60歳からの資産運用は全世界株式インデックスファンドだけで十分か? そんな疑問をお持ちの方へ、今回は運用の軸は世界株式インデックスファンドで維持しつつ、個人向け国債で守りを固め、REITや優待株を「サテライト」として添える運用戦略を解説します。リスクを抑えつつ、自分らしい味付けで投資を楽しむ、心豊かな老後を守る新常識です。


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「老後の資産運用は、世界株式インデックスファンド一本で本当に大丈夫だろうか?」


「それだけで十分だと言われても、もう少し自分なりのこだわりや、安心感や楽しみが持てる要素を加えたい……」


 そんなふうに思われている方もいらっしゃると思います。結論から言えば、運用の核(コア)に世界株式を配置するという大原則は揺るぎませんが、そこに「自分なりの味付け」を加えることで、精神的な満足度とリスク管理を両立させることは十分に可能です。


「世界株式インデックスファンド」については前回の記事をご覧ください

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1.運用の基本は「コア・サテライト戦略」

 60歳からの投資を最適化する鍵は、「コア・サテライト戦略」という考え方にあります。これは資産を役割ごとに「コア(中核)」と「サテライト(衛星)」の二層に分けて管理する手法です。


  • コア(中核)

 運用資産全体の8割以上を目安にします。基本的には、世界中の企業に広く分散投資し、低コストで着実な成長を目指す「世界株式インデックスファンド」を配置します。


  • サテライト(衛星)

 運用資産全体の2割以下にとどめます。少し高いリターンを狙ったり、優待を楽しんだりと、投資に「自分らしさ」を加えていきます。


「世界株式以外の選択肢」を検討する際は、まずこのサテライト枠の範囲内で行うことが、失敗しないための鉄則です。そして、運用にはあまり手間をかけたくないという場合には、サテライトはなしで、コア100%という選択肢ももちろんアリです。


投資の彩りを楽しむ!60歳からの投資術「コア・サテライト戦略」とは?
運用の基本となる「コア・サテライト戦略」

2.「守りのお金」には個人向け国債(変動10年)

 世界株式インデックスファンドを補完する最も有力、かつ堅実な選択肢が「個人向け国債(変動10年)」です。介護資金や医療費など、絶対に減らしたくない「守りのお金」の置き場所として最適です。


  • 元本保証

 国が発行するため極めて安全性が高く、銀行預金よりも安心感があるという見方もできます。


  • 金利上昇に強い

「変動10年」タイプは機関投資家向けの国債利回りに連動して受け取れる利息が増えるため、金利上昇局面でも有利に働きます。


  • 高い流動性

 発行から1年経過すればいつでも国が1万円単位で買い取ってくれるため、急な出費にも柔軟に対応可能です。


 なお、投資信託には「債券ファンド」もありますが、管理をシンプルにするなら「個人向け国債と世界株式インデックスファンドの配分比率」を変えるだけでリスク調整は十分可能です。債券ファンドやバランスファンドなど、あえて債券系の商品を追加する必要はありません。


3.「サテライト」で投資の彩りを楽しむ選択肢

 世界株式という土台を固めた上で、より自分らしく投資を楽しみたい、ということであれば、不動産投資信託(REIT)、株主優待目的の個別株式、高配当の個別株式といった資産を組み合わせることも検討の余地があります。


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サテライトとして保有する資産の例

 特に個別株投資は、企業の情報を調べるなどの知的作業を伴うため、「認知症予防としての副次的な効果」を期待する専門家の声もあります。サテライトという枠を決め、その範囲内で楽しむのであればリスク管理上も大きな問題にはならないでしょう。


4.慎重に見極めたい「優先順位の低い」選択肢

 選択肢を広げる過程で、初心者が陥りやすい「注意すべき商品」もあります。


  • アクティブファンド

 手数料(信託報酬)が高く、長期的にはインデックスファンドの成績を下回るケースが多いというデータがあります。将来にわたってインデックスファンドよりも優れた結果を出すファンドを事前に見極めるのは至難の業と言えます。


  • 自社株式(持株会)

 長年勤めた勤務先の自社株式については愛着がある方もいらっしゃると思いますが、基本的には「特定の一社への集中投資」になり、ハイリスクと言えます。一定株数は保有を継続するとしても、リスク分散のため、順次世界株式インデックスファンドなどへ移し替えていくのがおすすめです。


  • 金・コモディティ

 金などは利息を生まない資産です。有事の備えとして持つ場合でも、資産全体の数%程度にとどめるのが現実的ではないでしょうか。


5.ポートフォリオを組むと取り崩しの難易度が一気に上昇する

 日本株式、日本債券、外国株式、外国債券、日本REIT(不動産)、外国REIT(不動産)、コモディティなどの各アセットクラスに対してアセットアロケーションを設定し、それぞれ投資信託や個別株などでポートフォリオを組みましょう、といった考え方もあります。


 しかし、そのようにポートフォリオを組んでしまうと、人生後半の年金生活に突入して、資産を取り崩していく時期に入っていった際には、どの銘柄をどのくらい売却しながら取り崩していくか、といった点で非常に面倒な事態に陥ってしまう可能性があります。

取り崩しのことを考えると、運用資産についてはできるだけシンプルに管理していくのがおすすめです。


6.シンプルな運用が「豊かさ」を生む

 60歳からの投資において、世界株式以外の選択肢はあくまで「土台を補完し、人生を楽しくするもの」と考えています。


  • コア(8割~):世界株式インデックスファンドで世界全体の成長の波に乗る。
  • 守り(別途):個人向け国債(変動10年)で安心安全なクッションをつくる。
  • サテライト(~2割):REITや優待株、高配当株で「自分なりの楽しみ」を添える。
  •  このように役割を明確に分けることで、過度な不安を避けつつ資産寿命を延ばすことができます。


     突き詰めると投資の究極の目的は、お金を増やすことそのものではなく、得られた安心感をもとに「いかにお金を有意義に使い、人生を謳歌(おうか)するか」にあります。基本的には手間をかけすぎることなくシンプルな運用を心がけ、心豊かでウェルビーイングなセカンドライフを歩んでいくのがよいのではないでしょうか。


    【関連リンク】


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