2026年のハイテク株投資のテーマは、中国半導体産業、メモリ不足とメモリ価格上昇、生成AI向け設備投資の行方、日米の長短金利の動きの4つと思われる。いずれも投資機会と投資リスクが表裏となっている。
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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 2026年のハイテク株投資2-生成AI向け設備投資の行方、ハイテク株と日米の政策金利、長期金利の動き- 」
本レポートに掲載した銘柄:アルファベット( GOOGL 、 GOOG 、NASDAQ)、 ブロードコム(AVGO、NASDAQ) 、 エヌビディア(NVDA、NASDAQ) 、 マイクロソフト(MSFT、NASDAQ) 、 アマゾン・ドット・コム(AMZN、NASDAQ)
1.2026年のハイテク株投資、今回は生成AI向け設備投資の行方と、日米の政策金利と長期金利の動きについて。
前回の楽天証券投資WEEKLYレポートでは、2026年のハイテク株投資(半導体株投資とIT株投資)について、投資妙味、投資チャンスと投資リスクが表と裏の関係にあるものになりそうだと指摘しました。
2026年1月5日: 2026年のハイテク株投資-中国半導体産業、メモリ不足とメモリ価格上昇、2026年の注目点とリスクを探る-
そして、今年の注目テーマを次の4つとしました。
(1)中国半導体産業
(2)メモリ不足とメモリ価格上昇
(3)生成AI向け設備投資の行方
(4)日米の政策金利と長期金利の動き
前回は、(1)中国半導体産業と、(2)メモリ不足とメモリ価格上昇について取り上げましたが、今回は、(3)生成AI向け設備投資の行方、(4)日米の政策金利と長期金利の動き、この2つのテーマについて考えます。
2.生成AI向け設備投資の行方。
2026年の半導体、ITセクターを考えるときの大きな問題は、生成AI向け設備投資はまだ増えるのかという問題です。
グラフ1~7はこの問題を考えるときに私がいつも提示しているものです。生成AI向け設備投資が大きいクラウドサービス大手3社、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム(以下アマゾン)、アルファベットの売上高、営業キャッシュフロー、設備投資額を四半期ごとに並べたものです(いつもはメタ・プラットフォームズを入れていますが、業態が異なるため省きました)。
今のところ、マイクロソフト、アルファベットの設備投資は営業キャッシュフローの範囲に収まっていますが、営業キャッシュフロー・設備投資比率(設備投資÷営業キャッシュフロー)は傾向的に上昇しています。また、アマゾン、オラクルは営業キャッシュフローを上回る設備投資を行っています。営業キャッシュフローは、その四半期に企業が稼いだ現金なので、それ以上の設備投資を行うと、金融資産を売却したり、社債や借入金を増やしたりして資金調達をしたり、自社株買いを縮小したりしなければなりません。その上で大型投資を続行する場合は、将来に対して強い収益拡大期待があることになります。この場合は、実際にそれだけの大きな収益が獲得できているのか、四半期ごとの業績を確認する必要があります。
今後問題になると思われるのが、DRAM、NAND価格上昇の影響です。私の試算では、今の実勢に合わせてAIサーバー向けのDRAM、SSDが値上がりすると、HBM価格が変化しない場合で、AIサーバー価格(B200を8基搭載、メインメモリ8テラバイト搭載の高級機の場合)は15%以上、HBM価格がDRAM並みに上昇した場合には、30%以上上昇する可能性があります(前提を変えたため前回レポートに記載した上昇率とは異なります)。このようなAIサーバー価格の上昇が実際に起きた場合、生成AIの開発やシステムの中身を再検討しない限り、生成AI向け設備投資にそのまま上乗せされることになります。
その結果、生成AIのコストパフォーマンスは従来よりも低下します。設備投資が大きくなりすぎてしまうため、それに見合う収益か、新たな資金調達が必要になると思われます。
従って、メモリ価格上昇が本格的にAIサーバーの価格に転嫁される場合は、クラウドサービス大手の四半期ごとの業績に注意する必要があります。
グラフ1 クラウドサービス大手3社の全社売上高
グラフ2 クラウドサービス大手3社のクラウドサービス売上高
グラフ3 クラウドサービス大手3社の営業キャッシュフロー
グラフ4 クラウドサービス大手3社の設備投資額
