「投資家が犯す最大の過ちは、将来を見据える代わりに現在に投資することだ。現在に投資しないことが極めて重要である。

常に18~24カ月後の状況を想像するよう努めよ。先を見据えよ。今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう」(スタンレー・ドラッケンミラー)


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ドラッコノミクス(Druckonomics)とドラッケンミラーのポートフォリオ

 米国のスコット・ベッセント財務長官とケビン・ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長候補は、ともに伝説的な投資家スタンレー・ドラッケンミラーの弟子として広く知られている。


 スコット・ベッセントは1991年にドラッケンミラーによってジョージ・ソロス氏のソロス・ファンド・マネジメントに採用され、1992年の英ポンド空売り(ポンド危機)の際、ドラッケンミラー氏の右腕として活躍した。ドラッケンミラーはベッセントの長年のメンターであり、二人の絆は「父と子」のようだと評されている。


 一方、ケビン・ウォーシュは2011年にFRBの理事を退任した後、ドラッケンミラーのファミリーオフィスであるデュケーヌ・ファミリー・オフィスのパートナーに就任した。約15年間にわたりドラッケンミラーのビジネスパートナーとして活動し資産運用に深く関わってきた。


 米国の経済政策のトップ(財務長官)と中央銀行のトップ(FRB議長指名候補)の両者が同じ巨匠の門下生であることは、「ドラッコノミクス(Druckonomics)」とも呼ばれ、市場の注目を集めている。


 さて、師匠のスタンレー・ドラッケンミラー(デュケーヌ・ファミリー・オフィス)の現在のポートフォリオはどうなっているのだろうか?


 ファミリーオフィス、デュケーヌ・ファミリー・オフィスが2025年第4四半期に、世界最大級のアルミニウム企業である アルコア(AA) 、鉱山会社の サザン・コッパー(SCCO) などの株式を新たに保有したことが分かった。


 デュケーヌ・ファミリーオフィスが17日に米証券取引委員会(SEC)に提出したフォーム13Fによると、アルコア株を約137万株、サザン・コッパー株を約12万株新たに取得した。


アルコア(日足)
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 アルコアは、ペンシルベニア州ピッツバーグに本拠を置く、アルミニウム生産を手がけるメーカーで、アルミの原料となるボーキサイトの採掘からアルミナ精錬、アルミ地金の製造まで一貫して行っているのが強みで、自動車・航空機産業など向けに製品を供給している。


 1888年の創業以来、世界的なアルミメジャーとして、アルミ地金やアルミナの安定供給において重要な役割を担っている。


サザン・コッパー(日足)
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 サザン・コッパーは、世界最大級の銅埋蔵量を保有する鉱山会社で、ペルーやメキシコを中心に、銅、モリブデン、亜鉛、銀の採掘、製錬、精製を一貫して行っている。

銅に関しては世界トップクラスの埋蔵量を誇っており、銅価格が上昇する中、低コストで採掘可能な大規模鉱山を自社保有している点は、競合他社に対する強力な優位性である。


 一方、デュケーヌ・ファミリー・オフィスは アーム・ホールディングス(ARM) や バンク・オブ・アメリカ(BAC) 、 シティグループ(C) 、 メタ・プラットフォームズ(META) 、電力の ビストラ・コープ(VST) を含む30銘柄を売却した。アーム(約16万株)、メタ(約7万株)、エネルギーのビストラ・コープ(約23万株)については、前の四半期(第3四半期)に取得して3カ月での売却となる。


 2025年12月末時点でデュケーヌ・ファミリー・オフィスが保有する米国上場株式数は59銘柄と、3カ月前(2025年9月)に比べて差し引き4銘柄減少した。


2025年12月末時点のデュケーヌ・ファミリー・オフィスのポートフォリオ
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
(緑:新規ポジション、オレンジ:全売却)出所:フォーム13Fより石原順作成

デュケーヌ・ファミリー・オフィスが保有する上位10銘柄(2025年12月末時点)
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
出所:フォーム13Fより石原順作成

デュケーヌ・ファミリー・オフィスが保有する上位10銘柄(2025年9月末時点)
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
出所:フォーム13Fより石原順作成

 12月末時点の上場株式ポートフォリオを評価額順にまとめると、トップは前回同様、テキサス州オースティンに本拠を置く臨床遺伝子検査会社 ナテラ(NTRA) だった。ただし、保有株数は3カ月前に比べて約8万株減少した。


