2025年、期待外れに終わったビットコイン市場。2026年は巻き返しなるか? 楽天ウォレット・シニアアナリスト:松田康生、通称MATT(マット)が、2025年を振り返り、2026年のビットコイン相場を予測する。


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2026年見通し

2026年ビットコイン:ピークは18万ドルと予想!米国での法整備と大手金融機関の参入がチャンス
出所:各種資料より著者作成

上に行って来い

 2026年のBTC相場はピークが18万ドル(2,800万円)、年末が9万ドル(1,400万円)と予想する。現水準から上に行って来いのイメージで、ボトムは現水準の年末の1,400万円程度。このピークは多少上下に振れる可能性はあるが、結局、年初の水準に戻ってくると考えている。


2025年が期待外れに終わった理由

 2025年の年始に発表した見通しでは、2025年は半減期翌年にあたり、供給要因による4年サイクルにより半減期から1~1年半後にあたる4月ないし10月に3,500万円をつけてピークアウトすると予想した。実際は、昨年10月に1,900万円でピークアウトした。ピークアウトする時期は合っていたが、水準は及ばなかった。


 実は筆者は、これまで何度も年次の予想を公表してきており、2021年のピーク800万円、年末500万円、2024年末の1,550万円などほぼピタリ的中させてきた。では、他の年はどうだったか?


 実は会社を移って記録が残っていないのだが、2020年末は220万円と予想し、300万円で着地した。2021年末は500万円で、2022年末はメイン(60%)360万円、サブ(30%)180万円と予想したところ、年末は220万円となった。次に2023年末は400万円と予想したが、予想を上回り600万円となった。


筆者のBTC相場予想と結果
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出所:各種資料より著者が作成

 水準は「ピタリ」とまではいかなかったが、方向性が正しかったのはロジックが正しかったからだと考える。すなわち、「BTC市場は需給で決まること」、そして「半減期の供給要因による4年サイクルにいち早く気付いたこと」が原因といえよう。今では多くの人に知れ渡るようになったが、少なくとも国内でこのロジックを主張し始めたのは筆者が初めてだったという認識だ。


 2020年当時は、マイニングの投入コストやネットワークの価値といった理論が主流だった。

マイニング投入コスト論はモノの価格はコストで決まる、という労働価値説的な考えで、市場経済体制下では通用しない。市場では価格は需給で決まり、BTCも例外ではない。


 BTCの供給はプログラムで決まっており、半減期の影響で4年サイクルを描くと主張し続けていた。ただし、半減期の影響は徐々に薄れ、今回のサイクルで最後となりそうだと申し上げてきた。


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出所:各種資料より著者作成

 最初の2012年の半減期では、ブロック(約10分)辺りの報酬(=発行量)が50BTCから25BTCに、すなわち25BTC減り、次の2016年では25BTCから12.5BTC、すなわち減額幅も12.5BTCに半減した。今回の2024年の半減期では6.25BTCから3.125BTCに、すなわち3.125BTCしか減っていないから、以前と比べてインパクトが小さくなる。


 一方で、発行残高は徐々に増えていくので、影響はさらに小さくなり、半減期からピークまでの倍率は、当初の91倍から29倍、8倍と低下してきた。


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出所:Bloombergより楽天ウォレット作成

 2025年の予想では、半減期が1,000万円だったので、それが3.5倍になると考えピークを3,500万円と予想したが、実際には1.9倍の1,900万円に止まった。これまでのパターンからして、2024年1月に2.5倍と予想していたが、上場投資信託(ETF)の影響から2024年6月に3.5倍に上方修正した。


 ただ、今回1.9倍に止まったということは、この供給減による4年サイクルは今回で最後であることを示唆している。1.9倍を半分ないし3分の1したら1を割ってしまう。


需要要因

 供給要因が効かなくなるということは、需要要因の影響が大きくなるということだ。需要要因とは、いつ、誰が、何のために、いくら、買ってどれだけ上がるのかということだ。


何のために買うのか?