グラフ5 クラウドサービス大手の営業キャッシュフロー・設備投資比率
グラフ6 アマゾン・ドット・コムの営業キャッシュフロー設備投資比率
グラフ7 オラクルの全社売上高、営業キャッシュフロー、設備投資
3.「オープンAI+エヌビディア」vs「アルファベット+ブロードコム」、そしてDeepSeek。
1)ChatGPT vs Gemini
これまでは、生成AI向け設備投資に過剰投資ないし行き過ぎの懸念があったとしても、生成AI開発会社最大手でChatGPTの開発、運営を行っているオープンAIが大型投資を続行するならば、株式市場はそれを受け入れるしかありませんでした。比較対象がなかったからです。
しかし、昨年から流れが変わってきたようです。2025年1月に公開されたDeepSeekは開発、運用コストが米国の生成AIの半分以下と思われますが、ChatGPTの勢いを削ぐまでには至りませんでした。
ところが、昨年11月に公開されたアルファベットの「Gemini 3」が、文書生成、プログラム生成、画像生成、動画生成の様々な分野でChatGPTを上回るパフォーマンスを見せています。Gemini 3が公開される前から、Geminiのユーザー数が急増しており、ChatGPTのユーザー数に接近するようになりました。
一方、大手クラウドサービス3社にオラクルを加えた設備投資を見ると、アルファベットの設備投資が小さいことが目立ちます。クラウドサービス事業の重要顧客である大手生成AI開発会社との密接度合いを考えると、マイクロソフトはオープンAIと密接、アマゾンはアンソロピックとオープンAIの両方と密接、オラクルはオープンAIと密接、アルファベットはオープンAI向けもあるが、検索広告の世界最大手でありGeminiの開発、運営を行っているため、自社向けも大きいと思われます。
Gemini 3がローンチされたのが昨年11月なので、2025年10-12月期以降のアルファベットのGeminiユーザー数と設備投資、ChatGPTのユーザー数とマイクロソフト、アマゾン、オラクルの設備投資額を比較することで、設備投資に行き過ぎがあるのかどうか、ある程度わかってくると思われます。
グラフ8 ChatGPTとGeminiのユーザー数
2)エヌビディア vs アルファベット+ブロードコム
ChatGPTとGeminiの比較は、ある程度ですが、AI半導体市場におけるエヌビディアとアルファベット+ブロードコムの比較でもあります。即ち高性能ではあるが高価格のエヌビディア製汎用AI半導体と、機能を絞ったため汎用AI半導体より低価格ですが高性能を実現したアルファベットのTPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)のような特注型AI半導体(TPUはブロードコムが設計している)との比較にもなると思われます。
TPUの場合、これまでの特注型AI半導体と違い、外販もできるようになったため、特注型AI半導体の市場が今後拡大することになると思われます。今後のクラウドサービス各社の設備投資動向をみることで、汎用AI半導体に対して特注型AI半導体がどの程度市場を喰っていくのか、おおよその予想ができるようになると思われます。
一方でエヌビディアは、柔軟な価格政策を採っている模様です。エヌビディアの今の主力機種「Blackwell」は2024年3月に発表されましたが、発表時にテレビのインタビューに対してエヌビディアのファンCEOは1個3万~4万ドルと答えていました(おそらくメーカー出荷価格と思われる)。Blackwellのベース機種である「B200」はBlackwell GPUを2個接続したものなので、B200は6万~8万ドル以上、パッケージコストと流通マージンを考慮すると円換算で1,000万円以上するはずでした。
しかし、現在見積価格として日本で提示されているB200の価格は1個701万円です(NTTPCコミュニケーションズのWEBサイトより)。発売前に会社側がコメントしていた価格よりも30%以上安い価格で販売されているわけですが、このことはユーザーにとってBlackwellのコストパフォーマンスが上昇したことを意味します。Blackwellの人気が高い背景には、高い性能もさることながら、この柔軟な価格政策があると思われます。
