました新刊『暗号資産で100万円が消えた僕に儲かる方法を教えてください! 暗号資産アナリストから学ぶ「1億円を目指す」投資法』に書いておりますので、ご興味があればご一読ください。


 ライターの桝本誠二さんとの共著で、暗号資産取引で100万円損した桝本さんが、何が悪くて、どうしたらもうかるのかを小職に聞くスタイルで、メガバンクでたたきこまれたノウハウをご紹介しています。


 ちなみに、この本を読んだその当時の先輩の感想は「あれ、そうだったかなあ?」でした。相場の見方も、指導の受け取り方も人それぞれ。くれぐれも、投資の判断はご自身で行っていただきますようお願い致します。


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(松田 康生)

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