 2024年に続き、2025年も金、BTC、株、不動産ともに史上最高値を更新した。東京23区の新築マンションは平均で1.3億円に達した。これは円ないしドルといった法定通貨の価値が相対的に下がっていることを示している。


 2020年のコロナショックで世界は財政支出と金融緩和で乗り切ったが、コロナ禍が沈静化すると、金融緩和で供給し過ぎたお金がインフレを引き起こした。これを抑えるために各国は金融と財政を「正常化」、すなわち引き締めたが、これに各国の国民は「NO」を突き付けた。2024~2025年、米国、英国では政権交代、日本、ドイツ、カナダでは首相が交代した。


 この結果、2025年は各国は積極財政にかじを切り、高市政権の誕生はこうした世界的動きの一環だろう。これに危機感を覚えた投資家が意図的ないし本能的にあらゆるアセットに殺到している構図だ。


 この動きは一時的なものではないと考える。大げさに言えば、現在の経済学と政治学との論理的帰結なのかもしれない。現在主流の経済学は1929年の世界恐慌の反省の上に成り立っている。


 ケインズは「恐慌の原因は硬直した財政均衡主義にある」として、「民間の総需要が不足する場合は、借金をして財政支出を増やすべきだ」と説いた。いわば財政赤字の許容だ。


 一方、バーナンキは「恐慌の原因は金本位制だ」として、「恐慌のデフレスパイラルから抜け出すためには、中央銀行が国債などあらゆるものを買い入れて、お金を供給すべきだ」と説いた。量的緩和の許容だ。


 この二つに現代の選挙制度が加わった結果、世界はコロナ時に味わった財政ファイナンスから抜け出せなくなってしまった。ひとたび選挙になると各党「減税競争」になる構図をわれわれは目の当たりにしている。


 おそらくケインズやバーナンキの考え方は1929年には有効だったのかもしれないが、それから100年たった現代社会には適合しなくなっているのかもしれない。


 現代では、SNSとビッグデータ解析が進んだ結果、選挙に勝つために大衆迎合的な色合いが強まり、将来、大変なことにならないように今は増税して我慢しようという主張は絶滅しつつある。これは構造的な問題で、1年や2年で修正が効く動きではないと考える。人間は痛い目にあうまでは楽な道を選びがちだ。


誰が?いくら?

 問題はそうした参加者の流入があるかどうか…。


 例えば2024年1月の米ETF誕生は、それまでBTC市場に参入しにくかった伝統的な機関投資家に加え、それまで二の足を踏んでいた60代以上のベビーブーマー世代の投資家をひきつけたといわれている。


 政府債務の増加により法定通貨の信用が毀損(きそん)されていると筆者や暗号資産業界がいくら言っても彼らは動かないが、ブラックロックのラリー・フィンクCEOが言えば納得する人が出てくる。要はBTCのような新しいプロダクツは、売っているものが何かも大事だが、誰が売っているかも重要なわけだ。


米金融機関と暗号資産取り扱い開始タイミング


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出所:各種資料より楽天ウォレット作成

 2026年はそういう面で大きな動きが控えている。


 2025年10月、 モルガン・スタンレー(MS) は傘下1.6万人のフィナンシャルアドバイザー(FA)に、リスク選好に応じて顧客の保有資産の0~4%のBTC保有を推奨するガイドラインを出した。続いて12月、 バンク・オブ・アメリカ(BAC) も傘下1.9万人のFAに同じく1~4%のBTC保有を推奨した。彼らの管理資産は前者が約6兆ドル、後者が約4兆ドル、あわせて10兆ドルに上る。


 実際にどの程度BTCを購入するかは分からないが、全米成人の暗号資産普及率と同等の約2割が資産の2%保有したと仮定すると400億ドルの買い圧力となる。


 両者の預かり資産の0.4%は、米国のETF全体(約13兆ドル)に対する暗号資産ETF(約1,300億ドル)の割合、ブラックロックの全ETF(約5.5兆ドル)に対するIBIT(700億ドル)の割合、1%強と比べても現実的な水準だろう。


 また年前半には大手ネット証券の チャールズ・シュワブ(SCHW) が自社プラットフォームでBTC現物の販売を開始する予定だ。同社の運用資産は13兆ドルで、Bloombergのアナリストはベースケースで約0.1%の150億ドルの買い圧力になると試算している。この二つをあわせて550億ドルという規模は、米ETFがローンチ以来の資金流入578億ドルに匹敵する。


 それ以外にもモルガン・スタンレー本体など、伝統的金融機関の参入計画が相次いでおり、2026年は伝統的な金融機関の参入元年となりそうだ。


 ただ誰が売ろうが、ニーズがないモノは売れない。この点について、米国の成人の暗号資産の普及率は調査によってバラツキがあるが2割強で、もうすぐクリティカルマスと呼ばれる3割に達する。これはスマホなどの普及が一気に進んだターニングポイントとされる。