 前回2位だった希少疾患の研究と開発を行う インスメッド(INSM) は3位に、そして前回3位だった テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(TEVA) は7位に後退した。


 半導体大手 TSMC(TSM) については、保有株数の約3割(22万株)を売却し、持ち高は3カ月前の76万株保有から54万株に減少、上場株ポートフォリオの中で9番目の評価額となった。中でも特に取り上げたいのは、 アマゾン・ドット・コム(AMZN) 株とグーグルを傘下に持つ アルファベット(GOOGL) 株の保有株数を増やしたことだ。


TSMC(日足)
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

アマゾン・ドット・コム(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

アルファベット(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

クラウド事業の売上高成長率は約5割、ドラッケンミラーがアルファベットの持ち高を増やした理由

 デュケーヌ・ファミリー・オフィスによるアマゾン・ドット・コム株の保有株数は2025年12月時点では約84万株と3カ月前(9月末時点の保有株数は約43万株)に比べて2倍弱に拡大した。また、アルファベットについては38万株と(9月末時点の保有株数は約10万株)4倍弱膨らんだ。


デュケーヌ・ファミリー・オフィスによるアマゾン・ドット・コム、アルファベット、TSMCの保有株数の変化
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
出所:フォーム13Fより石原順作成

 AIに対する爆発的な需要を背景にクラウドサービスの拡大が続いている。


 米クラウド専門調査会社シナジーグループが昨年11月に公開したデータによると、クラウドインフラサービスの売上高は2025年9月末時点で1,070億ドル(前年同期比28%増)、そのうち、クラウド大手三社のアマゾン・ドット・コム(AMZN)、グーグルを傘下に持つアルファベット(GOOGL)、 マイクロソフト(MSFT) で全体のシェアの6割以上を占めている。


2025年Q3のクラウド市場のシェア
ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
出所:シナジーグループのデータより石原順作成

 図はクラウド大手三社のクラウド事業の売上高成長率を示したものである。マイクロソフトのクラウド事業は前年同期比39%増、アマゾン・ドット・コムのAWSは24%増だった。一方、グーグルクラウドの売上高は176億6,400万ドルと(前年同期比48%)と一年前に比べて5割近く伸びた。


 企業による生成AIプラットフォームや自社開発チップを含むAIインフラへの投資、利用が急増している。先月には、 アップル(AAPL) が次世代AIモデルにグーグルのAIモデル「ジェミニ」を基盤として採用すると発表した。グーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)によると、ジェミニアプリの月間利用者は7億5,000万人を超えたという。


クラウドビッグ3のクラウド事業の売上高の伸び率の推移
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出所:各種データより石原順作成

 ソフトウエア企業を中心に米国の株式市場が軟調に推移している。とりわけ、オープンAIへの投資を積極的に行っているマイクロソフトは年初来で株価が16%ほど調整している。それに対して、アマゾン・ドット・コムの調整率は7%ほど、またアルファベットに至ってはほぼ横ばいの推移が続いている。


 アマゾン・ドット・コムとアルファベット株の保有を増やしたドラッケンミラー氏の狙いはどこにあるのかは分からないが、年初来の各社のパフォーマンスを見る限り現時点では賢明な選択だったと言えるだろう。


 以上、ドラッケンミラーの現物株ポジションの変化を紹介したが、これはドラッケンミラーの運用全体の一部にすぎない。


「投資家が犯す最大の過ちは、将来を見据える代わりに現在に投資することだ。

現在に投資しないことが極めて重要である。常に18~24か月後の状況を想像するよう努めよ。先を見据えよ。今後数年は、コモディティが市場をリードする時代となるだろう。市場は群衆に先駆けて未来を視覚化する少数派に報いる」


(スタンレー・ドラッケンミラー)


2月25日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 2月25日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所 チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「アンソロピックショックは世界を変えるのか?」を今中さんに聞いてみました。ぜひ、ご覧ください。


ドラッケンミラー:今後数年はコモディティが市場をリードする時代となるだろう
出所: YouTube

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  ラジオNIKKEIの番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。


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2月25日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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<セミナーのお知らせ>

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〇 事前登録【 申込制 】


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(石原 順)

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