TSMCの2025年12月期4Qは、20.5%増収、32.7%営業増益。季節的にスマートフォン向けが伸び、AI半導体も好調。
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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 決算レポート:TSMC(業績好調。2026年12月期設備投資は最大37%増へ) 」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: TSMC(TSM、台湾、NYSE ADR)
1.TSMCの2025年12月期4Qは、20.5%増収、32.7%営業増益。
TSMCの2025年12月期4Q(2025年10-12月期、以下前4Q)は、売上高1兆460.90億台湾ドル(前年比20.5%増)、営業利益5,649.03億台湾ドル(同32.7%増)となりました。
分野別売上高の前四半期比を見ると、スマートフォン向け(売上構成比は前3Q30%→前4Q32%)は11%増となりました。季節的にスマートフォン出荷が増える時期なので、これが寄与しました。
また、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング。パソコン、サーバー、ゲーム機向けなど)(同57%→55%)は同4%増となりました。このHPCの中でAI半導体(エヌビディア、AMD、ブロードコム向けと思われる)は好調でしたが、HPC向け全体では前4Qは同4%増に止まりました。
テクノロジー別に見ると、最先端の3ナノの売上構成比が前3Q23%から前4Q28%へ上昇しました(楽天証券計算では、3ナノ売上高は前3Q2,276.8億台湾ドルから前4Q2,929.1億台湾ドルへ増加)。7ナノは同14%→14%と売上構成比は横ばいで、売上高は同1,385.9億台湾ドルから1,464.5億台湾ドルへ増加しました。一方で、5ナノは売上構成比が37%から35%へ低下し、売上高は3,662.7億台湾ドルから3,661.3億台湾ドルへ横ばいでした。
3ナノは最先端半導体への需要が増加していることに加え、5ナノからのアップグレードがあると思われます。7ナノも10ナノから前の微細化世代から7ナノへ移行する動きがあると思われます。一方で5ナノは3ナノへアップグレードする動きがあり売上高が横ばいになったと思われます。
ウェハ出荷枚数は前3Q比減少しました。ただしウェハ当たり単価は上昇しました。これはAI半導体の比重が高くなっているためと思われます。
表1 TSMCの業績
表2 TSMCの分野別売上高前四半期比と売上構成比TSMCの分野別売上高:前四半期比
TSMCの分野別売上構成比
グラフ1 TSMCのテクノロジー別売上高
表3 TSMCのテクノロジー別売上高
グラフ2 TSMCのウェハ出荷枚数
グラフ3 TSMC:ウェハ1枚当たり売上高
2.会社予想では2026年12月期1Qは大幅増収増益になる見込み。
2026年12月期1Q業績ガイダンスは、売上高346~358億USドル、1US=31.6台湾ドル、売上総利益率63.0~65.0%(前4Qは62.3%)、営業利益率54.0~56.0%(同54.0%)です。
ここからレンジ平均値を計算すると、今1Qの会社側ガイダンスは、売上高1兆1,123億台湾ドル(前年比32.5%増)、営業利益6,118億台湾ドル(同50.3%増)となります。
また、会社側は2026年12月期通期ではUSドルベースで30%近い増収、2024~2029年の年平均増収率(ドルベース)を25%、売上総利益率を56%以上としています。設備投資増加による減価償却費増加によって売上総利益率は今の水準(前4Q62.3%)よりも低下する見込みです。全社売上高のうち、AI半導体関連は同じ時期の年平均成長率が50%台半ばから後半と会社側は予想しています。3カ月前の前3Q決算発表時には、会社側はAI半導体の2024~2029年の年平均成長率を40%台半ばとしており、現状はこの見通しよりも少し良い水準としていましたが、その数字から上方修正されました。
会社側は引き続き好調な業績を予想しています。2025年12月期実績と、会社側のガイダンスをもとに、楽天証券では2026年12月期1Qを会社予想よりも若干強めと予想します。また、2026年12月期を売上高4兆9,000億台湾ドル(前年比28.6%増)、営業利益2兆7,000億台湾ドル(同39.5%増)、2027年12月期を売上高5兆8,000億台湾ドル(同18.4%増)、営業利益3兆3,000億台湾ドル(同22.2%増)と予想します。
報道によれば、TSMCは今1Qから先端分野(5ナノ、3ナノ、2ナノ)を値上げする模様です。値上げ率は不明ですが、報道によれば5~10%アップになるということです(顧客によって異なる模様)。
2026年12月期1Q、2QはAI半導体の好調が続くと予想され、メモリ価格上昇についても会社側は顧客との対話を通じて高価格帯のスマートフォン、パソコンはメモリ等の部品価格上昇によって需要は左右されないという見解です。ただし、メモリ価格の上昇率が大きいため、今3Q以降はメモリ価格上昇とTSMCの値上げによるCPU、GPU、その他のロジック半導体の価格上昇がリスクになる恐れがあります。
設備投資は、前3Q97億USドルから前4Q115.1億USドルへ増加しました。2025年12月期通期では409億USドルと2024年12月期297.6億USドルから増加しました。会社予想では2026年12月期は520~560億USドルに増加する見込みです。先端分野の需要が好調で設備が不足しているため、今後数年間は設備増強を行う方針です。特に、台湾とアメリカの設備増強計画を可能な限り前倒しする方針です。
なお、今期設備投資の70~80%を先端プロセス技術、10%を特殊技術に、10~20%を先端パッケージング、テスト、マスク製造などに投じる計画です。ちなみに、前3Q決算発表時の2025年12月期設備投資予想400億USドルの使途について、設備投資予算の約70%を先端プロセス技術に、10~20%を特殊技術に、10~20%を先端パッケージング、試験、量産に割り当てるとしていました。2026年12月期は従来よりも先端プロセスへの投資比率が高くなることになります。
グラフ4 TSMC:四半期設備投資
グラフ5 TSMCの年間設備投資
表4 2026年12月期1QのTSMC業績ガイダンス
3.今後6~12カ月間の目標株価を前回の350USドルから410USドルに引き上げる。
TSMCの今後6~12カ月間の目標株価を前回の350USドルから410USドルへ引き上げます。
楽天証券の2026年12月期予想1株当たり利益(EPS)14.6USドル(ADRベース、TSMCのADRは普通株5株からなる)に、2026年12月期の楽天証券予想営業増益率39.5%と引き続き高い増益率が予想されること、メモリ価格上昇等のリスクがあることを考慮して、想定株価収益率(PER)を25~30倍として当てはめました。
中長期で投資妙味を感じますが、メモリ価格上昇や生成AIへの過剰投資懸念等のリスクへの目配りも必要と思われます。
本レポートに掲載した銘柄: TSMC(TSM、台湾、NYSE ADR)
(今中 能夫)

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