2026年の不透明な市場環境において、単に利益を追う「当てに行く投資」から、資産を守り抜く「生き残る投資」への転換が必要だ。バブル相場のフィナーレを楽しみながら、同時に予測不可能な事態(ブラック・スワン)が起きても致命傷を負わないための「防御の資産管理」を考える時期だろう。


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市場そのものを動かすのは「政策当局が注入する過剰流動性のレベル」と「政策期待を巡る感情」

 高市政権誕生で日経平均株価は6万円をうかがう可能性があると述べてきたが、あっという間に5万8,000円台に乗せてきた。現在の日本が経験しているのは「通貨の劣化による資産インフレ」である。円安は隠れた税金だ。


 それは「社会全体に損失を転嫁するインフレ税」であり、日本は1,300兆円の借金の価値を下げるために、基本的に円安政策を継続している。円安は実質的な経済成長を伴わない「通貨の切り下げ」であり、株高や不動産高は海外勢が促す「円安バーゲンセール」である。


 世界の債務は300兆ドルを超えている。300兆ドルは153円換算で4京5,900兆円である。もうファンダメンタルも業績も関係ない。市場そのものを動かすのは「政策当局が注入する過剰流動性のレベル」と「政策期待を巡る感情」である。昨今の政治体制では歳出削減など絶対無理だろう。従って、どこの国も「プリンティング・マネー(紙幣増刷)」の一択である。


日経平均CFD(日足)
致命傷を負わないための防御の資産管理
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

TOPIXCFD(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 現在の日本株の急上昇はドイツのワイマール時代と同じうたげにみえる。

ワイマール時代は慢性的な失業と生活水準の下落が国民を全体主義に走らせた。ワイマール時代憲法下の「緊急大統領令」の多用が、最終的に独裁政権への道を開き、民主主義は崩壊した。


 ヒトラーはその後、軍拡を進め、第2次世界大戦へと突き進んでいく。1932~1933年は、ドイツが民主主義から全体主義へ、短期間で劇的に変化した重要な2年間だった。


 ドイツのワイマール時代のハイパーインフレでは、当初、人々は不満を言うのではなく、株でもうけたお金でシャンパンを開けて喜んでいた。飢餓感は後からやってきた。100年ほど前のドイツで生じたハイパーインフレ(1922~1923年)と現在の資産インフレには、「紙幣の増刷」という大きな共通点がある。


 無限の流動性を持つ中央銀行による国家管理相場で株式市場の法則そのものを無法化してしまった現在、下げ相場を知らない今の市場参加者には無駄な助言となるだろうが、筆者は時代の大きな転換点にいると考えている。防御(資産防衛)を最優先に考える時だ。


 2026年の不透明な市場環境において、単に利益を追う「当てに行く投資」から、資産を守り抜く「生き残る投資」への転換が必要だ。バブル相場のフィナーレを楽しみながら、同時に予測不可能な事態(ブラック・スワン)が起きても致命傷を負わないための「防御の資産管理」を考える時期だろう。


 国家が市場に全面的に介入し、膨大な量の負債が追加され、政治的な状況は巨大な混乱に陥っている。

残っているのは、旧態依然としたカジノ化した市場にけん引された「仮想的な富の効果」だけだ。資産と負債を際限なく膨らます「両建て経済」でカジノ化した市場の怖さは、「相場が急落すると資産は減るが、負債は減らない」ということだ。


 2026年は地政学的リスクや財政不安が背景にあるため、流動性の高い資産を組み合わせた分散が有効であろう。ここからは、全力投資を避けキャッシュ比率を拡大したい。調整局面では、現金が買いの余力となる。強気相場で全資金を投入するのは避けたい。個人投資家がバブル相場につぎ込んでいいお金は、失っていいお金だけである。


 負債が成長を上回るペースで増加し、成長が投機的な信用資産バブルに依存しているが、これはいずれ持続不可能になる。結局のところ、どの国でも不換紙幣制度の最終段階は「インフレ」であることが証明されている。


 現代貨幣理論(MMT)は、過去一度も機能しなかった。18世紀初頭のフランス、西暦180~280年のローマ帝国、または19世紀と20世紀のワイマール共和国、ジンバブエ、アルゼンチン、ベネズエラを確認すれば分かるだろう。


 現在、円相場は介入警戒下にある。

短期的な効果はともかく、MMTを続ける日本の当局は円買い介入で、長期的に通貨のワイマールスタイルの崩壊を食い止められるのだろうか?


ドル円(日足)
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ユーロ円
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(石原 順)

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