衆院選投開票が2月8日に迫る。政権与党が過半数を確保すれば、「高市トレード」による株高・円安基調が続く見通しだ。
衆院選三つのシナリオで読む、「株」と「為替」と「金利」
1月27日に公示された衆議院議員選挙。2月8日の投開票まであとわずかとなりました。選挙の結果次第で、日本の政治運営だけでなく、株式や為替、金利動向など金融市場全体に大きな影響が及ぶと考えられます。
とりわけ、市場では積極財政や金融緩和に理解的と受け止められている政策姿勢を背景にした、いわゆる「高市トレード(株高・円安、金利上昇)」が意識されており、その継続性が選挙結果によって左右される点に注目が集まっています。
ここでは、下記の三つの想定シナリオに沿って市場への影響や財政・金利、物価対策のメリットとデメリットを整理します。
シナリオ(1):与党過半数なら、政権安定で株高・円安続く
まず、政権与党である自由民主党(自民党)と日本維新の会(維新の会)が過半数を獲得したケースです。高市早苗首相もこの水準を重要視しています。
このケースは政治的な安定感が最も高く、市場は安心感を持って受け止めやすいと考えられます。政権基盤が安定することで、政策の継続性が確保され、積極財政や成長投資への期待が維持されやすくなります。その結果、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)は上昇基調を保ちやすく、特に内需関連やインフラ、防衛、金融といった分野への物色が続く可能性があります。
為替市場では、積極財政と金融緩和への理解が続くとの見方から、円安基調が維持されやすく、「高市トレード」は比較的高い持続性を持つと考えられます。もっとも為替は相手国とのバランスが重要ですので、トランプ政権が「ドル安」を容認している以上、「1ドル=160~170円」といった円安進行は考えにくいでしょう。
一方、デメリットはあります。歳出拡大への懸念が完全に消えるわけではなく、防衛費やエネルギー対策、インフラ投資などを背景に、長期金利は緩やかに上昇する可能性があります。ただし、政権が安定しているため、財政運営が制御不能になるとの見方は広がりにくいことから、金利上昇は限定的にとどまると考えます。
物価対策については、補助金や減税など即効性のある政策を打ち出しやすく、家計負担の軽減というメリットがありますが、需要刺激が続くことでインフレ圧力が長引くリスクや、将来的な財政規律への懸念が残る点はデメリットと言えます。
不透明要因を強いて挙げるとすれば、消費税減税の具体的な案と財源でしょう。主要政党のほとんどが「消費税減税」を打ち出しているので政策に大きな違いはありませんが、選挙後、「対象」と「財源」の話が迷走する可能性はありますので注意は必要です。
なお、自民党が単独過半数を獲得したとしても維新の会との友好関係は続くと考えます。仮に維新の会を連立の枠組みから外すとなれば、高市政権に対する批判が与野党のみならず国民からも一斉に噴き出すことは容易に想像できます。
シナリオ(2):中道が躍進なら高市氏退陣、市場は最も警戒
次に、政権与党が過半数を割り込み、保守系野党が伸び悩む一方、中道改革連合(中道)が議席を伸ばしたケースです。
この場合、高市政権は退陣が見込まれますので、市場は最も警戒するでしょう。政治空白や政策調整に時間がかかるとの見方から、日経平均は短期的に調整しやすく、高市氏が自民党総裁に選ばれる前の4万6,000円水準も視野に入ります。相対的にTOPIXはディフェンシブ銘柄や生活必需品関連などが選好されますが、ほぼ日経平均同様の急落となるでしょう。
為替市場は方向感が出にくく、円高と円安が交錯する展開になりやすいでしょう。
中道は財政規律や分配を重視する傾向があるため、大規模な歳出拡大にはブレーキがかかることが想定されるため長期金利の上昇圧力は抑えられるでしょう。国債市場は安定しやすい半面、景気刺激策への期待は大幅に低下します。
物価対策については、給付や支援が限定的で対象を絞った形になりやすいことから、財政効率が改善するというメリットがあります。一方、難しい政権運営のもと政策決定に時間がかかることで即効性に欠け、企業や家計の先行き不安が強まる可能性がデメリットとなります。
シナリオ(3):保守系野党が躍進なら、株価乱高下リスク最大
最後に、政権与党が過半数を割り込み、中道連合も伸び悩む一方、国民民主党や参政党などの保守系野党が議席を伸ばしたケースです。この場合、市場の評価は分かれるでしょう。
保守系野党は減税や積極財政、国民負担の軽減を強く主張するため、テーマ株や国策関連銘柄には買いが入りやすく、部分的には「高市トレード」に近い動きが見られる可能性があります。
しかし、高市首相が辞任する可能性など、政権運営の不安定さが増します。
日経平均株価全体としては上値が重く、値動きは荒くなりやすいでしょう。TOPIXは内需関連や公共投資関連が相対的に強くなる一方、外需やグローバル企業は慎重に見られやすくなりますので、日経平均同様難しい状況となります。
為替市場では、減税と歳出拡大が同時に進むとの観測から財政不安が意識され、円安圧力が強まる可能性があります。このシナリオが最も金利上昇リスクが高まるとみます。