ただし、副作用もあると思われます。会社が当初考えていた価格よりも販売価格を引き下げたため、エヌビディアの売上総利益率は上昇しにくくなったと思われます(これはエヌビディアの売上総利益率がすでに十分高い水準にあることも関係しています)。また、2026年後半に出荷開始される予定の次世代機「Rubin」の価格も上げにくくなる可能性があります。これは、「H100」「H200」と「Blackwell」の性能差に対して、「Blackwell」と「Rubin」の性能差が小さいため、後述のように、特注型AI半導体と汎用AI半導体との競争がすでに始まっているためです。ただし、「Rubin」は冷却性能が良いため、データセンターの総コストを引き下げる要因にもなります。引き続きエヌビディアの業績に注目したいと思います。
今後は、メモリ価格上昇に伴い、生成AIシステムの総コストを抑える必要があると思われます。あるいは、クラウドサービス会社が従来通りの強気の設備投資を続ける場合は、収益拡大の目途がついているのか確認する場合があります。これらのことを考えると、価格が安くコストパフォーマンスが優れているTPUのような特注型AI半導体は、AIにとって重要な選択肢になると思われます。
3)DeepSeekの影響力
DeepSeekは中国では国の様々な機関や、大手から中堅中小までの企業が使う標準的な生成AIになっている模様です。米国に比べはるかに貧弱なインフラで稼働しているため、障害が多発している模様ですが、米国の生成AIよりも効率的に稼働していると思われます。DeepSeekは、中国のハイテク経済を支えるAIになっていると思われます。
DeepSeekはオープンソースなので、論文、プログラミング、学習内容、学習素材等の多くが公開されています。米国でもDeepSeekを学んだ開発者、研究者は多いと思われます。その意味でDeepSeekの影響力はすでに広がっていると思われます。
今後の焦点は、DeepSeekを含む生成AIシステムの効率がどの程度進むのかです。メモリ価格上昇が長引く場合、システム全体の効率化とメモリの節約が重要な課題になると思われます。
ただし、この方向へ技術革新が進むと、最終的には、AI半導体、HBM、メインメモリの必要個数、必要容量が、従来よりも少なくてもよいことになるかもしれません。
今回のメモリ価格上昇は、長引けば生成AIへの設備投資とAI半導体需要を変調させることもあり得ることに注意したいと思います。
4.生成AI関連の注目企業。
大手生成AI開発会社、AI半導体、クラウドサービス会社を陣営別に分けると、次のようになります。
オープンAI:エヌビディア、AMD、マイクロソフト、オラクル。
アルファベット:エヌビディア、AMD、ブロードコム。
アンソロピック:エヌビディア、AMD、アマゾン(アマゾン製AI半導体)。
アルファベットとブロードコムは、エヌビディアとオープンAIを追う立場なので、シェアを食うには有利と思われます。ただし、株価はすでに割安ではないと思われます。
一方、エヌビディアとエヌビディア製AI半導体を大量に使っているマイクロソフトとアマゾンは、追われる立場です。ただし、このことは株式市場には織り込まれていると思われるため、エヌビディアの株価はこのことによって抑えられていると思われ、割安感があります。
私の考えでは、エヌビディア、ブロードコム、マイクロソフト、アマゾン、アルファベットに幅広く注目しつつ、アルファベットとブロードコムに投資の比重をおくことを考えたいと思います。
5.日米の長短金利の動きとハイテク株投資。
半導体セクター、ITセクターとも生成AI関連銘柄の株価収益率(PER)は、生成AI関連事業に対する強い収益期待を背景に高い水準にあります。
グラフ9~10は日本と米国の政策金利、長期金利(10年国債利回り)の動きを見たものです。ここで問題なのは、金利の水準ではなくて、株式市場が思った以上に日本の金利が上昇し、株式市場が期待したほどに米国の金利が下がらなかった時にどう対処すべきかということです。
これについては、その時々で判断するしかない問題なので、ここでは金利の判断材料になる雇用統計と物価統計をあげておきます。
グラフ9 米国、日本の政策金利
グラフ10 米国、日本の10年国債利回り
グラフ11 米国の消費者物価指数:前年比
グラフ12 米国雇用統計:非農業部門雇用者数前月比
グラフ13 日本の消費者物価指数:前年比
本レポートに掲載した銘柄:アルファベット( GOOGL 、 GOOG 、NASDAQ)、 ブロードコム(AVGO、NASDAQ) 、 エヌビディア(NVDA、NASDAQ) 、 マイクロソフト(MSFT、NASDAQ) 、 アマゾン・ドット・コム(AMZN、NASDAQ)
(今中 能夫)

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