米国AI関連株の迷走が続いている。AI銘柄の間でも、それ以外の業種の間でも、株の値動きがチグハグであり、株価の適正水準に関する視座も定めにくく、折々に下値不安も強まる。
サマリー
●迷走続きだった米AI相場が1月末から2月初めに急落に見舞われた。
●この急落によって、迷走する個別銘柄が否応なく一緒の波動に乗れば、勝機を見いだしやすくなる。
●米株迷走中に上伸する日本株には、自立と自律の妙味が生まれつつある。
AI相場の変容
米AI株相場の迷走が何カ月も続いています(図1)。腰の据わらない相場は、投資家の士気もまとまらず、折々に下値不安が強まりやすくなります。決算、政策、経済指標などのニュースに加え、年末年始を含む月末や月初めの節目にも、相場は下方リスクが顕在化しがちです。
<図1>主要な米AI株の迷走
1月末から2月初めの相場の下押しは、想定以上に厳しいものになりました。しかし、厳しい下落になることで見える光明もあります。最近はAI銘柄間で値動きがチグハグになり、迷走しがちだった相場が、そろって大きな下落に巻き込まれ、同じ波動に乗せられる可能性が生じるのです。
ところで、そもそも、あれほど強力だったAI相場はなぜ迷走しているのでしょうか。
第一には、速く高まる相場には、自律調整圧力の増大がつきものです。
第二には、エヌビディア株やパランティア株が好決算の後に急落するパターンを繰り返すうちに、誰もが信頼する相場の先導役が見えなくなりました。
第三に、AI関連投資の過剰、それを賄う債務の過剰への疑念が浮上し、株価の適正水準の評価が揺らいでいます。
第四に、「エヌビディアとオープンAI」の独壇場だったAI領域で、アルファベットの台頭など勢力図に変動が生じています。
第五に、普及・発展するAI自体が、AI企業の業容を変えてしまいかねません。最近、アンソロピックが公表した「Claude Cowork(クロード・コワーク)」は、他のAIソフト企業の業務を駆逐しかねないとして、株安を招いています。
こうした背景から、市場ではAI需要の裾野拡大に確信があっても、個々のAI企業の株価には視座が定まりにくくなっています。結果として、好ニュースを受けて、ある銘柄が急伸しても、利益確定の売りが早まり、値上がりしていない他のAI銘柄、あるいは景気・バリュー株へのローテーションが目立つという、日替わり浮沈、銘柄間不均衡が顕著になりました。
しかしAI需要の裾野自体は拡大していくとの確信はあり、市場で株の買い意向は根強くくすぶっているようです。相場が下げても、ニュースなどきっかけがあれば、旺盛な買い動意が確認されます。
また、大型株を動かすほどマネーがまとまらないため、中小型株の物色、供給不足のメモリー株買いへの殺到など、活路が模索されています。
これらを前向きに解釈すれば、地道な買い意欲により、相場の下値は支持されそうとされます。しかし、中小型銘柄の物色、特定テーマへの過剰な集中投資は、相場悪化への前兆ともされます。
相場急落で見えた光明
1月末から2月初めに急落した米株相場は、想定より深みにはまった一方、その後、テクニカルな反発も見せています。ただし、大急落後の反発が一服すると、厳しい戻り売りを呼び起こすことが少なくありません。再び下値に絡むと、底抜けリスクも排除はできません。
ただし、今回の急落には、ちょっとした光明も見えています。バラけていた銘柄ごとの相場リズムが、相場全体の大急落と反発によって、強引に波形をそろえられます。そして、相場リズムの調和をもたらす目があるのです。
1~2年前のAI相場は、エヌビディアが先導するがん行飛行の様相でした。エヌビディアに夢を託し、周辺銘柄を見ると、同じような上昇トレンドにあり、相場全体の強さを信頼して乗ることができました。
最近のように、ある日に1銘柄が急上昇しても、他の銘柄は浮き沈みが激しいと、上昇の継続に自信を持ちにくいでしょう。つまり、相場のリズムがそろうことは、投資家心理をまとまりやすくする効果があるのです。
当社モデルは、2月から4月前半まで、不安定で不均衡感の強い相場を示唆していました。しかし、今回の急落データをインプットした後は、目先一部にダレ銘柄があるものの、全体としてしっかりしており、2月下旬に下振れ警戒、3月上中旬しっかりで、3月末接近でまた下振れやすいという流れをより鮮明に浮かび上がらせつつあります。
相場全体のリズムの調和を示唆し始めていることは、これまでより視座を定めたアプローチの勝機を期待させます。順当に進めば、4月後半から5月にかけて良質な上昇波動のリズムになるかもしれないとのイメージを強めています。
日本株の自立と自律
日本株はここ数年の復活過程でも、「米国株×ドル円」を指針に外国人投資家がどう動くかで、相場の大半が規定されてきました。この間にドル円はほぼ米金利次第の展開だったため、日本株相場は他力本願だったといえます。
自立性を取り戻してきた背景は、第一に、インフレで名目国内総生産(GDP)成長の拡大が続いていることです。第二に、円安の長期化です。第三に、日本企業自らの改革と自社株買いです。日本企業は横並び意識が強く、改革当初から進捗(しんちょく)は遅々としていましたが、最近はその横並び意識ゆえに改革が加速しています。
第四に、世界株高をけん引してきた米AIブームが、日本企業の強みへと波及してきました。AIそれ自体に日本企業の優位性を見いだしがたいものの、半導体製造装置、フィジカルAIを支える装置や部材では日本企業が世界をリードするものが少なくありません。
第五は、高市政権が高い支持率を受け、政治基盤を最強レベルに高めたことです。高市早苗首相は、有権者の多くが歯がゆいと思っていた日本の出遅れ分野について、明確な成長戦略を掲げています。その政策テーマに沿う銘柄への期待が持続する可能性が高まりました。
米AI株が数カ月にわたって迷走状態にある一方で、日経平均株価は上伸しました。
特に、高市テーマの銘柄のうち、今後の需要動向を織り込みやすい、あるいは期待しやすい分野として、AI、防衛、レアアースなどの相場に一定の持続性、自律性が見られるようになりました。
<図2>米株迷走でも日本株は自律上昇
私のモデルでも、日本株の方が扱いやすい、明快な示唆が出やすいという、数年、数十年来なかった感触になっています。モデルが示唆する日本株のリズムは、米国株とは必ずしも一致せず、2月下旬はしっかりで、3月上中旬は中だるみ、月末接近時はしっかりで、反落は4月前半という示唆です。
その上で、米日とも4月後半から5月にかけて、上昇波動がそろいそうにみえます。何にしても、米株相場が難しい局面に、日本株に妙味があるというのは、投資家として大いに救われます。
*本稿は個別銘柄を推奨するものではありません、投資はご自身の判断と責任において行ってください。
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(田中泰輔)

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