物価対策については、減税による可処分所得の増加や短期的な生活防衛効果というメリットがある一方、需要刺激によるインフレ再燃、円安を通じた輸入物価の上昇、金利上昇による住宅ローンや企業投資への悪影響といったデメリットが顕在化しやすくなります。
「高市トレード」継続と読む理由
以上三つのシナリオを総合すると、安定的な株高と円安が最も実現しやすいのは、政権与党が過半数を確保するケースでしょう。一方、財政規律に伴う安定と安心を重視するなら中道連合が力を持つケースとなります。そして、短期的な乱高下の可能性が強く変動性(ボラティリティ)が最も大きくなりやすいのは、保守系野党が伸びるケースとみます。
2月1日時点、私はこの三つのシナリオの中で実現する可能性が高いメインシナリオは(1)と考えます。理由は、今回の衆議院解散が内閣不信任による「69条解散」と異なり「7条解散」だからです。「7条解散」とは、日本国憲法第7条に基づく首相主導の任意解散です。
つまり、首相が頃合いを見て「今、解散すれば選挙に勝てる」と判断した解散なのです。追い込まれての解散ではなく、高い支持率などを考慮しての首相の判断がベースにありますのでよほどの想定外の事象が起きない限り、「政局を大きく読み間違えることはない」と考えます。
「高市トレード」を追い風に!今注目したい日本株5選
こうした背景から、今回は(1)のメインシナリオを前提に「高市トレード」継続を追い風とした5銘柄を紹介します。高市政権が掲げる17の戦略分野の中から出遅れている銘柄を選びました。
銘柄名 証券コード 株価(円)
(2月3日終値) 特色 カウリス 153A 1,153 マネロン対策に強みを持つセキュリティ企業 サイエンスアーツ 4412 2,372 防災・国土強靭化や自治体DX推進が追い風 島津製作所 7701 4,281 隠れたバイオインフラ関連 岡本硝子 7746 1,228 レアアース関連として動き出す 理経 8226 517 防衛インフラを支える通信企業
カウリス(153A)
金融機関や決済事業者向けに不正検知やマネー・ロンダリング(マネロン)対策を提供するセキュリティ企業です。主力のクラウド型サービスは、不正口座開設や不正送金、なりすまし取引などをリアルタイムで検知し、金融犯罪リスクを低減します。
特に、複数の金融機関で得られた不正データを共有・活用する仕組みを強みとしており、個社単独では防ぎにくい巧妙な犯罪にも対応可能です。
昨年、市場でにぎわったハッカー対策などのセキュリティ関連銘柄と属性は異なりますが、近年は、国際的なマネロン規制の強化やキャッシュレス決済の拡大を背景に、同社サービスへの需要は中長期的に拡大するとみています。
サイエンスアーツ(4412)
フロントラインワーカー(現場作業員)向けの音声・映像コミュニケーションツール「Buddycom」を提供するSaaS企業です。スマートフォンをトランシーバーのように使える仕組みで、災害現場やインフラ保守、警備・消防などの分野で活用が進んでいます。
防災分野では、災害発生時に現場と指令所を即時につなぎ、状況把握や指示伝達を迅速化できる点が評価され、2024年に発生した能登半島地震では総務省の要請と協力に基づき無償提供した実績があります。国土強靭化(きょうじんか)や自治体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進といった政策テーマとの親和性が高いことから注目します。
島津製作所(7701)
分析・計測機器を中核とする老舗メーカーで、合成生物学やバイオ分野に不可欠な分析装置を数多く展開しています。質量分析装置やクロマトグラフは、遺伝子解析、タンパク質解析、代謝物分析などに広く用いられており、創薬研究や合成生物学の基盤技術を支えています。
合成生物学では、設計した生体反応が想定通りに機能しているかを高精度で検証する必要があり、同社の分析技術の引き合いは強いと考えます。成長性より安定した大型株という観点から市場での関心は高まっていませんが、研究開発投資の拡大やバイオ産業の高度化が進む中、安定した需要に伴う堅調性に注目します。
岡本硝子(7746)
特殊ガラスや光学部材を製造する企業です。海洋専業ではありませんが、精密光学用途や機能性ガラスで培った技術を海洋調査・観測分野向け部材に応用する可能性があります。近年、レアアースなど海洋資源開発や海底インフラ整備、環境モニタリングの重要性が高まっていることから関連部材の需要拡大に期待します。
先月はレアアース関連銘柄の一角として急騰する場面も見られました。思惑先行のため短期資金の流出入に警戒しつつ、中長期的な成長性に注目します。
理経(8226)
ITインフラ、ネットワーク機器、電子機器を中心に事業を展開する企業で、防衛分野とも深い関わりを持っています。
同社は専業の防衛メーカーではありませんので、市場の知名度は低いですが、防衛インフラを支える隠れた防衛関連銘柄として注目します。
(田代 昌之)

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