「2,000万円の貯金があるから、老後はひとまず安心」そう言い切れる時代は、すでに終わっているかもしれません。今、自分の資産が何歳まで持つか、具体的にイメージできていますか。
「人生100年時代」といわれる昨今、60歳はリタイアというゴールではなく、新しい生活のスタートラインです。そこからの30年、40年という長い時間を自分らしく豊かに過ごすためには、単にお金をため込むだけでは十分とはいえません。
大切なのは「お金の面で不安がなく、満たされた状態(ファイナンシャル・ウェルビーイング)」を実現していくことであり、そのための資産運用の「最適解」は世界株式インデックスファンドだと考えています。
なぜ、60歳からの投資に世界株式インデックスファンドが最も適しているのか、三つの理由と具体的な実践法を解説します。
世界株式インデックスファンドとは?
まず本記事でいう「世界株式インデックスファンド」は、幅広い世界の株式を対象としたインデックスファンドのことです。
日本で最も有名なものは、オール・カントリー(いわゆるオルカン)など、米国のMSCI社が算出しているMSCI ACWI(エムエスシーアイ オール・カントリー・ワールド・インデックス)に連動するインデックスファンドでしょう。これ1本で世界47カ国(先進国23カ国、新興国24カ国)を対象とし、時価総額の上位約85%の企業、約2,500社に投資することができます。
これはカテゴリー上、「全世界株式」といわれるものですが、46カ国を対象とした「全世界株式(除く日本)」、23カ国を対象とした「先進国株式(含む日本)」、22カ国を対象とした「先進国株式(除く日本)」といった同様のカテゴリーであれば、現在は先進国の割合が9割程度なので、パフォーマンスに大きな違いはないでしょう。以降、これらを総称して「世界株式インデックスファンド」と呼ぶことにします。
MSCI社株式インデックスの構成国一覧
1.お金の「買う力」を守る:インフレという静かなリスク
多くの方が「預金が一番安全」と考えがちですが、実は預金だけでは守りきれないリスクがあります。それが、物価が上昇してお金の価値が下がる「インフレ」です。
もし年2%の物価上昇が20年続くと、今100万円で買えるものの価値は、実質的に約67万円まで目減りしてしまいます。通帳の数字(元本)が変わらなくても、実際にお金として使うときの「買う力(購買力)」が落ちてしまうのです。
世界経済は長期的に成長を続けており、世界株式の代表的なインデックスであるMSCI ACWIは約38年で31倍近くまで上昇してきた実績があります。世界株式インデックスファンドで運用すれば、物価上昇を上回るリターンが期待でき、あなたの資産価値を将来にわたって守り抜ける可能性が高まるのです。
2.「増やしながら使う」:資産寿命を飛躍的に延ばす
リタイア後のお金に関する最大の悩みは「貯金がいつか底をつくのではないか」という不安ではないでしょうか。世界株式インデックスファンドを活用すれば、「資産寿命」を大幅に延ばしていける可能性が高まります。
- シナリオA(預金のみ)
1,000万円を毎月5万円ずつ取り崩すと、利回り0%では約16年で底をつきます。
- シナリオB(世界株式インデックスファンド)
年5%で運用しながら毎月5万円を取り崩せば、20年たっても約624万円の残高が残ります(あくまで利回り5%の確定利回りでの試算です)。
過去35年間のデータを用いた分析では、どのタイミングで投資を開始しても、毎月定額(当初運用元本の0.4%、年率では4.8%)を取り崩し続けて20年後に元本割れしたケースは一度もありませんでした。
(詳細は拙著「 増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い『お金の回し方』 」(KADOKAWA)にて説明しています。)
もちろんあくまで過去の実績ですし、世界株式インデックスファンドには価格変動リスクがあることに留意が必要です。しかし、全世界株式の期待リターン(筆者は年率5~6%程度と考えています)よりも低めの取り崩し額であれば、資産寿命を延ばしていける可能性は高いといえます。
運用でお金に働いてもらいながら「上手にお金を使う」ことこそが、豊かな老後の秘訣(ひけつ)ではないでしょうか。
3.「幕の内弁当」のような安心感:徹底した分散と低コスト
世界株式インデックスファンドの最大の魅力は、「たった1本で世界中の数千社にまるごと投資できる」という手軽さと安心感でしょう。
- 世界中に分散
特定の1社や日本だけに資金を投じるのではなく、米国、欧州、アジアなど、世界約47カ国の約2,500社の株を少しずつ持つイメージです。これは「数千種類のおかずが入った幕の内弁当」のようなもので、どこか一社の業績が悪くなっても、全体への影響は限定的です。
- 手間いらず
成長している国や企業の割合はファンドの中で自動的に調整されるため、自分で難しい銘柄選びや売買のタイミングを考える必要はありません。
- 圧倒的に安い手数料
運用会社の手数料競争もあり、最近のインデックスファンドは低コスト化が進んでいます。手数料(信託報酬)年率0.1%未満といった超低コスト商品を選んでおけば、長期的にも手数料のことを気にする必要はないでしょう。
60代以降など、リスクを下げるために、債券、不動産投資信託(REIT)、金など、さまざまアセットクラスへ分散して投資するという考え方もあります。しかし、取り崩していくことを考えると、複数の商品を保有している場合、どの商品からどのように取り崩していくか、資産配分がずれてきた場合にリバランスをしなくては、などかなり面倒になると考えています。
そういった意味でも、世界株式インデックスファンド1本がシンプルで優れていると思います。
失敗することなく、資産寿命を延ばすための「仕組みづくり」
60歳からの投資で最も大切なのは、マーケットの変動に一喜一憂することなく、淡々と取り崩しながら使っていく「仕組み」を整えることです。
1.「四つのポケット」でお金を分ける
資産を役割ごとに整理し、投資に回すのは「運用し続けるお金」に限定しましょう。
(1)ふだん使うお金:日常生活費(1.5カ月分程度の生活費)
(2)使うかもしれないお金:自宅の修繕や介護費用など(数百万円)
(3)プールしておくお金:ダム資金(取り崩していくお金5年分)
(4)運用し続けるお金:増やしながら取り崩していくお金(ここを投資へ)
2.「ダム資金」を確保する
マーケットの暴落時にも安心して運用を継続していくための非常に大切なお金が「ダム資金」です。運用資産から取り崩す予定額の「5年分程度」を、あらかじめ「ダム」(預貯金や個人向け国債など)として確保しておきます。
仮に暴落が起きた場合には投資信託の取り崩しを停止し、この「ダム」から生活費を出していけば、安値で投資信託を解約して資産寿命を短くしてしまう失敗を防ぐことが可能になります。過去のデータを見る限り、マーケットは5年程度で回復することが多いことから、ダム資金としては5年分程度の取り崩し資金を確保しておけばよいと考えています。
自分らしい幸せのために
60歳からの資産運用は、決してお金持ちになるためのギャンブルではありません。それは、「お金の不安をなくし、今この瞬間の人生を家族や趣味のために有意義に楽しむ」ための手段でしょう。
「世界株式インデックスファンド」という強力な味方にお金を預け、あとは「ほったらかし」にする。そうして浮いた時間とエネルギーを、あなた自身の素晴らしいセカンドライフのために使いましょう。
今日が、これからの人生で一番若い日です。安心の仕組みを整えるための一歩を、今ここから踏み出してみてはいかがでしょうか。
【関連リンク】
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(横田 健一)

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