 2026年に伝統的金融機関が参入を始めるのは、そうしたニーズの爆発を見越した動きで、それゆえ、CEOがあれだけBTCを嫌っていた JPモルガン・チェース(JPM) でさえ現物取引提供を検討し始めたと報じられている。


どれだけ?~ETFと同レベルの買い~

BTC/USDとETFフロー
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出所:Bloomberg・SoSoValueより楽天ウォレット作成

 では550億ドルの新規の買いでどの程度相場が上がるのか、これは簡単な問題ではない。簡易的に時価総額に資金流入を足して総発行量で割る方法もあるが、これはあまり正確ではない。この点、ETFフローにヒントがある。


 図はETFフローとBTC相場だが、見事にシンクロしている。ETFフローがおおむね週20億ドルを超えている期間は相場が上昇し、フローが一服すると相場は調整している。


 BTCが5.3万ドルから10.9万ドルに上昇した2024年9月13日週から2025年1月23日週までのETFフローは230億ドルだった。また7.4万ドルから12.6万ドルまで上昇した2025年4月17日週から10月10日週までのETFフローは274億ドルだった。あくまで経験則だが、外部資金が250億ドル流入すると相場が5万ドル上昇した計算だ。


 この計算でいけば2026年に550億ドルもしくはそれ以上の新規資金の流入があれば、相場は10万ドル上昇、今回のボトム8万ドルに足して18万ドルと試算した。


 ただし、このチャートにあるように上昇が2回に分けて発生して、その間に調整が入るとすれば、単純に10万ドルでなく、途中の調整を差し引いて7万ドルや8万ドルとなる可能性もある。その場合はピークが15万ドルや16万ドルで終わる可能性があるだろう。


 また550億ドルの流入というのも概算なので、そこまで精緻なレベルまで一致するものではなく、あくまで目安と思っていただきたい。


いつ?~上昇・下落のきっかけ~

米政策金利(FF)とBTC/USD
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出所:TradingViewより楽天ウォレット作成

 上昇のきっかけは米連邦準備制度理事会(FRB)の再利下げが最有力だ。またCLARITY法案の成立や年内が有力視されているGENIUS法施行なども有力だ。後者は米国でステーブルコインの普及が一気に進み、伝統的な金融機関の参入ラッシュが予想されている。


 一方で、反転のきっかけはAIバブルの崩壊が有力か。AI株がバブルかそうでないかは議論が分かれるが、AI技術が素晴らしくとも、上がり過ぎたものは下がるのが相場の常だ。IT技術は世界を席巻したが、ITバブルは崩壊した。


 また日本銀行の利上げとFRBの利下げが円キャリー取引の解消を通じて世界のリスク資産市場から資金を吸い上げる。これによって世界の株式市場がショックを受ける。いずれにせよ、株価下落がBTC市場の反落の引き金を引くと考える。


最後の上昇

 以上、主に需要要因から2026年の相場を見通したが、供給減による影響が全くなくなったわけではないと考えている。半減期とピークがずれる理由はさまざまだが、供給減の累積効果が出るのに時間がかかるのが主因だろう。


 例えば2020年の半減期で1日900BTC供給が減ったが、100日なら9万BTC、300日で27万BTC、500日なら45万BTCとかなりのインパクトとなる。


 今回は1日当たりの供給減が450BTCなので2月に30万BTCを超え、9月には40万BTCを超える。昨年もある程度上がったが過熱感は感じられなかった。どの時点でそうした効果が出るかは分からないが、今年前半のそう遠くない時期に供給減効果による上昇が再燃すると予想している。


 そして、このサイクルの最後の上昇を行ったら、その分失速する。従来はオーバーシュートして8割や7割下がっていたが、今回は上昇が浅いのと、ETFなど投資家層が厚みを増したことから、最も強気なシナリオでも調整は5割程度で終わると考え、年末はピーク18万ドルの半値9万ドルと予想した。


 いわば、4年サイクルの最後のピークが遅れて到来するイメージで、その後は完全にこのサイクルは消滅すると考えている。


「歴史は繰り返さないが韻を踏む」


(松田 康生)

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