23日、日銀会合が終わり円売りが進んでいましたが、会見後に円が急騰。さらにFedがレートチェックを実施したとの報道が流れ、真偽が分からないまま市場は介入への警戒が一層高まっています。
日銀会合後に円急騰!Fed登場でさらなる介入警戒に
日本銀行の金融政策決定会合が終わった1月23日の値動きは約3円60銭でした。日銀会合後に3円超動いたのは驚きですが、それ以上にインパクトがあったのは「Fed」の登場です。米メディアによると、米連邦準備制度理事会(FRB)がレートチェックをした可能性があると伝えています。23日の動きを振り返ってみます。
23日、通常国会冒頭で解散となり、与野党が公約として掲げる消費税減税による財政悪化懸念から円売りが進みました。さらに日銀金融政策決定会合は、予想通り政策金利据え置きとなりましたが、会合後の記者会見で植田和男総裁から追加利上げの時期など具体的な言及がなかったことから159円台前半に円安が進みました。
ところが、会見後、円が急騰し、157円台後半へ円高となりました。日銀の介入やレートチェックのうわさが出ましたが、真偽は分からないまま158円台前半に戻しました。
その後海外時間でも158円台で推移し、このまま様子見となって終わるのかなと思いきや、日本時間の深夜に円は動意付き、155円台半ばまで円高が進み、155円台後半で越週となりました。
米メディアによると、FRBがレートチェックをした可能性があると伝えています。為替介入を行ったのかどうか分かりませんが、レートチェックの報道で日米当局が歩調を合わせたのではないかと介入警戒感が一気に高まり、円急進となったようです。
ハッサクも24日の午前4時過ぎに目を覚ますと155円台だったのに驚き、Fedのレートチェックのニュースを見てさらに驚きました。
そして25日(日)、高市早苗首相が「投機的な動きや非常に異常な動きには日本政府として打つべき手はしっかり打っていく」と発言したため、市場の介入警戒感は高まり、週明けのシドニー市場では前週末比円高で市場がオープンするギャップオープンとなりました。
東京市場で153円台に入り、海外市場では153円台前半まで円高が進みました。その後は当局の動きが確認されなかったことから154円台前半に戻していますが、介入警戒感は強くそれ以上の円安には戻りませんでした。
円安けん制にFedが参加したことによって、円安けん制は相当真剣にやっているなという印象です。真偽は分かりませんが、おそらくFedのレートチェックはあったのだろうと推測されます。
FedのレートチェックはNY連邦準備銀行が取引金融機関にドル/円のレートを聞くのですが、ただ相場の水準を聞いただけかもしれませんし、「(ドル/円の)プライスを下さい」と聞いて「Nothing」と取引をしなかったかもしれません。前者の場合、金融当局がレートを聞くことは珍しいことではありません。
ただ、東京市場で日銀レートチェック(うわさ)によって円急騰した後だけに、相場水準を聞いただけでも市場へのインパクトは相当あったと思われます。後者の場合は、介入の可能性があったわけですから取引が成立しなかったとしても警戒心はさらに高まることになります。
今回、実弾が出たかどうか分かりませんが、日米協調介入の可能性が高まったと市場は警戒心を強めました。片山さつき財務相がノーコメントを貫いていることから協調介入ではなくても、ひょっとしたら単独介入はあったのかもしれません。このように市場関係者は疑心暗鬼になり、海外時間も警戒心を持ち続けてマーケットに身構えることがしばらく続くことが予想されます。
27日(火)、ドル/円は154円台後半に反発しましたが、やはり介入警戒感からそれ以上の円安には進みませんでした。
また、オンラインで開催されたG7後に片山財務相が「為替市場の動向についてはコメントを控える」としながらも、「米国当局と緊密に連携しながら適切な対応を取る」と発言したことが円高を後押しし、152円台前半へ円高に行きました。市場の警戒心は一層高まったようです。
財務省は1月30日に為替介入の月次ベース(令和7年12月29日~令和8年1月28日)を公表予定です。この報告では日次ベースは分かりませんが、1月23日以降に為替介入があったかどうかが分かります。もし、介入実績がなかったとしても市場の介入警戒心は続くと思われるため、注意が必要です。
また、30日は、米国のつなぎ予算の期限となりますが、ミネソタ州の市民射殺事件によって上院でつなぎ予算の延長に難航するとの見方が出ています。予算が途切れた場合、一部政府機関が閉鎖の可能性があり、来月の雇用統計も公表が遅れるのではないかと懸念されています。
日米の共同歩調で円安抑制は続く?
今回、日米が共同歩調を取ったのは双方に円安が不利益であるとの認識があったことが推測されます。円安は物価を押し上げるため、物価高対策を掲げる高市政権にとっては円安を抑制したいという考えがあります。
また、物価上昇は日銀の利上げを織り込む形で金利全般が上昇しました。高市政権の財政拡張路線は財政悪化懸念を強め、長期金利を上昇させる要因となっていましたが、そこに円安が金利上昇を主導する構図が加わったことから、円安を抑制して金利上昇を抑えたいという必要性があったと思われます。
長期金利の上昇が続くと、財政拡大路線がさらに嫌気され、日本売りの可能性が高まるからです。
米国にも同様の事情がありました。今回、米国が日本との共同歩調を取った背景には米国債離れによる米国長期金利の上昇があったとの見方があります。グリーンランドを巡る領有問題で欧州と対立したことが嫌気され、20日、米株式・金融市場はトリプル安となりました。
特に米国債離れから米長期金利が上昇したことについて、20日、ベッセント財務長官はダボス会議で、「日本からの波及効果(長期金利の上昇)を分離して考えることは非常に難しい」と説明しています。そして「日本のカウンターパート(片山財務相)と連絡を取っている。日本側から市場を落ち着かせる発言が出てくるだろう」と述べています。
また、この発言の前、19日には、日本が介入に踏み切るかどうかの判断は「裁量に委ねる」として反対しない考えを示しています。
このように、円安による日本の長期金利上昇は米国の長期金利にも影響してくるため、円安は米国にとって不利益であるとの考えの下、ベッセント財務長官と片山財務相との間で何らかの合意はあったのではないかと推測されます。
今回の日米金融当局の共同歩調は、為替レートだけの問題でなく、世界の債券市場に影響してくる問題でもあるという点には留意しておく必要があります。今後も国債市場の健全な運営という大命題が残りますから、当局もしっかりと管理することが予想されるため、円安抑制は続くかもしれません。
日米が共同歩調を取ったのであれば、市場参加者は24時間、介入警戒を続ける必要があります。
高市首相は円安が物価高の元凶と批判されないためにも選挙が終わるまでは、株価の動きを注視しながら片山財務大臣に円安抑制の旨を指示するものと思われますが、しかし、与党圧勝の期待や日本の財政拡大懸念による円売りはしつこいことも予想されます。
市場は当局の次の一手を見極めるため、円売りもしばらくは様子見となることが予想されますが、当局もしつこく相場に対峙(たいじ)しないと円高も長続きしないかもしれません。
また、米国の長期金利が落ち着いた動きになれば、米国の動きも静観に変わるかもしれないというシナリオにも留意しておいた方がよさそうです。今週27~28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金利据え置きとの見方が大勢ですが、米長期金利の動きについてどのような発言をするのか注目したいと思います。
(ハッサク)

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